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『ゆっくり地に還れ』 四日前、私の所有する農場がドスまりさを有する 大規模なゆっくりの群れに襲撃を受けた。 農場を任せている管理人の報告を受けて慌てて駆けつけると そこには千を超える飢えたゆっくりの大群が 苦悶の声を上げながら農場中でひしめいていた。 たいした下調べもせずに『巨大な人間の畑』という事で襲ったのだろう ゆっくりどもには未知の植物だったのだろうが、この農場では『綿花』しか育てていない。 群れは期待していた餌にありつけず ドスや側近のぱちゅり種を罵倒しながら 共食いを始める寸前まで飢えている様子だった。 だが饅頭の事などどうでもいい、私の目に映ったのは つい先週、視察に訪れた時には広大な農場中に整然と並んでいた綿花が 薄汚い饅頭どもに「ぺっ!たべられないくささんはゆっくりしねっ!」等といわれながら 踏まれ、手折られ、蹂躙され尽くしている光景だった。 今でこそ私は、ほかにもいくつもの農場を所有・経営している。 その中では、この農場は大規模ではあるが大して利益を上げては居ない。 高価な果物を育てている果樹園や、羊毛の取れる牧場に比べれば ほんの微々たる収益しか上げていない。 だが、ここは私にとっての唯一の『原点』だったのだ。 両親を亡くし、いじけて自堕落に生活していた私に 早世した両親や先祖が残してくれた土地を、遊ばせて置くのも勿体無いと 後見人に強引に勧めらて渋々開墾を始めたのがまだ十代の頃 ここは土壌が悪く、乾燥しているので 手間をかけて育てられる植物を探し、いろんな人の知恵を借りて綿花を育て始めた。 莫大な財産を食いつぶしながら、ダラダラと生きていた私が 初めて沢山の人の手を借りながら、初めて成功させたのが…この畑だ。 高齢だった後見人が、幾許も無い余命に焦りながらも 私と共に奔走し、死の床で誇らしげに笑い語った農場だ。 そんな農場が…無残に荒らされている。 怒りの余り、意識が遠のく 憎悪や殺意すら沸かない、私を襲うのは途方も無い疲労感だけ。 速やかに加工場に連絡を取り 加えて近隣のゆっくりハンター、我が家の使用人たち、 そして何処からか現れて無償で手伝ってくれた数十人の自称『虐待お兄さん』という謎の人物とともに ほぼ丸一日がかりで農場を完全包囲し、『一匹も逃がすことなく』群れに壊滅的な打撃を与えたのだ。 長いといえば長く、短いといえば短い戦いが終わり 加工場の職員やハンターたちが謝礼を受け取って帰った後 私は使用人たちにある『作業』を命じた。 私自身も使用人らと共に、鍬を振るい 誰よりも必死に作業に没頭した。 『作業』の後、使用人たちには、この農場を『一年間閉鎖』する事にした旨を伝えた。 皆戸惑いを隠せないようだったが、当面の生活費となるだろう臨時給与と 人里近くの果樹園での再雇用を約束すると、納得して帰っていった。 今農場に残っているのは、(頼んでも居ないのに)何故か嬉々として『作業』を手伝ってくれた 『虐待お兄さん』達だった(心なし人数が増えている気がする) 農場全体を見渡せる場所で佇む、私と『虐待お兄さん』達 口を開くものは誰一人居らず 皆一様に、風に聴き入っている。 虐待お兄さんの中には陶酔した表情で涙を流す者も居るようだ。 私は閉じていた瞼を開き、夕日に染まる農場を一望する 数日前まで幻想卿でも最大規模の綿花畑だった眼前に広がる広大な敷地 今、この大地には 無数のゆっくりが『生きたまま』埋められている。 乾いた大地に隙間無く敷き詰められた苦悶の表情 この地域特有の砂塵混じりの風に乗って 饅頭たちの苦痛・飢餓・憎悪・悔恨・絶望と怨嗟の声が絶えることなく響いている。 ―――嗚呼、コレはまるで 地獄の風景ではないか――― 真っ赤に染まる大地を瞼に焼付けて、私は農場に背を向ける この地は年間を通して雨が降らない 食べるものが無いため、獣は愚か鳥すらも近づく事はない。 この地を埋め尽くす饅頭どもは、雨に打たれて溶け朽ちる事も無く、 外敵に命を奪われる事も無く、ただ風に吹かれて枯れ朽ちていく。 これから一年 ココに訪れるのは、私だけだ。 埋設する際に与えた固形栄養剤は、ゆっくりを飲まず食わずで一月生かすと言う。 私はこの地を後にする 一月後の再訪を誓いながら、真紅の地獄に背を向ける。 「貴様らは…苦しめ 花も咲かせず、実も種子も結ばず――不毛の荒野の地に還れ。」 私の口から漏れた呟きが、風に乗って届いたのだろうか 一際激しい叫びが、背後で大気を振るわせた 「「「「「「「ゆ゛ っ゛ ぐ り゛ ざ ぜ で ぇ゛ ぇ゛ ぇ゛ ぇ ゛ぇ゛ ぇ゛ ぇ ゛!!!!!!! 」」」」」」」 END スレで土からはえるゆっくり、というネタが投下されていたので思わず描いてしまいました。 なんか微妙な出来になったかもですが…というかキモい文になった気がしますが、ご容赦の程を… さておき、みなさん聴いてみたくありません? れいむ・まりさ・ぱちゅり・ありす・ちぇん・みょん・らんしゃま・etc… 無数無尽の膨大な数のゆっくりの悲鳴と絶望の調和…… 多数のゆっくりを時間をかけて虐待するSS…もっと増えるといいなぁ…(邪笑) このSSに感想を付ける
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れいむ死ね 4KB れいむ死ね 「ゆぐっ!どぼじでごんなごどずるのぉぉぉぉぉ!!!」 一人の男が、道端で跳ねていた、野良のゆっくりれいむの後頭部を、勢い良く蹴り上げた。 誰も居ない、田舎の未舗装の道。両側が田んぼに挟まれている。 日曜の昼下がり。さんさんと照りつける太陽。そんな平和な空間に、れいむの大きな悲鳴が響く。 「いだいよ……ゆぶっ、ゆぐっ、ゆごげぇ……」 男の蹴りで、中枢餡が激しく揺さぶられ、れいむは激しい嘔吐感に襲われた。 男はすかさず、落ちている小石を拾い、次々とれいむの口に入れていく。 「えれえゆがぼごぼごぼご!」 吐き出そうとした餡子は、大量の口内の小石に阻まれ、その隙間からわずかに漏れるだけだった。 れいむが餡子を吐きたいのに吐けない。そんな苦しみを味わっている間、男はれいむの頭に手を置き、 まるで子供を褒めるときのように、なでなでし始めた。 ゆさゆさと揺れるれいむ。その頬は次第に赤く染まり、目はとろんとして、瞳が裏返っていく。 「ゆはー……ゆはー……ゆふんゆふんんほほほほほほ……」 苦しそうだった声は、次第に快楽を覚えた甘いものになっていく。 嘔吐感は無くなったと男は判断し、れいむの口内の小石を全て取り去る。 「ゆふぅ、ゆふぅ。お兄さぁん。れいむ何だかへんだよぉ……すっきりしそうだよぉ……」 れいむの肌は、欲情したときに分泌される、糖度の高い砂糖水に艶かしく濡れている。 下腹部からは、陰茎が、小さいながらも、つんと誇らしげに主張してきた。 その瞬間を、男は見逃さなかった。 頭をなでるのをやめ、立ち上がり、れいむの陰茎を踏み潰した。 「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 れいむは一際大きな声を上げる。 男が足を上げると、先程まで天高く怒張していた陰茎が、見るも無残な、つぶれた饅頭の皮になっていた。 「でいぶの、でいぶのべにべにが……たまのこしが……」 れいむは生殖器の喪失を、強烈な痛みで理解し、この世の終わりのように、絶望の声を上げた。 れいむは無能である。狩りができない。歌は周りのゆっくりを不快にさせる。 子育てもうまくできない。れいむ種ばかりをひいきするからである。 では、何故、れいむ種は絶滅しないのか。 れいむ種は他のゆっくり種、特にまりさ種を色仕掛けで誘惑し、妊娠し、責任をとってもらうという形で、無理やり結婚してしまうからである。 誘惑に乗ったという事実がある以上、相手は結婚しないわけにはいかない。 逆上して殺してしまえば、そのゆっくりは一生周りから迫害されるのである。 陰茎は裏返しで膣の役割も果たすので、このれいむはもう、一生妊娠する事が出来ない。 この瞬間、彼女の人生は永遠にゆっくりすることが出来ないものとなってしまった。 「ゆぐっ……ゆぐっ……」 まだ泣いているれいむを、男は上から右足で踏みつけた。 「ゆぶっ、ゆぶぶっ……」 頭の真ん中をつぶされ、頬が少し膨らむ。 しかし、死ぬ事も、餡子を吐く事も出来ない。男の踏む圧力は絶妙で、まるで万力でゆっくりと締め上げられているみたいだ。 ゆっくり、ゆっくり。少しずつ、本当に少しずつ力を加えていく。 れいむはひたすら泣き続けた。何故こんなことになってしまったのか。 母親の言いつけを破って、こっそり巣から出るんじゃあなかった。 人間に出会った瞬間、逃げればよかった。 こんな遠くまで来るんじゃあなかった。 れいむはひたすら後悔した。 涙がとめどなくあふれてきた。 死にたくない。こんな所で死にたくない。こんな何の意味も無い死に方はしたくない。 男はゆっくりと踏む力を強めていった。 6時間後。れいむはまだ生きていた。しかし、餡子は男の足と地面に挟まれ、激痛にもだえていた。 もだえつつ、れいむは今までの人生を反芻していた。 男は、腰にぶら下げてある袋からパンを取り出し、食べた。 12時間後。れいむはまだ生きていた。あたりは既に真っ暗。 「うーうー」 れいむの周りを、二匹の胴なしれみりゃが飛び回る。 餡子を少し吐き出していたので、その匂いにつられてやってきたのだろう。 しかし、大部分が男の足に邪魔されているので、なかなか食べる事が出来ない。 何分か飛び回った後、彼女達はそれぞれ、左右の頬に噛み付き、餡子をゆっくりと吸い取った。 左右から喪失していく記憶。中枢餡を圧迫する足。 この世のものとは思えない激痛に苦しみ抜き、やがて朝を迎えた。 れいむはまだ生きていた。れみりゃは餡子を吸い尽くし、既に居なくなっている。 周りの餡子は記憶を貯めるだけ。中枢餡が残っている限り、ゆっくりは死なない。 男は立小便をしながらも、しっかりとれいむを踏みつけていた。 周りの餡子がなくなった分、中枢餡への圧力はダイレクトに伝わり、夜よりも更に痛みに苦しむ。 「もう……じにだい……おねがい……じなぜで、じなぜでよぉぉぉぉぉ!」 れいむは懇願した。もう苦しみたくない。早く楽にしてほしい。 れいむはひたすら泣いた。泣いてお願いした。 しかし、男はその力を強めない。 24時間後、れいむはまだ生きていた。 48時間後、れいむはまだ生きていた。 そして72時間後、れいむはようやく死ぬ事が出来た。死因は餓死だった。 既存作 妊娠過程 食葬 ふたば系ゆっくりいじめ 7 浅瀬 ふたば系ゆっくりいじめ 8 鉄鍋 ふたば系ゆっくりいじめ 17 さとり ふたば系ゆっくりいじめ 19 賽の河原 ゲームあきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る れいむ4ね -- 2019-03-29 12 23 30 72時間立ち続ける男ヤバス飯と便所はどうしたよ(笑)Σ(゜Д゜) -- 2016-08-20 21 11 08 れいむwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww -- 2016-06-02 16 02 11 周りから白い目で..... -- 2016-01-14 16 03 43 たった一個如きに72時間も踏み続けるとかどんだけれいむがゲスな事したんだよ -- 2014-08-29 06 27 29 男が、命ッッ!のポーズで踏んでいる構図が浮かんでしまったんだがどうすればいいんだ? -- 2014-07-16 14 49 52 この人靴に石いれて置いといただけじゃね?あとれみりゃよりフランのほうが好きだな -- 2013-04-01 04 12 51 72時間=3日 3日も踏み続ける=超ヒマ人(´・ω・`) -- 2013-01-01 00 35 33 ぇ?この人72時間ずっと踏んでたの?汗 -- 2012-12-10 15 14 35 この人伝説だよ・・・ -- 2012-08-16 23 41 21 性器を潰したのは絶望を味わわせるためだろ -- 2012-02-23 21 38 11 72時間もやってるって最高に暇なやつだな -- 2012-02-11 13 00 29 立ち小便したとあるが、大のほうはどうした、お兄さん -- 2011-03-05 21 49 30 アストロンお兄さん…とか? 効果時間は三ターンならぬ三日だが -- 2011-01-15 23 00 30 しかもれいむを潰さないよう踏んでるから実質72時間片足立ちだぞ! さらにその間決して離さず潰さずと常に一定の力で踏み続ける! 虐待神様じゃ!! -- 2010-10-07 01 58 00 うーうー -- 2010-10-05 21 28 05 れみりゃかわいい -- 2010-09-21 02 41 45 だよな!まず男が何者なんだよwww しかし、わざわざ性器つぶした意味が無くなってしまったな -- 2010-09-04 18 34 01 72時間立ち続けてられる男の体力すげぇ!ww -- 2010-08-07 10 48 02
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ありす 都会に行く 12KB ※俺設定 ※虐待、ありません ※基本、愛で話 ※虐待を望んでいる方、 申し訳ございませんが、ご遠慮ください。 ※ユ○ルイじゃないです ありす 都会に行く 「とかいはのありすとゆっくりしていってもいいのよ!!!」 山の奥深くまで、ゆっくりありすを探しにやってきた。 そして、今、目の前に純度100%の野生ゆっくりありすを見つけた。 ニコニコと愛くるしい笑顔のありす。 こんな無垢な微笑みを向けられたら、人間だったら、惚れてるかもしれない。 『ああ、ゆっくりさせてもらうよ』 私は挨拶を適当に済ませて、ありすと軽く世間話でもし始めた。 しばらくして、なんとなく、頃合だなぁ~と思い、 長年の疑問をありすに聞いてみた。 こんな山奥だ。 ありすに聞いたら、人間に会ったのは初めてだそうだ。 こんなありすだからこそ、私の質問に答えてくれるかもしれない。 『ありす・・・。とかいはってなに?』 私は、ゆっくりに携わるものなら、誰もが知っていることを投げかけた。 ゆっくりを研究している学者に言わせると、 ゆっくりありすの言う、とかいは、とは、 ゆっくりありすが、他のゆっくり(れいむ、まりさetc・・・)と比べて、 特別であるということを、自己アピールのために使う言葉であり、 特に意味はなく、ゆっくりたちの条件反射で言ってしまう、 ゆっくりしていってね!!!、とほぼ同じ意味であるとか・・・。 ゆっくり基準でいうならば、ゆっくりしていないモノを、 ゆっくりありすの場合、いなかもの、という言葉で表現するケースがある。 ありす種のカスタードには、 自分は、とかいは、である という情報が遺伝子レベルで組み込まれており、生まれた時点では、 もちろん、ゆっくりありすにとって、都会や田舎がどんなモノなのか、 知らないので、その言葉の真意を知らずに使っているのであろうと思う。 「とかいははとかいはよ!!! ゆっくりりかいしなさい!!!」 まあ、思ったとおりの回答だ。 だから、聞いてみた。 『そうか・・・、じゃあ、ありすは都会に行ったことがあるのかい?』 当然、今まで一度も人間にあったことないというありすだ。 山から出たことがないのは、わかっている。 ぶっちゃけ、三度のメシよりゆ虐が好きな虐待鬼意山たちが、 わざわざ遠い街から山狩りに出かけて、野性のゆっくりをゆ虐するこの時世で、 今までのゆん生で、人間に会わなかったということは、 虐待鬼意山ですら、倦厭してしまうほどの、 ここが前に超が付くド田舎であるのは、人間から見れば、明白だ。 「ありすはこのやまからでたことがないわ!!!」 と、自信満々で答えるありす。 『じゃあ、都会を知らないんだね?』 小バカにした感じで聞き直した。 「いえ!!!ありすはとかいはよ!!!」 ありすは、ちょっと怒ったようで、むっとした態度で、頬をぷくりと膨らませている。 『ああ、悪かったよ・・・ありすはとかいはだよ。』 少し機嫌を直してもらうため、謝っておく。 「ゆふふ。そうよ!!!ありすはとかいはなのよ!!!」 気を良くしたみたいだ。 『でも・・・都会に一度も言ったこともないのに・・・とかいはって言えるのかな・・・』 ありすに聞こえるように、わざとボソッと呟いてみた。 「ゆっ!!!おにいさん!!!ありすをいなかものだというの!!!」 再び、怒ったようだ。 『悪かった悪かった・・・ありすはとかいはだよ・・・でも・・・』 少し、もったいぶった言い方をして、ありすの方を見つめる。 「おにいさん・・・たしかに・・・ありすはとかいにいったことがないわ・・・」 視線を逸らし、寂しげな表情になるありす。少しいじめすぎたかな。 『ありすは・・・都会に行ってみたいかい?』 笑顔でありすに問いかけてみた。 「そうね・・・とかいはのえすこーとをしてくれるのなら・・・いってあげてもいいわよ!!!」 体をクネクネとして、顔を赤らめて、嬉しさを隠しているありす。 ホントは行きたくて行きたくて仕方がないって顔に書いてますよと言いたくなる。 これがツンデレってやつか。なかなかいいものだな。 『じゃあ、連れてってあげよう!!!』 「ゆ、ゆふんっ!!ありすをとかいにつれていってもいいのよ!!!」 ということで、ありすを街まで連れて帰ってきた。 まず、街を鳥瞰できる丘から、人間が住んでいる街をありすに見せた。 「す・・・ごい・・・わ・・・」 雲を突き抜けるかのような高さの超高層ビルが森の木々のように立ち並ぶ。 山奥の自然では決して見ることの出来ないアスファルトで埋め尽くされ、 蛇の脱皮した皮のようにクネクネと整備された高速道路。 林のざわめきしか聞いたことのないありすからすれば、未知の音を発する都会の生活音。 無数に連なる車から出てくる少し苦い匂いのする排気ガス。 街の熱気と、肌寒い風で、熱いのか寒いのかも判断ができない空気。 ありすは、五感で街を体感した。 『どうだい?ありす?』 「これが・・・とか・・い・・・」 どうやら言葉を失っているようだ。 それから、ありすの希望もあって、街で一番高いビルに行って見た。 全面ガラス張りのエレベーターに乗り込み、街の景色を見せてみた。 「おそらをとんでるみたいだわ!!!」 ゆっくりの場合、ちょっと高いところに上がっただけで、 そんなことを言ってしまう奴らばかりだが、 地上から200~300m前後くらいの高さだと、 人間でも同じことを言ってしまうだろうな。 まるで子供のように身を乗り出して、街の景色を目に焼き付けるありす。 無邪気に喜んでくれて、こちらとしても嬉しいばかりだ。 最上階のレストランで、食事を取る事にした。 ここのレストランはゆっくりも入店可能な特殊なレストランだ。 ここの景色もまた、最高に眺めが良い。 『さあ、ランチを食べようか。』 予約していた席にありすと座り、窓を眺めながら、食事をし始めた。 私は、普通のランチだが、ありすのランチは、 りんご、オレンジ、マンゴー、ぶどう、さくらんぼと言った、 果物の盛り合わせであった。 「こんなにおいしいくだものははじめてだわ!!!」 それはそうだろう。 この果物は全部、人間が徹底した管理の下、作られたモノばかりだ。 人間とて、おいそれと口に出来る代物ではない。 非常に高価のため、一部の特権階級の人間しかお目にかかることすら、難しいかもな。 自然に生えている果物やそんじょそこらの農家でつくられたモノとは、格別に味が違う。 たまに、ゆっくりが、人間の畑で盗んでいく野菜とかあるけど、 あんなものより、比べ物にならないだろう。 ちょっと豪華なランチを済ませた後、 ありすを繁華街に連れて行った。 「すごい!!!にんげんさんがこんなにたくさんいるなんて!!!」 まるで地平線の彼方まで人で覆い尽くされているかのような道。 田舎から都会に出稼ぎに出た人だったら、同じこというかもな。 それから、ゆっくりグッズがたくさん置いている、ゆっくりショップに出向いた。 そこで、これから向かうところのために、ある買い物をした。 「ど・・・どう・・・?」 ありすがモジモジとしながら、 ヒラヒラとしたレースがついた可愛いドレスを着て、私に見せてきた。 『かわいいよ!!!』 満面の笑みで、微笑んであげた。 「と、とうぜんでしょ!!!ありすは・・・」 『とかいは、なんでしょ!!(笑)』 「ぷくー!!!もう!!!ばかにしないで!!!」 顔を真っ赤にして、恥ずかしがっているありす。 恋人だったら、惚れ直してるなぁ。絶対。 「ゆっくりしていってね!!!」 「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」 飼いゆっくりたちが集まるサークル「ゆっくりなかま」の集会に、 連れて行った。 ありすと同様、可愛らしい服を着ているゆっくりたち。 ありすのことを、ゆっくり出来るゆっくりと、他の飼いゆっくりもベタ褒めして、 仲良くす~りす~りしたり、ピョンピョンと追いかけっことかして遊んでいる。 ホントは、飼いゆっくりしか入れてはいけないんだが、 ここのサークルに集まる飼い主さんは、全員、愛で派であり、 野生のありすに、都会とはどういうところかを教えているということを説明したら、 快く受け入れてくれた。ありがたい人たちだ。 日も暗くなり、ありすを連れて、 本日のメインイベントを行なうことになった。 街のはずれにある丘にある、レストランにやってきた。 ありすのために、予約したものがあった。 高さ3mにもなる特注のウェディングケーキだ。 もちろん、いくらなんでも、私は人間だ。 ありすと結婚したいとか思うわけもない。可愛いと思っても、 まあ、ペットくらいの認識だ。 勘違いしてもらいたくないから、最初に言っておく。 ディナーには何がいいかと考えた結果、ゆっくりの大好きなあまあま、 つまり、スイーツを用意してあげたのだ。 まあ、なんでウェディングケーキだというと、 センスを疑われるが、ゆっくりの体長より数倍大きなスイーツだと、 喜ぶだろうと思っただけだ。 「・・・・」 さすがの大きさに言葉を失うありす。 目が点となり、その場から固まって動こうとはしない。 店員がにこやかに、ケーキを切っていき、 ありすでも食べられるくらいの大きさにして、食べさせて上げた。 「しあわせぇぇぇええ!!!!」 目をうっとりさせながら、俗に言う、ヘブン状態になっているありす。 多分、今日一番の笑顔かもな。 レストランの窓から、街の夜景を眺めるありす。 「よるなのに・・・きらきらと・・・かがやいてるわ・・・きれい・・・」 感慨深い表情で、街を見つめていた。 すっかり、街を堪能してもらった後、ありすを連れて、 私の家に帰ってきた。 「ここがおにいさんのおうちね・・・なかなか・・・とかいはなおうちね!!!」 ただ6畳一間の1Kアパートなんだが、ありすからすれば、 これもまた、とかいは、とからしい。 さすがに、慣れない事をすると疲れた。 クタクタになったので、ありすとともにベッドに横になり、 床に就いた・・・ 「おにいさん!!!おきなさい!!!あさよ!!!ゆっくりおきなさい!!!」 ありすに起こされてしまった。 「おねぼうさんは、とかいはになれないわよ!!!」 結構、寝過ごしたみたいだ。 「おにいさん!!!きのうはとかいはなでーと、たのしめたわ!!! ゆっくりかんしゃしてあげるから・・・ありがたくおもいなさい!!!」 まあ、ツンデレのありすからすれば・・・ これが最上級の感謝の言葉なんだろうなと受け止める。 「じゃあ・・・」 「おにいさん・・・わるいんだけど・・・ありすを・・・」 「もとのおうちにつれていってね!!!」 信じられなかった。 恐らく、ありすのことだ。 山の暮らしよりも、都会の快適な暮らしの方がいいというかと思えば・・・。 あれだけ、贅沢三昧をした後だ、今日も連れて行けとか言うのだろうと、 思っていたが・・・。 「きのうは・・・なかなかたのしめたわ!!! でも・・・ありすはとかいはよ!!! やまでくらすのが、とかいはなのよ!!!」 相変わらず、意味がわからないことをいうありすだが、なんとなく分かった気がした。 とかいは、とは、ホントに深い意味のない言葉であり、 自分自身を表す言葉でしかなかったのだ。 とかいは、という割には、都会を知らないから、 都会のよさを教え込んだつもりだったが、 それでもありすは、山に戻りたいというのだ。 正直、ありすにとって、都会に住んでいようが、田舎に住んでいようが、 ありすはとかいは、なのだ。 私はありすの言うとおり、山へ戻して上げた。 森の入り口まで連れてきて、私はありすに最後の質問をした。 『都会にいれば、毎日ではないけど、あんなゆっくり出来る生活があるのに、 どうして、山に帰りたいんだ?』 「ありすは、とかいはよ!!! ゆっくりりかいしてね!!!おにいさん!!!」 そういい残し、ありすは森の中に消えていった。 今思えば、ありすのいうとかいは、というのは、 趣向の問題ではなく、精神な問題なのであろうと思う。 ありすは、恐らく、今までも、そして、これからも、 ずっと、とかいは、といい続けるのだろう。 終わり あとがき 針供養じゃないけど、 たまには、ゆっくりをゆっくりさせてあげるのもいいかな? と、思い、書きました。 なぜ、ありすで愛で話なのか? れいむ: 作者はコイツのことを考える度に、「ヒャッハアアア!!!」っていう発作があるので、 どう考えても苦しんで苦しんで苦しませなければならないという風に追い込まれて、 最終的にはハードゆ虐に走ってしまうから。 まりさ: 態度が生意気なので、精神的にネチネチといじめてやって、 自分が如何に矮小な生物であるものを身に染みて理解させてやりたいので、 可愛がるなんてもってのほか。 ぱちゅりー: ぶっちゃけ、興味なし。 その他: 基本、モブキャラ。 あと、このありすが、舌に肥えて、 木の実や草、虫を食べられなくなる心配(笑)をしている方、 ご安心ください。 今回、その設定はないと考えていてください。 どうしてもという場合、自分の頭の中で、勝手に想像してください。 ※これでビギッ!!って来た虐待鬼意山に、燃料投下して、 新たなゆ虐をゆっくり考えていってね!!! 他の作品 ふたば系ゆっくりいじめ 149 鞭打 ふたば系ゆっくりいじめ 155 糞饅頭 ふたば系ゆっくりいじめ 159 ユグルイ その1 ふたば系ゆっくりいじめ 162 ユグルイ その2 ふたば系ゆっくりいじめ 168 ユグルイ その3 ふたば系ゆっくりいじめ 169 ゲス愛で派 ふたば系ゆっくりいじめ 173 ユグルイ その4 ふたば系ゆっくりいじめ 187 頭でなく心に訴える ふたば系ゆっくりいじめ 188 ユグルイ その5 ふたば系ゆっくりいじめ 192 長寿と繁栄を・・・前編 ふたば系ゆっくりいじめ 200 長寿と繁栄を・・・後編 ふたば系ゆっくりいじめ 221 FFR ふたば系ゆっくりいじめ 230 本気で勝てると思ってたのか? ふたば系ゆっくりいじめ 231 長寿と繁栄・・・完結編 ふたば系ゆっくりいじめ 236 ユグルイ その6 ふたば系ゆっくりいじめ 243 死すべき生物 ふたば系ゆっくりいじめ 250 ゆっくりSSをれいむに読ませてみた ふたば系ゆっくりいじめ 263 飾りの価値は 起 ふたば系ゆっくりいじめ 265 飾りの価値は 承 ふたば系ゆっくりいじめ 283 飾りの価値は 転 ふたば系ゆっくりいじめ 286 飾りの価値は 始 ふたば系ゆっくりいじめ 292 時をかけるまりさ 前編 ふたば系ゆっくりいじめ 299 時をかけるまりさ 中編 ふたば系ゆっくりいじめ 304 時をかけるまりさ 後編 ふたば系ゆっくりいじめ 309 時をかけるまりさ 完結編 ユグルイあきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ゆ虐を読みすぎて疲れたならこれを読むとリラックスする。 -- 2012-05-19 01 52 38 いい話。 -- 2012-04-02 17 37 41 ありすの「とかいは」は生き様というか有り方なんだろうな… 贅沢を知ってなお、山でゆっくりできるゆっくりは真のゆっくりなんだろう、と思う -- 2010-10-04 20 06 02 虐待SSでこういった変化球も面白いな~ ありすってあんまりゲスにして欲しくないのでこの作品は良かった -- 2010-09-24 22 05 16 虐厨の俺だがこのありすならとかいはとよんでもいい -- 2010-09-19 15 13 42 ありす愛ではゆっくりできるね! やはり自分には山の暮らしの方があっているという 事なんでしょうね こういう優しい話もいいもんですね ただし主人公はまりさ・れいむ以外に限りますがw -- 2010-09-17 16 00 14 深いなあ・・・ なんか「侍」と「サムライ」の関係に似てる気がします。精神も良くないと、いくら都会に居ても「とかいは」には成れないんですね。 -- 2010-07-15 08 07 43 「とかいは」とは、高尚な精神を表す言葉なんだなぁ。 「とかいは」と「都会派」は違うことなんですね。 -- 2010-07-05 01 49 46
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仕返しゆっくり 38KB ※独自解釈しかありません。 ※虐待成分ほぼ皆無。むしろ愛で? ※冗長的に長いです。 ※前作『ふたば系ゆっくりいじめ 301 勘違いゆっくり』の外伝的なお話ですので、先に前シリーズをお読みいただく事をお勧めします。 山の裾野に広がる森を一望できる高台に、小さな庵が佇んでいた。 廃屋寸前の庵に相応しい、荒れ放題の庭に置かれた縁台で、一人の老人が茶を啜っている。 申し訳程度の白髪を蓄えた禿頭と、対照的な長い白髭。 草臥れた作務衣を纏うその姿は、どこかしら世俗を超越した仙人を思わせる。 「……ふぅ。今日はよい天気じゃのう、茶がいつもよりも旨く感じるわい。 やはり晴れの日は気持ちが良い。なんだか寿命が延びそうじゃ。そうは思わんかね?」 不意に茶を啜るのを止め、誰もいない庭に向けて話しかける老人。 しかし帰ってこない筈の返答は、誰もいない筈の庭から返された。 「……むきゅ。そうね、ぱちぇもそんな気がするわ、先生」 苔むした庭石の上で日に当たりながらそう返したのは、紫色の長い髪を持った生首のような饅頭。 ゆっくりぱちゅりーだった。 『仕返しゆっくり』 老人は学者であった。 学問の道を志した青年時代から、ひたすら学問に取り組んで来た。 世の理を読み解いていくのが楽しくて、脇目も振らずに没頭した。 学者らしい偏屈な性格が災いして、結局伴侶も得ずにこの年まで独り身のままであったが、後悔などない。 むしろ一生を学問に捧げた証であると周囲に自慢さえしていた。 しかし、第一線を退いてこのあばら屋に居を構え、一人静かに暮らしていればやはり人恋しくなるもの。 さりとて話し相手になるような知己もおらず、さてどうしたものかと思っていた頃、 一時期教鞭を取っていた頃の教え子が『ならばゆっくりでも飼ったらいかがですか?』と勧めて来たのだ。 ゆっくり。 いかなる分類にも当てはまらない生態、 動く饅頭などというふざけた体の構造、 人語を解するものの、知性の欠片なぞ持ち合わせていない性格。 あらゆる意味で学問の徒を恐慌に陥れた、学者にとっての天敵である。 当然老人もゆっくりに対して良い感情など持ち合わせてはいない。 それは件の教え子も知ってはいたが、恩師が一人寂しく朽ちていくのを黙って見ていられなかったのである。 「そりゃ先生も学者としてはゆっくりなんぞ見たくもないんでしょうが、 ご隠居された今ならゆっくりを研究対象じゃなく、話し相手に出来ると思いますがね」 教え子の説得に感じるものがあったのか、老人は勧められた翌日にはゆっくりブリーダーの元へ足を運んでいた。 「そうですね、初めて飼われるんだったらやっぱりれいむ種がお勧めですよ」 老人に孫が居たのなら、おそらくこの位の年であろうと思わせる若いブリーダーの女性が勧めたのは、 赤いリボンを黒髪に結わえたゆっくりだった。 母性が強く、たくさん子供を作りたがるのを除けばあまり手が掛からない種なのだと言う。 最も老人はゆっくりの大家族を養うつもりは毛頭ない。 「お年を召した方にはまりさ種を好まれる方もいらっしゃいますね。何でもお孫さんを思わせるとか……」 庭や道ばたでたまに見掛ける、黒い帽子を被ったゆっくりを指差してそう紹介するブリーダー。 腕白を絵に描いたような性格らしいが、最も増長しやすい種でもある為、注意が必要らしい。 だが老人は独り身、孫の扱い方など知る由もない。 「ありす種はあまりご年配の方にはお勧めできませんね。ブリーダーでも一寸扱いづらいですね」 金髪に赤いカチューシャを着けたゆっくりは、何やら厄介な性癖を持っているらしく、 その矯正には熟練のブリーダーでさえ手こずるらしい。 そんな種は老人だって願い下げだ。 こうして見るとゆっくりにも様々な表情がある。 名前の通りゆっくりした様子で弛緩しているもの、競争でもしているのか部屋中を跳ね回っているもの、 部屋の隅で肌を擦り合わせている所を、慌てたブリーダーに仲裁されているもの。 そんな中、ある一匹のゆっくりに老人の目が止まった。 全体的に騒がしいゆっくり達の中で、身じろぎもせずにいるゆっくり。 よく見ると、床に広げた紙切れを眺めているらしい。 時々頷きながら、真剣な眼差しで紙切れを目で追う姿に興味を引かれた老人はその紙切れを見やり、驚愕した。 このゆっくりは新聞を読んでいたのである。 「ああ、あれはぱちゅりー種ですね。ゆっくりの中では比較的賢い種ですが、その分体が弱いんですよ。 人間で言う喘息のような持病を持っているので、ちょっとした事で体内の餡子を吐いて死んでしまう事が多いんです。 それに賢いとは言っても所詮ゆっくりですから、文字が読めると言っても精々平仮名ぐらいですね。 あれも多分読んでいる振りしてるだけで、内容なんて解ってないと思いますよ。 そのくせ賢さを鼻に掛ける所があって、無駄にプライドが高いのでなかなか言う事を聞きません。 正直、上級者向けの種です。ゆっくり初心者の方にはまずお勧めできませんね」 ブリーダーがそう言うからには相当手間がかかる種なのだろう。 しかし老人には、ぱちゅりーが文字を追う様子が自分の若き日と重なって見えた。 理解できる、できないを二の次に、ひたすら知識を追い求めた青春の日々に、自分が最も輝いていた、黄金の日々に。 「あのぱちゅりーを貰おう。何、これでも学者の端くれだったんじゃ。多少の困難は承知の上よ」 そうして、ぱちゅりーは正式に老人の元へ引き取られていった。 老人と共に日向ぼっこを楽しんでいたぱちゅりーは、庭石の上で自らのゆん生を振り返っていた。 そもそもぱちゅりー種は個数が少ない。 かろうじて通常種に数えられる程度の頭数はあるものの、種としての弱さが群を抜いているために 『最も成体になり難いゆっくり』と呼ばれ、野生でも早々お目にかかれない種なのだ。 ブリーダーも慎重に扱わねばならず、それ故に『ぱちぇはえりーとなのよ!』と増長してゲス化する事も多い。 そんなぱちゅりー種の常に習い、彼女が老人に投げかけた第一声は 「ぱちぇはもりのけんじゃなのよ!ばかなにんげんさんははやくあまあまをもってきなさい!」 と言う、ブリーダーが真っ青になる台詞であった。 慌ててぱちゅりーの口を塞ぎ、老人に平謝りするブリーダーを制して、彼はぱちゅりーにこう返した。 「そうか、そんなに賢いなら、儂の知らない事を沢山知っておるんじゃろうて。 なら、一つ儂にそれを教えてくれんかね。それが儂の知らない事だったなら、あまあまを食べさせてやろう。どうじゃ?」 ぱちゅりーはその勝負を快諾した。 自身の知識量に絶対の自信があった彼女にとって、それは勝負ではなく、人間に自分の知識を分けてやる程度にしか考えていなかったからだ。 そして、根拠の無い自信は呆気なくひっくり返された。 「むきゅ!ぱちぇはさんけたのけいさんができるのよ!」 「そりゃ凄い。儂は十桁までなら暗算で出来るがな」 「むきゅう!このはっぱさんをよくかんでやわらかくすると、きずぐすりになるのよ!」 「ドクダミか。確かに外傷にも効果はあるが、乾燥させて煎じると血圧や冷え症、便秘の薬になるぞ」 「……む、むきゅ……このきのこさんはどくがあるから、たべるとゆっくりできなくなるのよ……」 「ベニテングタケは塩漬けにしたり、茹でて熱を通したりすれば毒抜き出来るんじゃ。食べ過ぎると危険なのは変わらんがな」 「…………ぱちぇはごほんがよめるのよ…………ひらがなもかたかなもだいじょうぶなのよ……………」 「ふむ、ならここに丁度徒然草の訳本と、マルクスの資本論の原書があるでな。読めるんなら貸すが?」 自信満々でひけらかした知識は、あっさりと塗り替えられた。 ぱちゅりーは何度も何度も老人に挑戦したが、その度に返り討ちにされ、新しい知識を上書きされていく。 老人の圧倒的な知識は、ぱちゅりーの底の浅いそれとは比べ物にすらならない。 勝負になる訳が無かった。 結局、ぱちゅりーが無駄な挑戦を諦めたのは半月も経ってからであった。 「…………むきゅうぅうぅぅぅぅ、ぱちぇのまけだわ…………きょうからおじいさんがもりのけんじゃよ………」 悔し涙を流しながらそう告げるぱちゅりーに、老人は「それは違うぞ」と告げた。 「確かに儂は学者じゃったからな、他の人間よりは物事を知っとる。 しかしじゃな、それだけでは賢者などとは言えないんじゃよ。本当の賢者とは、たった一つの事を知っておる人の事なのじゃ。 『無知の知』、すなわち自分が何も知らない事を知っている人こそ、賢者と讃えられるんじゃ」 老人の言葉に驚愕するぱちゅりー。 「む゛ぎゅ゛う゛ぅ゛ぅ゛う゛ぅ゛ぅ゛っ゛!?!?なにそれぇぇぇぇぇえぇぇぇぇっ!?どおしてそんなのが『けんじゃ』なのぉぉおぉぉぉっ!?!?」 混乱し、取り乱すぱちゅりーを宥めながら、老人は彼女に答えた。 「簡単じゃよ。自分が何を知らないのかを知らなければ、新しい事を知る事が出来んからじゃ」 その言葉は、ぱちゅりーの増長した自尊心を木っ端微塵に打ち砕いた。 その日から、ぱちゅりーの態度は一変した。 「おじいさん!ぱちぇにおべんきょうをおしえてください!」 そう言って頭だけで器用に土下座するぱちゅりーの願いを、老人は快く聞き入れた。 「よいじゃろう。ならば今日から儂のことを先生と呼びなさい」 その日から二人の関係は、飼い主とペットから教師と生徒に変化した。 自分の無知を自覚したぱちゅりーは老人の授業に真剣に臨み、それに応えて老人もだんだん熱が入ってくる。 人間の政治形態や経済の仕組みなどの社会学、薬草の効能や毒の見分け方などの薬理学、四則計算を始めとする基本数学……。 ゆっくりであるぱちゅりーに役立つであろう知識を中心に、人間社会の歴史やルール、自然科学や生物の生態系を教え込んで行く。 ブリーダーの元で学んでいた時以上の熱意で、ぱちゅりーも必死に勉強するもののそこはゆっくりの宿命、文字通り『ゆっくり』としか理解できない。 出来の悪い生徒ではあったが、老人は決して見捨てなかった。 「ゆっくりとでいいんじゃよ。少しずつ覚えていって、決して忘れなければ、何時かは理解できるものじゃ」 己の物覚えの悪さに自己嫌悪し、落ち込むぱちゅりーを老人はそう励ます。 ゆっくりはあらゆる本能や欲求の最上に『ゆっくりする』事を置く。 その為、ゆっくりは楽な道を選ぶようになり、怠惰に流されてゲス化することが多いのだ。 どんなに有能なゆっくりでも、ゆっくりしようとする種としての本能からは逃れられない。 それはこのぱちゅりーも同様であった。事実、何回諦めようと思ったか数えきれない。 しかし、落ち込んで諦めようとする度に老人の激励がぱちゅりーを奮い立たせた。 それを繰り返して行く内に、ぱちゅりーは非常に希少な『努力するゆっくり』になれたのだ。 老人にとってもこのぱちゅりーと過ごす時間は楽しいものだった。 教鞭をとっていた頃の情熱が甦るようであったし、新しい知識を得て喜ぶぱちゅりーの姿を見る度に幸せな気持ちになれた。 老人とぱちゅりーはお互い幸せに暮らしていられたのだ。 小春日和の日差しは暖かく、傾いだ庵を明るく照らす。 老人と二人、日向ぼっこに興じるぱちゅりーだが、その胸中はあまり穏やかではなかった。 最近、老人の体調が悪い。 今日は落ち着いているようだが、冬が近付くにつれ、寝込む日が多くなった気がする。 老人に養生するように言っても「大丈夫じゃから、心配いらんよ」と力無く微笑むのみ。 ぱちゅりーには人間の医術は高度すぎて理解しきれなかった為、精々野山に生えている薬草を集めてくるぐらいしか出来なかった。 老人は己の死期が近付いている事に気付いていた。 元々学問の第一線を退いたのも大病を患った為で、判明した時にはもう医者にさえ手に負えない状態であった。 入院をしきりに勧めてくる医者や同僚に「もう疲れた」と語り、野山に骨を埋めるつもりで隠居を開始したが、 やはり寂しさには勝てず、教え子の進めるままにぱちゅりーを引き取って育てたのである。 (儂が死んだら、ぱちゅりーが悲しむのかのぅ。それが嫌じゃから引きこもったと言うのに……やれやれ、人間とは身勝手なものじゃ) 気ままに生きた自分の為に、誰かが嘆き悲しむ姿は見たくなかった。 学問に身を捧げたのも、孤独に死んで行くのも自分が選んだ結果である。後悔はない。 しかし、この期に及んで出来てしまった生涯最後の生徒の行く末だけは、どうにも心残りであった。 老人が居なくとも一人で生きて行けるような知識は教えた。人間の恐ろしさ、自然の怖さは充分に伝えてある。 様子を見に来たブリーダーすら「こんなぱちゅりーは見たことありません!」と驚く程品行方正に育ったぱちゅりーなら、 新しい飼い主を見つけることも容易であろう。 出来ることなら自分のように生涯打ち込めるものに出会って欲しい、それだけが今の老人の願いであった。 そしてその願いは、最悪の形で実現することになる。 冬に入り、雪に閉ざされることが多くなった庵の中で、老人は遂に床から出ることが出来なくなった。 酷く咳き込み、時には吐き戻すことすらあるようになった老人を、ぱちゅりーは必死になって世話をする。 しかし如何に知識が豊富と言えど、所詮ゆっくりの身では出来ることなどたかが知れている。 徐々に衰弱して行く老人の姿をただ見守るしか出来ないぱちゅりーの焦燥は日に日に募っていった。 とうとう薬も底を尽き、老人の病状が悪化するのを目の当たりにしたぱちゅりーは決意した。 「先生、ぱちぇはお外でお薬を探してくるわ。咳止めのお薬でいいのよね?」 「馬鹿を言うな。お外は雪が降っておるんじゃぞ、危険に過ぎるわい」 「雪さんは藁の外套で防げるわ。それより、このままでは先生の方が危ないもの。 大丈夫、お薬の場所は知っているから、無茶なんてしないわ」 そう言い残し、藁を編んで作った防寒着を纏い、ぱちゅりーは薬草の群生地へ向けて出発した。 咳に効く薬草なら知っている。秋の半ば頃に見つけておいたものだ。 今は冬だが、あれだけの群生地ならばまだ使えるものが残っている筈。 距離はそう大したものではない。今日中には帰れるだろう。 そんなことを思いながらぱちゅりーは目的地にたどり着き、驚愕した。 そこには、何もなかった。 木々の合間に開けた平地いっぱいに群生していた筈の薬草が、何も残さずに消えていた。 「何で!?何で無くなってるの!?ここにお薬があったはずなのに!?」 半狂乱になりながら、ぱちゅりーは平地を駆けずり回り、薬草を探しまわる。 人間の仕業ではない。 此処のことは里の人間も知らない筈。知っていたとしても根こそぎ刈り取ろうとはすまい。 動物達の仕業でもない。 この草は薬草の名に反して苦みも少なく、薬臭さも無いので動物も食することがあるが、野原には足跡一つ見つからない。 これだけの量を食い尽くすなら、それなりの数で当たらねばならない。そんな跡は何処にも見当たらなかった。 「お薬は!?お薬はどこなの!?あれが無いと、先生が……!!薬草さん、出てきて!!お願い!!」 ぱちゅりーは夜になっても捜索を続けた。 夜が明け、太陽が真上に昇る頃になっても、ぱちゅりーは薬草を探すのを止めなかった。 「むきゅ……むきゅ…………薬草さん……どこなの…………」 鬼気迫る表情で一人呟きながら這いずり回るぱちゅりーの目に、木の枝や枯れ草で偽装された穴が飛び込んで来たのはそんな時であった。 それが野生のゆっくりが造るおうちであることを知っていたぱちゅりーは、藁をも掴む思いでそこに飛び込んだ。 「誰か!誰かいたらお返事して!!お願い!!」 必死なぱちゅりーの呼び掛けに、巣穴を塞いでいた枝が動き、中からまりさが顔を覗かせた。 「……ゆっ!ぱちゅりー!たいへん、すぐなかにいれてあげるね!」 おそらくかなり善良な個体なのだろう、疑いなく巣へぱちゅりーを招き入れる。 巣の中はそこそこ広く、奥に番であろうれいむと、赤れいむ二人が固まってぱちゅりーを警戒していた。 「……まりさ、なんでぱちゅりーをおうちにいれたの?」 「ゆっ!だって、こまっていたんだよ?だったらたすけてあげないとだめなんだよ!」 「なにいってるの!あかちゃんがいるんだよ!?ぱちゅりーのぶんのごはんなんてないんだよ!?」 「だからあかちゃんははるまでまとうっていったのに……」 「なんてこというのぉぉぉぉ!あかちゃんはゆっくりできるんだよ!はやくあかちゃんがみたいねっていったの、まりさでしょおぉぉぉぉぉ!」 「ゆぅ………」 どうやられいむが実権を握っている家庭らしい。これ以上家庭不和を引き起こす気のなかったぱちゅりーは早速本題に入る。 「むきゅう!ご免なさい、れいむ。ぱちぇはそこの原っぱに生えていた草さんを探していたの。 れいむ達は何か知らないかしら?それだけ教えてくれたらすぐ出て行くわ」 「ゆっ?あのはらっぱのくささんならみんなでたべちゃったよ?」 その答えを聞いた瞬間、ぱちゅりーの時が止まった。 「…………むきゅっ!?」 「ふゆさんがくるまえに、むれのみんなでむーしゃ!むーしゃ!したんだよ。 ぜんぜんたりないし、おいしくなかったけど、みんながまんしてたべたんだよ」 何を言っているのだこいつは。 あの薬草は野原一面を覆うような勢いで生えていた筈だ。 それを食い尽くした? どれだけの数で食べればそうなるのだ。 美味しくない? 当たり前だ。あれは薬草なのだから、常食には適する筈が無い。 それを食べ尽くしておいて、ぱちゅりーの先生を助ける筈のお薬を奪っておいて。 「あんなまずいくささんをさがしているなんて、ぱちゅりーはゆっくりできないゆっくりなんだね!ゆぷぷ……」 何を馬鹿面晒して大笑いしているんだ、この糞饅頭は!! 「何言ってるのぉぉぉっ!!あれはお薬なのよ!!お薬を食べ尽くすなんて、何考えてるのぉぉぉぉっ!!」 「「「「ゆ゛っ゛!?!?」」」」 突然猛烈に怒り出したぱちゅりーに、れいむはおろか一家全員が硬直する。 「ぱちぇにはあれが必要なのよ!!雪さんがゆっくりしてない中、一生懸命探していたのに!! 何が可笑しいのよ!何で笑うのよぉおおお゛お゛お゛お゛お゛っ゛!!」 鬼気迫る勢いでれいむに迫るぱちゅりー。その姿を見た赤れいむがそろってしーしーを漏らす。 「……おきゃあしゃん……きょわいよぅ………」 「……ゆっ!!そんなことれいむはしらないよ!!それよりさっさとでていってね!!」 赤ちゃんの声に励まされたのだろう、精一杯ぷくーっ!して虚勢を張りながら、れいむはぱちゅりーを追い出そうとする。 「何ですってぇぇぇぇえ!!」 「まって、ぱちゅりー!あのくささんならすこしだけどとってあるよ!これがいるんだよね?」 さらに詰め寄ろうとするぱちゅりーを、まりさが引き止める。 その口に銜えていたのは間違いなくあの薬草だった。 「まりさ!なにいってるの!それはあかちゃんとれいむのごはんでしょおおぉぉぉおおお!!」 「だまって、れいむ!……おくすりをたべちゃったのはあやまるよ。これだけしかないけれど、ゆるしてね」 そう言ってぱちゅりーの目の前に薬草を置く。正直足りないが、これがここにある分だと言うなら仕方が無い。 「……解ったわ。ご飯を分けてもらってご免なさいね」 「しょうがないよ。おびょうき、はやくなおるといいね」 「とっととでていってね!このやくびょうがみ!!」 申し訳なさそうなまりさと、いかにも迷惑そうな面で追い出しに掛かるれいむ。 対照的な二つの視線に見送られ、ぱちゅりーは家路を急いだ。 (先生、待っててね!すぐ戻るから!!) 「ゆっくりただいま!先生、お薬持って来たわ!!」 雪を振り落とすのすら惜しむように、老人の部屋へ飛び込んだぱちゅりーが見たものは、 枕元を吐血で真っ赤に染めた老人の姿であった。 「先生ぇぇぇえええええ!?大丈夫!?しっかりしてぇぇぇえええ!!」 慌てて駆け寄るぱちゅりーに気付いたのか、老人は薄く目を開ける。 「……おぉ…………ぱちゅりーか……よかった、無事じゃったんじゃな…………」 「先生!待っててね、今お医者さんを呼んでくるわ!」 「待つんじゃ……もう…………間に合わんよ……それよりも……」 そう言って踵を返そうとするぱちゅりーを呼び止め、老人は血塗れの顔に薄い微笑みを浮かべながら掠れ掠れの言葉を綴る。 「……のぉ……ぱちゅりー………お前には感謝しておるんじゃよ……………生涯を……学問に捧げたこの儂が……… 初めて……家庭を、……家族を得られたんじゃ…………本当に……楽しかった…………。 出来ることなら……お前の子供に……授業したかったがの…………それは流石に…………高望みか……。 お前には……出来る限りのことを教えた…………儂がおらんでも…………大丈夫じゃ…………」 「……そんなこと、そんなこと言わないで先生!ぱちぇは…………もっと教わりたいのよ………先生と一緒に居たいのよ!」 泣きながら縋り付くぱちゅりーの姿に、老人は少しだけ困ったような表情を浮かべて言葉を続ける。 「……何……人間五十年からすれば……儂は充分に生きた………満ち足りた、良い人生じゃった…………。 ………ぱちゅりー…………お前も…………そんな………ゆん生を………送れると……良い…………な……………」 「……先生?先生!?せんせぇえええええええいいいいいいいいいいいいっ!!!」 その夜、庵から号泣の声が絶えることは無かった。 ……この度は、故人の会葬に参列いただきありがとうございます。 ……はい、ご香典はこちらです。ご記帳はこちらに……… ……ふぅ。 ……おや、あれは…… ……やっぱり。ゆっくりのブリーダーやってる目出さんじゃないですか。 なんで目出さんが先生のお葬式に? ……へぇ。先生がゆっくりを…… ……いえ、先生にゆっくりを勧めたのは俺なんですよ。 先生も昔気質な所ありましたし、「教え子の世話になんかなれるか!」って感じでこんな所に引っ越しちゃって…… ええ、このままじゃ先生があんまり寂しすぎるだろってんで、ゆっくりだったら賑やかで良いだろうと思いましてね。 ……そうですか。そんなに仲が良かったんですか。 それはそれは……、先生にはご家族もいらっしゃいませんし、丁度お子さんかお孫さんみたいな感じだったんですかね。 ……先生と生徒? そりゃまた先生らしいや。最後まで学問に生きたんですね……。 ……うん?でもゆっくりなんて見掛けませんでしたよ? ……だから探しに来た?先生に万一のことがあったらよろしくって頼まれてた、と。 それで、どんなゆっくりなんです? ……ぱちゅりー?あの紫色の髪の毛の? でもあれって確か結構稀少だって聞きますけど……。 ……ほう、目出さんが初めて育てたぱちゅりーだったんですか。 ふぅん、体が弱い種だから大人になる個体が少ないだけで、稀少種ではないんですか。 成る程、解りました。見掛けたら目出さんとこに連れて行きますよ。 ……でも、所詮ゆっくりなんですね。飼い主が居なくなったら逃げ出すなんて…… ……わ、解りました、すいません、謝ります。この通り。 はい、見つけ次第連絡しますよ。それじゃあ…… ……ううむ。目出さんもいい人なんだけど、ゆっくりが絡むと怖いからな…… でも、そんなに優秀で義理堅い奴が行方をくらますなんて、何事だ? 案外、先生の敵でも探しに行ったのかな?……なんて訳無いか。 ……さて、そろそろ出棺か。 先生にはお世話になったからなぁ。最後まで見届けないと…… 冬の曇天の下を進む葬列を、遠くはなれた草むらから見送る影があった。 ぱちゅりーである。 「先生……向こうでもずっとゆっくりしててね……」 ぱちゅりーは老人以外に飼われるつもりなぞ一切無かった。 老人の最後の生徒として、一生を懸けるに足る目標を見つけ、一人で生きるつもりで居た。 人間の怖さは充分理解している。飼い主の居ない野良ゆっくりが辿る未来など簡単に予測がついてしまう。 幸い、野山に生える草花の見分け方や、餌となる虫の捕まえ方は熟知している。 不安も残るが、生きて行くだけの自信はあった。 「まずはお家を造らないとね……木さんや洞穴さんは誰かが使ってるでしょうし、今から地面さんを掘り返すのはさすがに…… そうね、草さんと枝さんがあるならこれでお家を造っちゃいましょう。雪さんが積もらなさそうな所を探して……」 ぱちゅりーにとっても一人での越冬は初めての経験だ。 あまつさえ季節は冬の半ば。通常なら自殺行為であろう無謀な挑戦だが、彼女には勝算が見えていた。 (ご飯が必要なのは冬の間起きているからよ。熊さんみたいに冬眠すれば必要最小限で済むわ) 勿論食いだめなぞできないゆっくりでは難しかろうが、一日の大部分を寝て過ごし、目覚めた時に食事をすれば体力と食糧の消耗は防げるだろう。 あのまりさに貰った薬草はそのまま持って来た。風邪くらいならすぐ治せる筈だ。 洞窟や木のうろを使った巣とは違い、草や木の枝で組んだ家は頑丈とは言えないが、その分造ったり壊したりが容易になる。 問題が起こったらさっさと引っ越せば済むのだ。 普通のゆっくりでは難しかろうが、老人に教育されたぱちゅりーなら問題の兆候を察知し、被害が及ぶ前に実行出来る。 こんな形で老人の教育が生かされるのを複雑に思いながら、ぱちゅりーは初めての越冬に望んだ。 山の裾野に広がる森の中心、ぽっかり開いた場所にある小高い丘。 春の日差しが降り注ぐ丘の天辺に、奇妙なものが建っていた。 遠目から見るととんがり帽子のようなシルエットに見えるそれは、木の枝を組み合わせて周りを枯れ草で葺いたもの。 ぱちゅりーの造った巣であった。 数回の引っ越しの後、偶然見つけた日当りの良い好物件に、ここを永住の地に定めたのである。 「……ゆっ!お日様がぽかぽかしてるわ。春になったのね」 初めての越冬を成功させたぱちゅりーは、早速自分のゆっくりプレイスを見回ってみる。 ご飯やお薬になる草の生える位置、危険な生物が侵入しそうな場所、水源やおトイレになりそうな小川の探索……。 冬の間纏めておいた『最低限必要なもの』を確認して行く。 不意に下生えの薮が音を立てた。 ぱちゅりーは慌てて身を隠す。 猪や熊であったら勝ち目は無い。蛇もあれでなかなか素早いので、運動の不得意なぱちゅりーでは逃げ切ることが出来ない。 故に身を隠す事を選択したのだが、それは杞憂に終わった。 「ゆっ!いいおてんきだね、おちびちゃん!」 「「ゆ~っ!」」 薮を掻き分け現れたのは、ゆっくりれいむとその子供らしき子れいむ二匹。 どうやら冬籠りから解放されて、この丘にお散歩に来たらしい。 熊や猪でなかった事に安堵し、ご挨拶をしようと近付いたぱちゅりーは、それがいつかのれいむである事に気付いた。 「ここはぱちぇのゆっくりプレイスよ!れいむ、ゆっくりしていってね!」 「ゆっ!ここはとてもゆっくりできるゆっくりプレイスだね!ここをれいむのおうちにしてあげるよ!」 ……今、こいつはなんて言った? 「ゆっ!ここはぱちぇが見つけたゆっくりプレイスよ!れいむのおうちじゃないわ!」 「ゆゆっ!れいむはしんぐるまざーなんだよ!かわいそうなんだよ!ゆっくりさせてくれないぱちゅりーはさっさとでていってね!」 「そーだそーだ!」 「さっさときえろ、くず!あとあまあまちょうだいね!」 ……片親だと? 「……ねえ、れいむ。貴女、確かまりさと一緒に居たわよね?」 「ゆ~ん!れいむたちをゆっくりさせないげすまりさなら、れいむたちのごはんになっちゃったよ!」 「むのうなおやはゆっくりしんだよ!」 「かわいいれいむたちをゆっくりさせないなんて、ばかなの?しぬの?」 ……何だこいつらは。 ……こんなのが野生のゆっくりなのか。 ……先生をゆっくりさせなくしておいて、薬草を譲ってくれた優しいまりさを殺しておいて。 「ここはもうれいむたちのゆっくりプレイスだよ!ぱちゅりーははやくしんでね!」 「「しんでね!!」」 ……こんなのが、自分の同類だと言うのか!! 「なにだまってるの!さっさとでていかないとおこるよ!ぷくーっ「うるさい」ゆ゛っ゛!?」 れいむには、何が起こったのか理解できなかった。 ぱちゅりーが一瞬だけぷくーっ!したかと思ったら、何かがれいむのお目目を直撃したのだ。 その正体は鋭く尖った小石。 ぱちゅりーが獣達に出会った時、相手を怯ませて身を隠す為に常に口に含んでいたものだった。 「ゆ゛ぎゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!い゛じゃ゛い゛!い゛じゃ゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 「「ゆ゛あ゛あ゛!お゛ぎゃ゛ーじゃ゛ん゛の゛お゛べべぎゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」」 片目を失い、痛みに七転八倒するれいむと、それを見て恐慌状態に陥る子れいむ達。 そのゆっくりできない姿を尻目に、ぱちゅりーはもう一つの武器を取り出した。 「どぼじでごん゛な゛ごどずる゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛!!でい゛ぶな゛ん゛に゛も゛じでな゛い゛の゛に゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 「……その厚顔無恥だけで充分よ、貴女が死ぬ理由は」 「ゆ゛びぃ゛っ゛!?!?」 「「お゛ぎゃ゛あ゛じゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛っ゛!!」」 聞くに堪えない薄汚い悲鳴をあげていたれいむのお口に何かが突き刺さる。 ぱちゅりーがZUN帽から取り出したのは太い木の枝の先に、平たく割れた黒曜石を取り付けたもの。 簡単な出来ではあるが、ゆっくりの身では人間の使う高度な道具など文字通り手も足も出ない。 それでも、身を守るため必死になって作り出した正真正銘の武器である。 原始的な造りであっても、所詮ゆっくりでしかないれいむには充分すぎる凶器であった。 最早断末魔の痙攣を繰り返すのみとなった母の姿に、しーしーを漏らしながら怯える子れいむ達へ視線を移し、 ぱちゅりーはゆっくりとにじり寄って行く。 「……またお漏らし?貴女達って赤ちゃんの頃から変わってないのね」 「ゆ゛びぇ゛ぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!ごめ゛ん゛な゛じゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛い゛!!」 「ごろ゛じゃ゛な゛い゛でえ゛え゛え゛え゛え゛!!あ゛や゛ま゛っ゛だでじょ゛お゛お゛お゛お゛!!」 泣き喚く子れいむ達に、一切の憐憫は湧かなかった。 そのままぱちゅりーは、 「恨むなら、父親に似なかった自分自身を呪うことね」 「「も゛っ゛どゆ゛っ゛ぐぶべぇ゛!!!」」 ゴミでも捨てる感覚で、子れいむ達を踏みつぶした。 丘を照らす陽光が殺人的な暑さを帯び、里の向日葵が満開に咲き乱れる夏のある日。 ぱちゅりーはゆっくり達を率いて丘に君臨していた。 あの後、ぱちゅりーは様々なゆっくり達と出会い、そして幻滅していた。 すぐ思い上がり、無茶な事をしては周りに迷惑をかけて自滅するまりさ。 一寸した事ですぐ発情し、己を押さえる事無く相手が死ぬまですっきりー!するありす。 何かと言うとすぐ居もしないらんを頼ろうとするちぇん。 道具を使うだけの頭を持ちながら、それを暴力にしか生かさないみょん。 そしてあの親子のように子供をダシにして自分だけゆっくりしようとするれいむに、 幼い頃の自分を思わせるプライドだけは高い癖に何も知らないぱちゅりー。 中には優秀で思いやりのある優しいゆっくりもいるのだが、いずれもゲスなゆっくりにゆっくり出来なくされてしまった。 (……ゆっくりがゲスになるのは、もう種としての本能ね。自分のゆっくりを最上に置くから、自分本位なゲスになる。 ……ぱちぇも先生に飼われなかったら、こいつらみたいになっていたのかしら?) ぱちゅりーは自分も含めたゆっくりと言う種を嫌っていた。 ゲスに堕ちるのが宿命と言わさんばかりの自分達のあり方を心の底から憎むようになり、 やがてぱちゅりーの心中に、ある決意が芽生えていた。 (そうね、こんな生き物は滅ぼすべきだわ。一匹残らず殲滅するべきよ!) その思いを自覚した時、ぱちゅりーはそれを生涯の目的に掲げた。 飼い主であった老人の願った通り、生涯を捧げる目標を得たのである。 ……老人の願ったものとは全く違う、ドス黒い餡子に塗れた道に。 だが一匹一匹殺してまわったのでは到底目標を達成できない。 それではぱちゅりーが死ぬまでに幾ら殺したとて、全滅にはほど遠い。 しかしぱちゅりーはそこで発想を変えた。 自分が死んだら根絶できないのなら、自分が死んでも絶滅へ向かうよう、ゆっくり達を教育すれば良いのだ、と。 ぱちゅりーは手始めに医者を開業する事にした。 ゆっくり達は弱い。一寸した事で傷ついてしまうが、逆に言えば一寸した傷でも死なない程度には丈夫なのだ。 だから即死でもない限り、ゆっくり達に医者の需要は多いのである。 老人から伝授された薬草の効能を元に、薬理生理学観点から診断された症状に適したお薬を処方する。 それは元々適当な生態を持つゆっくりには劇的な効果があった。 やがて「おかのおいしゃさん」の名声が高まるにつれ、ぱちゅりーを長に頂きたがるゆっくりが現れた。 それは「おかのおいしゃさん」におんぶに抱っこしてもらい、楽に生きようとする怠惰なゆっくりの習性であったが、 むしろそれを待っていたぱちゅりーは長になる事を了承。 自分の根城である丘に招き入れ、群れの創設を宣言した。 そこからはまさに日進月歩の勢いであった。 まず、巣の作り方を変えさせる事から変革は始められた。 巣をお互い見える位置に作り、他の巣に異常が発生したらすぐに気が付くようにする。 たったそれだけなのだが、それすらもゆっくり達の餡子脳には理解しづらかったらしい。 梅雨の長雨で全滅した巣がいくつも出て来たことで、ようやく長の言いたかった事を理解した群れは長の先見の明を讃えた。 次に狩りの役目を分担させることにした。 割と頑丈な上にお帽子を使う事で大量の輸送が可能なまりさに遠くの草や木の実を、素早い動きが得意なちぇんに小型の虫を集めさせ、 大型の虫に武器を使うみょんを充てて、特に秀でるもののないれいむとありすには近くの草を集めさせるよう振り分け、それぞれにノルマを与える。 狩った獲物は一度集めてから働きに応じて配分する。ノルマを果たせなかったゆっくりには何も与えない。 勿論独り占めしようとするものも現れたが、それぞれを班に分けて班ごとの行動を義務づける事でそれを防ぐ。 それでも獲物をちょろまかすものは居たが、ノルマを果たせずにちょろまかした獲物より、 ノルマを果たして分配される獲物の方が遥かに量も種類も豊富な事に気付くと、不逞の輩は自然消滅して行った。 続いてゆっくり口統制に挑んだ。 この辺りは食糧が豊富であるが、それでも消費すればいつかは尽きる。 森の生態系にダメージを与えない程度に留めておくには、ゆっくりの数を増やさない事が第一なのだ。 しかしこれは難航した。 何しろゆっくりにとって『あかちゃんはゆっくりできる』が不文律である。 いきなり『あかちゃんをつくるな!』と命令しても受け入れる訳が無い。 そこでぱちゅりーは『がっこう』を開く事にした。 子供達に教育を施し、ゆっくり口統制の有用性を理解させようとしたのである。 だがそれは逆にゆっくり口爆発を生んでしまった。 子供達が学校に行っている間、手の開いた親達がすっきりー!してしまい、子供を量産し始めたのだ。 親達に言わせれば『あかちゃんがいなくなってさみしくなったから、あかちゃんをつくったんだよ!』だそうであるが、 この理由には流石にぱちゅりーも呆れるしか無かった。 そこで手のかかる赤ちゃんのうちは親の手元に置き、ある程度したら『がっこう』へ入学させる制度に切り替えてみた。 その効果は抜群であった。 子供達が『がっこう』に通っているだけで、子供が居なくなった訳ではない事を忘れてすっきりー!した家庭は目に見えて衰弱した。 当たり前と言えば当たり前である。 別に家族が減った訳じゃないのに子供を作れば、当然食い扶持は増える。 子供が幾ら居ようと、狩りの獲物は働きに応じて配られるから変わる事は無い。 むしろ赤ちゃんの世話で狩りに出られない家族は割当が減って行く為、無計画なすっきりー!をした家庭はどんどん貧しくなるばかり。 やがて全滅する家庭が出始めた所で、ぱちゅりーが『こうなりたく無ければ、すっきりー!は春だけにするのね!』と群れに伝えた。 実例を見せつけられれば、如何に餡子脳とて理解できる。 こうして難航したゆっくり口統制は、ゆっくり達の自爆と言う助けを借りて実現した。 最後に挑んだのは、『ゆっくり達に善悪と言う社会観念を理解させる』という難業だった。 ゆっくりの価値観はたった一つ。 『ゆっくりできるか、できないか』である。 どんなに自分に非があろうとも、それで自分がゆっくり出来るなら正しい事なのだ。 逆にそれがゆっくり出来なければ、どんなに自分に利益があろうとも悪い事になってしまう。 過去、凄腕のブリーダー達が挑んでは破れていった試みに、ぱちゅりーはあえて踏み込んだ。 まず『がっこう』に通う子供達の教育方針から見直された。 悪いゆっくりとは何か、良いゆっくりとは何か。 だが善悪を教えた所でゆっくりには理解できない。 そこで考え出されたのが、『悪いゆっくり=自分だけゆっくりするゆっくり』、 『良いゆっくり=皆で一緒にゆっくりするゆっくり』の構図である。 「皆でゆっくり出来ない子は、とても悪いゆっくりです」 「皆でゆっくりする為には、我侭を言ってはいけません」 「そんな悪いゆっくりは、お目目を抉って死んでもらいます」 「解りましたね?」 「「「「「「「「「わ゛……わ゛がり゛ま゛じだぁ゛っ゛!!」」」」」」」」」」 実際に虫さんのお目目と土団子で作られたお人形で実践してみせた『おしおき』に、 子供達はそろってしーしーを漏らしながら理解を示した。 子供達はこれで良いとして、問題は既に成体になったゆっくり達である。 子供達の親が彼女達である以上、せっかく洗脳に成功した子供達を元に戻されてしまう可能性は高い。 そこで考えついたのは『見せしめ』である。 まずは群れの掟を制定し、公布した。 一つ、ゆっくりはゆっくりをころしてはならない。 一つ、ゆっくりをゆっくりさせなかったゆっくりはおめめをえぐってついほうする。 一つ、かってにかりをしたゆっくりはおかざりをぼっしゅうする。 一つ、いくじほうきしたゆっくりはまむまむをつぶす。 一つ、たにんのおうちでおうちせんげんしたゆっくりはいっしょううんうんがかりにする。 (補足……うんうん係とは、おトイレになっている場所でうんうんを食べて片付ける係の事) 一つ、たにんのもちものをかってにじぶんのものにするゆっくりはいちねんかんうんうんがかりにする。 一つ、がっこうにこどもをかよわせないゆっくりはさんかげつかんうんうんがかりにする。 一つ、けんかをするゆっくりにはさいばんをおこない、わるいほうをいっかげつかんうんうんがかりにする。 一つ、おといれいがいでうんうんするゆっくりはいっしゅうかんうんうんがかりにする。 一つ、はいきゅうされたごはんはどうつかってもじゆうである。 かなり厳し目の掟だが、ぱちゅりーにはこれを守れないゆっくりが出て来てくれた方が有り難かった。 そして期待通りに掟破り第一号が現れた。 あるまりさがれいむが見つけたお花を横取りしたのである。 掟に従えば裁判に懸けるのが妥当であろうが、ぱちゅりーはあえて最上級の罰を適用したのだ。 「なんでなんだぜ!まりさはなんにもわるいことしてないんだぜ!」 丘の上で取り押さえられ、身動きの取れないまりさを前に、ぱちゅりーは声高らかに罪状を告げた。 「このまりさはれいむが見つけたお花を横取りしたわ!まだれいむの持ち物になっていなかったけれど、 れいむが一生懸命見つけたお花を横取りした事で、れいむはゆっくり出来なくなった!! したがって掟に基づき、『おめめえぐりのけい』に処する!!」 「やめるんだぜ!!まりさのおめめがなくなったら、ゆっくりできなくなるんだぜ!!」 喚くまりさに呆れた様子で、ぱちゅりーは言葉を続けた。 「もし、このまりさがお花の代わりに自分のご飯をれいむに分けてあげていれば、こんな事にはならなかったわ! これはまりさの自業自得よ!ゆっくりできないまりさが群れに居たら、皆ゆっくり出来なくなるもの!! 皆の為にも、このまりさは処刑するべき! 今後、まりさみたいにゆっくりできないゆっくりはこうなるから、覚えておきなさい!」 「ゆ゛ぎゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!!!!!」 刑は確実に執行された。 この事件におけるぱちゅりーの行動には、ある目的があった。 掟を破ったゆっくりの末路を見せつける事と、ゆっくりに物々交換の概念を理解させる事である。 掟の最後の一文はその為の物。そしてまりさが物々交換を実行していれば助かったであろう事を匂わせて、一気に理解させたのである。 ゆっくり達はこぞって掟を理解しようとした。 学校で掟を教わった子供達が理解している事を知ると、子供達に自分の行動をチェックさせて掟破りをしてるかどうか確認する。 まりさの尊い犠牲を経て、群れは急速に文明開化を進めて行ったのである。 こうして様々な事をゆっくり達に教え込んだぱちゅりー。 だが、彼女はたった一つだけ、群れに教えなかった事があった。 それは人間の事。 人間の恐ろしさも、その強さも、その賢さも。 お野菜を育てる畑の事さえ、ぱちゅりーは一切教えなかった。 ぱちゅりーは番を迎える事はなかった。 しかし群れの後継者を育てる必要性を感じていたある日、あるぱちゅりーが急逝した。 死因はにんっしんっであった。 病弱を押して胎生出産を断行し、母子共々危険な状態に陥った為に帝王切開に踏み切ったのだが、それに母体が耐えきれなかったのだ。 子供のぱちゅりーは無事だったが、父親のまりさ一人では生まれたての赤ちゃんを育てる余裕なぞない。 困り果てた所へ、長ぱちゅりーがこう言い出した。 「ぱちぇが引き取るわ。この子に帝王教育を施して、次の長に育てましょう」 この申し出にまりさは喜んで我が子を差し出した。 既に長ぱちゅりーへの信頼は盲信に変わりつつある。 長の言う事に従ってさえ居れば、ゆっくり出来るのだ。その長を疑う真似が出来る筈がない。 ましてやこの偉大な長の後継者になれるのだ。ならばその親である自分はもっとゆっくり出来るだろう。 親子の愛情よりもゆっくりらしい打算が勝り、生まれたての赤ぱちゅりーは長の養子になった。 後にこのまりさは他のゆっくりと諍いを起こし、『おめめえぐりのけい』を受けて追放される憂き目に遭うが、それは蛇足であろう。 とにかく、問題だった後継者を得た事で、群れのゆっくり達は「これでひとあんしんだね」と肩を撫で下ろした。 その、真の目的に気付く事無く。 長の養子となったぱちゅりーには、その日から厳しい教育が待ち受けていた。 群れの掟と制定の理由、群れのゆっくり口を把握する為の三桁以上の計算、平仮名と片仮名の習得……。 遊びたい盛りの赤ゆっくりの内から猛烈な教育を施され、養子ぱちゅりーは次世代に相応しい教養を身に着けて行った。 だがそこは子供、稀に我侭も言い出すのだが、その度に 「ぱちぇの跡継ぎになれなくても良いのね?そんな悪い子はぱちぇの子供じゃないもの。だったら早くおうちから出て行きなさい」 と脅され、おとなしく従う他なかった。 やがて養子ぱちゅりーも成ゆん式を迎え、立派に大人になったのを確かめると、長ぱちゅりーは群れに宣言した。 「ぱちぇは長を引退するわ!今日からこの子が長よ!」 晴れて後継者となった養子ぱちゅりーは、親の偉業を超えようと努力した。 裁判に証人制度を取り入れて確実性と正当性を強化し、狩りの編成を種族毎ではなく個人の能力別にしたり、 『がっこう』を偶然見つけた洞穴に移し、教師役を長から群れのぱちゅりー達に移して雇用を拡大したり。 群れに若干残っていた問題点を見事に修正してみせた。 それが先代の長がわざと残した物である事に気付けないままに。 そして時は流れ、ぱちゅりーは野生のゆっくりではごく稀な寿命で死ねるゆっくりになった。 死の寸前、己の死を嘆き悲しむ群れを背にした愛娘の表情を見て、ぱちゅりーは計画の成功を確信した。 そこに浮かんでいたのは偉大な親の死への哀惜ではなく、ゆっくりさせなかった親への憎悪。 そうなるように仕向けたぱちゅりーの思い通りの表情であった。 我が子には出来る限りを仕込んだが、たった一つだけ、伝えていない事がある。 自分を変えた老人の一言、『無知の知』を。 偉大な長の後継者と言うプライドに凝り固まった養子ぱちゅりーには、どうやっても親の偉業は超えられない。 自分が何を知らないのかを知らない以上、新しい事を知る事は出来ないのだから。 この群れは将来崩壊するだろう。 人間によってか、自然の脅威によってか、はたまた自滅によるものかは知らないが、必ず崩壊する。 そして彼女達が新たな災厄の種となり、他の群れに伝播するだろう。 それを繰り返す事で、ゆっくりと言う種はこの世からゆっくりと消滅して行くのだ。 それは十年後かも知れない、百年後かも知れない、もしかしたら千年以上未来の事かも知れない。 しかし遠い未来において、ゆっくりと言う種が根絶されるのは確定したのだ。 死に行くぱちゅりーの口元に笑みが浮かぶ。 己の一生を費やした復讐の完成を祝って、自分と老人の幸せを壊したゆっくりへの仕返しが成功した事を祝って。 (……先生…………仇は……討ちました…………) 目の前が段々昏くなって行く。 光を失うその一瞬、ぱちゅりーは自分を撫でる優しい手を確かに感じていた。 ぱちゅりーの死に顔はとても穏やかであった。 こんなにゆっくりしたゆっくりはそうはいない、群れはそう讃え、その死を惜しんだ。 その死に顔の裏に、限りない同族への憎しみが渦巻いていたことを知らないままに。 ……悪意の種が深く静かに根付いたことを知らないままに。 ※まだ終わりじゃないんじゃよ。もうちょっとだけ続くんじゃ。 と、言う訳で外伝その一。 先々代はこんな事考えてました、と言うお話。 前作の感想でここら辺の設定を指摘されたときはちょっぴり焦ったのは内緒。 今の所このシリーズは本編二話と外伝一話で完結予定です。 最も遅筆な上、今後はお休みが取り難くなるのでかなり不定期になると思いますが、 出来ましたなら最後までお付き合いしてくださると嬉しいです。 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 祝・商業出版決定!・・・と思ってしまったほどw 面白いわ、これ。 -- 2014-05-10 21 49 47 これはもうプラチナゆっくりでいいだろう 人間からみたらゲスどころかゆっくりを根絶してくれる全良ゆっくりだぜ? 人間のもとである程度子供つくれなかったのが悔やまれる -- 2013-11-02 23 59 54 俺は結構好きだ この作品 -- 2013-07-02 17 39 21 つまらないっていうコメントはしないほうがいいんじゃないか?個人的な感想であって、喧嘩の種になるわけだし。それに好みは人それぞれだからね、自分の考えが他の人達のの平均ってわけじゃないだろう -- 2013-05-08 22 01 12 どこがイケメン?気に入らない意見に文句言ってるだけじゃん -- 2013-04-28 01 27 09 ↓返しイケメン杉ワロタwwwwww -- 2013-03-20 17 51 21 ↓お前が思っているように周りはお前をつまらないと思っているから大丈夫だ -- 2013-01-17 14 07 51 厨設定ってほぼ総じてつまんない気がする。 これも同じ。 -- 2012-11-19 10 13 44 相手が無能なゆっくりであることを考えると、この社会構造を作るだけでも、そんじょそこらの人間じゃ無理だ。 しかも遠い将来に群れが滅亡する因子を意図的にはらませるとか・・・ 人間でもほんの一握りの、高い政治力がある奴にしか出来んぞ。 -- 2012-09-22 21 13 46 すげえ・・・ゆっくりとは思えねえ・・・ -- 2012-07-12 19 02 47 ぱちゅりー強杉ね? -- 2012-03-15 21 06 20 ↓ この場合責任転嫁じゃないし、そういうことじゃないんだよ。 その薬草でお爺さんが薬をつくっていてそれをぱちゅりーが知っていた、もしくはその薬草にすがってでも助けたいと思った、できる可能性があった。 そもそも薬て病気を治すんじゃなくて症状を抑えるものだから。 それを全部食いつくされたうえに馬鹿にされたんだから普通怒るだろ? -- 2011-11-12 06 16 13 薬草なんかでおじいさんの病気治るとは思えんし、クズれいむに責任転嫁乙です かっこいいから許すけど -- 2011-07-09 08 05 10 真の賢人につけばゆっくりも賢者になれるか… おじいさんは、偉大なブリーダーだったんだな。 3代目の阿呆っぷりも餡子引き継いでないので納得ww -- 2010-10-04 19 30 16 一番賢いぱちゅりーが一番ゲスって事かw しかしアホの3代目は偉大な先々代の餡子 をひいてなかったんだねw納得w -- 2010-09-14 07 39 00 ブリーダーよ、何故真っ先に二大ゲス種を勧めたしwww -- 2010-08-27 09 23 43 賢過ぎだろ下手な人間以上だ。 -- 2010-08-21 16 32 03
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下拵え 27KB 虐待-いじめ 野良ゆ 赤子・子供 作中の各種設定はテキトーです。 寒空の下。 男が公園のベンチに座って、もそもそとあんまんを食べていると、一匹のゆっくりれいむがやってきた。 「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」 れいむは元気よく男に挨拶した。 「はあ」 男のただ吐息に声を乗せただけの挨拶は、れいむのお気に召さなかったようだ。 「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!! れいみゅはれいみゅだよ!」 さっきより元気な声で挨拶してきた。自己紹介付きだが、それは見れば分かる。 れいむは男の顔をじっと見つめ、リアクションを待っている。実に自信満々といった顔つきだ。 「ゆっくりしていってね~」 今度は男も挨拶を返す。語尾を間抜けに伸ばしたその挨拶にも、しかしれいむは満足してくれた。 「ゆっ! おにいしゃん! れいみゅ、ゆっくちおねがいしゅるよ!」 「なんだ?」 暗に「予想はつくけどな」という含みを持たせた問いかけだったが、れいむはそれに気づかない。 果たして、れいむは男の予想通りの答えを返した。 「れいみゅにあみゃあみゃちょうだいにぇ!」 この手の野良ゆっくりの欲しがるものといえば、おおむね食べ物か住む所だ。 金品を要求する小生意気な奴も、いるにはいる。ただそういう連中は、芸を人間に見せたり、人間の手伝いをするなどして、その対価として代金を受け取っている。いわば殊勝なゆっくりと言えた。 このれいむは単純に甘いものが欲しいらしい。具体的には男が食べている、いまだホカホカのあんまんだ。 男はあんまんを見つめ、しばらく思索にふけった。 「どうちたの、おにいしゃん! れいみゅのおねがいきいちぇにぇ!」 れいむが催促してきた。 ややあって、男も口を開く。 「――そうだな。えーと、おまえ、何か得意なことはあるか?」 「ゆっ? とくいなこと?」 「そう。たとえば――おまえらの仲間にまりさってのがいるよな」 「まりしゃはれいみゅのおとうしゃんだよ!」 小さく頷き、公園内の池を指差して男が続ける。 「そのお父さんと同じまりさが、たまにあの池で遊んでるんだよ。この寒い中でも、わざわざ帽子に乗って水に浮かんで」 「ゆっ! おとうしゃんはぷーかぷーかできりゅよ!」 父親が褒められたようで嬉しいのか、れいむが自分の手柄のように胸を張った。 「あれ、すごいよな。自分や家族の、生活とか行動の幅が広がるっていうかさ――で、れいむはそういうことできないのか?」 「できにゃいよっ!」 即答だ。しかも胸を張っているのはどういうわけか。 「ぱちゅりーは頭がいいんだろ? ありすってのは、たしか都会派なコーディネートが得意なんだっけか」 「おにいしゃんはくわちいにぇ! ゆっくちしちぇるよ!」 「ありがとう――で、れいむには何か得意なことはないのかと、そう聞いてるんだよ」 「ゆ? ゆゆっ?」 れいむは困惑している。男が何を言いたいのかわからないのだろう。 「れいむの得意なこと。まりさたちのように、特に他者の役に立つようなヤツな。それを今から見せてくれ。それに俺が納得できたら、このあまあまを少しだけわけてあげてもいいぞ」 「ゆゆう~っ?」 「その代わり、納得できなかったらコレね」 男は右手の中指を親指で弾いて見せた。いわゆるデコピンだ。 デコピンといえど、子ゆっくりにとっては結構なダメージになる。それでも、 「わかっちゃよおにいしゃん! れいみゅ、とくいなことをみしぇるよ! ゆわーい、あみゃあみゃ! あみゃあみゃ!」 あまあまの魅力に眩んだ目には、デコピンの恐怖は見えていないらしい。れいむは了承した。 それでも、本当はすぐにでもあんまんが食べたいらしい。れいむの口から思わず本音がこぼれる。 「……でも、しゅこしめんどくちゃいにぇ」 それを聞いた男は、 「確かにな。でも、うまいものを食べる下拵えだと思えば……」 と呟いた。 それはただの独り言だったが、れいむは励ましの言葉だと受け取ったようだ。 「ゆっ! れいみゅ、ゆっくちしたごしらえしゅるよ! えい、えい、ゆー!」 元気に声を上げた。 「じゃあ、さっそく見せてもらおうかな」 「ゆっ! じゃあいきゅよ! れいみゅ、ぴょんぴょんしゅるよ!」 おもむろに飛び跳ねるれいむ。得意げに男の顔を見ている。 その額に狙いを付け、男はデコピンした。宙にいたれいむは、着地を失敗して顔面から地面に落ちた。 「ゆべべっ! なにしゅるの、おにいしゃん!?」 「ふざけてんのかバカ。それはおまえ――れいむ種だけじゃなくて、ゆっくりみんながよくやる動きだろ?」 男の意図がよく伝わってなかったのだ。 「でもぱちゅりーはできないよ! れいみゅのほうがじょうずだよ!」 「駄目。そもそもぴょんぴょん跳ねるだけなら、ノミの方がよほどすごいぜ。お前の得意なことってのは、ノミ以下のチンケなものなのか?」 「ゆがーん! のみしゃんいかああああああ!?」 ちっぽけなノミより格下と見なされて、れいむはショックを受けたようだ。そのショックは自ら発した効果音だけでなく、大きく開かれた目や口からも伝わってくる。 「おまえを含めてれいむならでは、ってのを見せてくれよ。それとも得意なことなんてないのか?」 「ゆ、ゆっくちりきゃいしちゃよ! こんどはうみゃくやりゅよ!」 そう言って、今度は体を伸び縮みさせはじめるれいむ。 「のーびのーび―……いぢゃいいっ!? やめちぇにぇ! やめちぇにぇ!」 男はあんまんを食べながら、二度三度とデコピンを食らわせた。 「だからそういうのは駄目なの」 「とくいなことをみせたけっかがこれだよ! おにいしゃんはわがみゃみゃだにぇ!」 「まだわかってないのかこのバカ。だいたい、それが何の役に立つんだよ。伸びるだけならパンツのゴムの方がよほど便利だぜ」 「ゆ? ぱんちゅ、しゃん?」 れいむはパンツの意味を理解していないようだ。この挑発は無駄だったか。 男は溜息をついてから、優しく言う。 「いいか? お父さんがまりさってことは、お母さんはれいむだよな? たとえば、お母さんは何が得意だ?」 れいむ種にも特技はいくつかある。中でも定番なのは―― 「ゆっ! おかあしゃんはおうちゃがじょうじゅだよ! れいみゅもおしえてもらっちゃよ!」 そう、歌だ。道端で歌を歌って金を稼いでいるゆっくりも、圧倒的にれいむ種が多い。 「それそれ、そういうのをやってくれって言ってるんだよ」 「ゆっくちりきゃいしちゃよ! れいみゅ、ゆっくちうちゃうよ!!」 「おお、やれやれ」 男が拍手をすると、れいむは歌い始めた。 「ゆっくちのひ~、まっちゃりのひ~」 「……」 「しゅっきりのひ~、ゆゆゆのゆ~」 「……」 目を閉じて気持ちよさそうに歌っている。 男は中指を引き絞り、より強めにデコピンをした。 「ゆゆゆ~――ゆぎゃおっ! ……ゆわーん! いぢゃいよおおお!! れいみゅちゃんとうちゃっちゃのにいい!」 「駄目。聞くにたえない。ヘタクソだなあ、おまえ」 男も予想していたことだったが、れいむの歌は雑音にしか聴こえなかった。これではとても金を稼げないだろう。通行人に踏み潰されるか、加工所や保健所に通報されるのがオチだ。 役に立つどころか、むしろ死期を早める行為と言える。 だが、れいむは納得いかないらしい。 「ゆっ!? おにいしゃんはしちゅれいだにぇ! れいみゅのおうちゃは、おかあしゃんだって『てんしさんのようなうたごえだにぇ』ってほめちぇくれたんだよ!」 「へえ」 それは子どもに気持ちよく歌ってもらうための、人間の親も使う方便だったとしか思えない。もっとも、このれいむの歌がゆっくり的に上手いのかどうかなど、男に、人間にわかりようもないのだが。 人間でも素直に美しいと感じる歌を歌うゆっくりもいるが、それは極少数だ。 そうとわかっている上で、男は言った。 「はっ、おまえンちはお母さんもバカなのか? それは歌じゃなくて雑音って言うんだって、だいちゅきなおかあしゃんに教えてやれよ」 その言葉に、 「ゆゆうううっ! ぷんぷん! おんこうなれいみゅもおこっちゃよ!」 れいむが怒りだした。 自慢の歌と、それを認めてくれた母親を貶されては、さすがに我慢できなかったようだ。 「おにいしゃんはゆっくちあやまっちぇにぇ! ぷきゅうううう!」 れいむは頬に空気を溜めて男を威嚇する。 キリっとした眉毛に、男を射抜かんとする鋭い視線。普段のニヤけ具合が嘘のようにきつく結ばれた口元。それぞれのパーツだけを切り取ってみれば、りりしいと言えないこともない。 それを見た男は、右手の人さし指と親指を使って、パンパンに張ったれいむの頬を挟んだ。 男がその二本の指に少し力を入れると、れいむの口から、 「ぷしゅるるるるるる!」 というれいむ自身による効果音とともに、頬に溜まった空気が吐き出される。 「るるるううううう――ゆ? ゆ?」 空気と一緒に怒気も抜けたのか。きょとんとするれいむの眉間に、男はデコピンを見舞った。 「いぢゃいっ!」 ころんと、れいむは仰向けに転がった。空を見上げて目をぱちくりさせている。 「そういうのは駄目だってば。『ぷくー』はれいむだけが得意なことじゃないだろ」 男は空とぼけて言った。 「ちゃんとれいむ種だけが得意なことを見せてくれないと。しかもその、『ぷくー』だっけ? 恐くもなんともないな。その辺のアリンコの方がよほど恐いぜ」 男の言葉に、れいむは体を起こして抗議する。 「れ、れいむのぷきゅーは」 「知ってる。アリンコよりも弱っちいんだよな。さ、はやく得意なことをみせてくれないと、あまあまがなくなっちゃうぞ?」 れいむの言葉を遮り、男はあんまんの端をチビリとかじった。 「さあ、お次は何かな? ぱちゅりーの超天才的頭脳や、ありすの都会的なハイセンスに匹敵する特技を、俺に見せてくれ」 男は口から出任せを言いながら、れいむの目の前にあんまんをちらつかせる。 「ゆゆ~ん! よだれがじゅーるじゅーる!」 その香りに鼻腔をくすぐられたのか――鼻などないが――れいむの開きっぱなしの口からは、だらだらと涎がたれている。 このあんまんは、甘さはもとより、風味や旨味も申し分無い。他のメーカーには出せない味が好評を博している。男もお気に入りの一品だ。 「……ゆっ! れいみゅはこそだてがとくいにゃんだよ!」 確かにれいむ種の子育てには定評がある。れいむ種から産まれ、育てられた子どもたちは、とてもゆっくりと健やかに成長するというのだ――もちろん例外もいるが。 そして昨今ではその例外が多くなってきている。 それでは、目の前のれいむはどうなのか。 「はあ。でもれいむ、お前、子どもいるのか?」 赤ゆっくり言葉も抜けていないれいむだが、子育てをしたことはあるのだろうか。 男が当然の疑問を口にすると、 「ゆっ? れいみゅにおちびちゃんがいるわけにゃいでちょ? みてわからにゃいの? ばきゃにゃの? ちぬの?」 れいむは蔑んだような表情と口調で言った。ニヤニヤという擬音が聴こえてきそうだ。 男はおもむろにれいむを持ち上げ、山なりに放り投げた。 「ゆわーい! おしょらをとんで――ゆべべっ!」 またもれいむは顔面から地面に落ちた。先ほど以上の強い衝撃に、顔が内側にへこみ、しかしすぐに元に戻った。 「ゆぐっ……ゆわああああああん! おかおがいちゃいよおおおお!! ゆんやあああああああ!!」 男は息を吐いて気持ちを落ちつけた。別にれいむに暴力を振るうことが目的ではないし、何よりルール違反だ。 「おまえ、それは『れいむのバカさ加減はもはや特技だよ!』って言ってるのか?」 「だっで、だっでえ! おかあしゃんは、ゆっぐ、こそだてがとくいだっていっで、いっでだがら! ゆっぐ、ゆっぐ!」 しゃくりあげるれいむ。 男は溜息をついて、 「お母さんは子育てが得意なのかも知れないけど、おまえ自身ができなきゃ俺は見せてもらえないだろ? 見せてもらえないとあまあまもあげられないんだよ。俺の言ってる意味、いい加減わかったか?」 ゆっくりとした口調で言った。 「ゆっぐ! れ、れいみゅ、ゆっくちりきゃいしちゃよ! ゆふふ!」 愛想笑いを浮かべているれいむ。 それを見て、男は口元を歪めた。 「理解しているのかも怪しければ、おまえの母親が『子育てが得意』だってのも怪しいもんだな。ええ、おい」 努めて意地の悪い口調で言うと、 「しょ、しょんなこちょにゃいっ!!」 れいむはムキになって反論した。 「けっきゃいっ! だよ!」 土管型の遊具の前で、れいむは得意げに言った。 土管の中に出入りして楽しむための単純な遊具。れいむの背後とその反対側に開いた口には、それぞれ短い木の枝が一本立てかけてある。れいむの手によるものだ。 「ゆふん! これでどかんしゃんのなかにははいれにゃいよ! れいみゅのけっきゃいっ! にかんしんしたならあみゃあみゃちょうだいにぇ!」 主に巣穴を守るために使われるれいむ種の『結界』。そのもっとも極端かつ単純な形が、巣穴の入口を塞ぐように木の枝を、あるいは草や石ころを置くというものだ。 巣穴に見立てた土管にれいむが張った『結界』が、まさにそれだった。 こうすることで、他のゆっくりに襲われることはおろか、そこに巣穴があることにすら気づかれないらしい。たとえ木の枝の隙間から『結界』の中が丸見えだったとしてもだ――今、土管の中が男から丸見えなのと同じように。 「ふん」 男は鼻を鳴らし、れいむの後ろにポツンと立てかけられている――土管の天井まで届いてもいない――木の枝を取り払い、へし折る。針金のような枝は、乾いた音を立てて二つになった。 そして、これ見よがしに土管の中に手を出し入れさせる。 「ゆわあああああっ!? おかあしゃんじきでんのれいみゅのけっきゃいっ! がどうちてやぶられるのおおおおお!? どうちてえええええ!? ――ゆびぇえっ」 男が律儀に木の枝をどけるまでもなく出入り可能だった『結界』。それが破られたことが、よほどショックだったようだ。れいむは錯乱しかけたが、デコピン一発で黙った。 「こんなもんに騙されるマヌケは、そうだな、せいぜいお前の家族くらいだよ。せめてもっと長い木の枝を持ってこいよ」 「ゆうう……。でも、でもおおお……」 「おまえの小さい口じゃ、それも無理か。まったく使えねえな――はい、次は?」 「ぴ、ぴこぴこしゅるよ!」 れいむは左右の揉み上げを激しく上下させた。 通称『ぴこぴこ』。右と左、二本の揉み上げを持つれいむ種独特の動作だ。 「おにいしゃん、みちぇみちぇ! ぴこぴこしちぇるよ!」 「……」 「れいみゅのもみあげしゃんがぴこぴこしちぇるよ! ……しゅ、しゅごいでちょ? しゅごいよにぇ?」 「……で?」 「……ゆ?」 「その『ぴこぴこ』ってのは、どういう役に立つんだ? あれだけ言ったんだから俺の言いたいことは理解してるよな?」 「……ぴ、ぴこ……」 れいむは下を向いてしまった。考え込んでいるようだが、それでも揉み上げを上下させることはやめない。 「ぴこ、ぴこ……ゆっ!」 ほどなくして顔を上げたれいむは、 「ぴこぴこはみんなをゆっくちしゃせられりゅよ! だからあみゃあみゃちょうだいにぇ! ゆっくちしたぶん、たくしゃんおまけちてにぇ!」 満面の笑みで言い放った。 その「言ってやった!」と言わんばかりの晴れやかな表情に、男はデコピンを数発見舞った。 「いぢゃいっ! いぢゃいいいっ! やめちぇええええっ! ゆびいいいいっ!」 「ゆっくりどころか、むしろイライラさせられたよ。ムカついた」 れいむは、ただでさえ大きく丸い瞳をさらに大きく丸くさせて男を見た。その顔を言葉にするなら「信じられない」といったところか。 「お、おにいしゃん! やしぇがまんちないで、ゆっくちしちぇいいんぢゃよ! みんなに『くーるなびーとをきざんでるにぇ』っていわれたれいみゅの」 「……」 「ご、ごめんなしゃいっ!! でこぴんしゃんはやめちぇにぇっ!?」 「みんなみんなって、おまえの周りはバカ揃いなのか?」 男の言葉に、 「しょ、しょんなこちょない、よう……」 れいむは弱々しく反論する。 ――いい傾向だ。 男は思った。 「さて、そろそろ時間がないんだけど」 男は時計を見ながら言った。 「他に何かあるかな? 他者の役に立つ、れいむの得意なこと」 「ゆ、ゆう……」 かろうじて声を出すれいむに、男と出会った時のような元気はない。心身ともに参っているのが見て取れた。 男はそんなれいむに見せびらかすように、いい加減冷めてきたあんまんをかじった。 「うーん。あまあまだ」 「ゆああ……」 あまあまという語句に反応して顔を上げたれいむの口から、砂糖水の涎がたれる。 「もうあまあまも少なくなっちゃったけど、そろそろ諦める?」 「……ゆうううう! まだだよ!」 挑発的な男の口調にれいむは発憤したようだ。 「れいみゅ、ぴょんぴょんしゅるよ! ――ぴょんべっ!」 男が先ほどと同じように額にデコピンすると、れいむは器用に空中で体を半回転させ、やはり先ほどと同じように顔面から地面に落ちた。 「それは最初にやって、しかも駄目出ししただろう。おまえは、ほんっとにバカだな。特技だけでなく脳味噌までノミ以下か?」 「……ゆ」 「ん?」 「……」 れいむは地面に突っ伏さんばかりに俯いてしまった。 ――頃合かな? 男は思った。 れいむは俯いて黙ったままだ。 出会ってから十分足らず、あれだけ騒がしかったれいむが、今はゆんともすんとも言わない。 男は一度もれいむにあんまんを食べさせていない。 『ぴょんぴょん』から始まって『お歌』に『結界』、くだらない所では『ずーりずーり』や『こーろこーろ』等々いろいろ見せてもらったが、男が満足する「得意なこと」は無かったからだ。 約束通りの話だ。 もっとも、このれいむにそれほど気の利いたことができるなどとは、男も最初から思っていない。何と言ってもまだ子ゆっくりなのだ。 ただ、 「れいみゅはあみゃあみゃをたべるのがとくいだよ! だからあみゃあみゃちょうだいにぇ!」 などとやらかした時には、男は思わず吹き出しそうになった。意外と頭が回るものだと思った。 それをごまかすためにデコピンの連射をくらわせたが、力みすぎてほとんどゲンコツを押しあてているだけになってしまった。 今のれいむのヘコみよう――主に身体面――はアレが原因だ。 れいむはまだ黙っている。 ――頃合かな。 時計を見ながら、男は思った。 「はい。では時間切れでーす!」 男は大げさに宣言した。 「……ゆ、ゆう。ゆっくち……あきらめりゅよ……」 俯きながら蚊の鳴くような声でブツブツ言うれいむを尻目に、男はあんまんの最後のひと欠片を口に入れた。 「むーしゃむーしゃ、しあわせー! ……ごちそうさまでした」 聞こえよがしに呟いてから飲み込む。 するとれいむは、 「ゆわあああああ!! れいみゅのあみゃあみゃがあああああ!!」 突然大声を上げた。どうやら諦めきれていなかったらしい。 「おまえのあまあまじゃないだろ」 「どぼちてれいみゅのあみゃあみゃたべちゃうにょおおおおおお!? かえちて! あみゃあみゃかえちてええええ!」 なおも喚きながら足に取り縋るれいむを、男は軽く蹴飛ばした。 「いぢゃいっ!」 「役立たずのれいみゅちゃんにあげるあまあまなんかねえってえの。俺を満足させる『得意なこと』を見せなかったおまえが悪いんだぜ。最初に約束した通りだよなあ? あ?」 男のその言葉に、れいむは力無く抗議する。 「ゆっくちしちゃ、おうたを……きかしぇてあげたでちょ?」 「雑音だっつったろ? あの人の神経を逆撫でするような雑音が、いったい何の役に立つんだ?」 「で、でも、けっかいっ! は、じょうじゅにできた……でちょ?」 「余裕で破られたじゃねーかよ。あんな『ご自由にお入り下さい』って言ってるような結界があるかバカ」 「ぴょんぴょ」 「何回言ったら理解できるの? 馬鹿なの? 死ぬの? やっぱりノミさん以下の脳味噌なの? 虫さん以下の存在なの?」 「……」 「おまえ、もう死んだ方がいいわ。全っ然、なんの役にも立たねーもの。両親も友達もそう思ってるに違いないぜ」 「……どぼちてしょういうこちょいうにょ……? れいみゅだって、ひっしにいきちぇりゅんだよ……?」 れいむは顔を伏せて小刻みに震え始めた。涙だけでなく、なぜかしーしーまで流している。 それを見た男は満足して、 「バーカバーカ! れいむの役立たずー! 役立たずは生きてる価値なんかねーんだよーだっ!!」 嘲り笑う。 「れ、れいみゅは……やきゅたたじゅ、なんかじゃ、にゃい……よね? ……やくたたじゅ、にゃの……?」 「ホントにれいむ種のガキってのは使えないよなあ。まあそんなグズだからこそ、俺は楽しい思いをさせてもらえるんだけどな」 そんな何気ない男の一言に、ゆっくり特有の、超ポジティブシンキングとも言える餡子脳が反応したらしい。 れいむの涙としーしーはぴたりと止まり、代わりに目が輝き始めた。 「ゆゆっ? れいみゅ、おにいしゃんをたのちましぇてあげちぇるにょ? れいみゅがれいみゅだからいいんだよにぇ? にぇ? にぇ?」 「あ」 しまった、と思ったがもう遅い。 「ゆわーい! ゆわーい! れいみゅ、おにいしゃんのやくにたちぇたよおおおおっ! やくたたじゅじゃにゃいよおおおおおっ!」 「いや、これはそういう意味じゃなくて」 「ゆっくち! ゆっくち! ゆっくち!」 れいむは聞いていない。『ぴょんぴょん』、『のーびのーび』、『ぴこぴこ』――持てる身体能力を駆使して、まさに全身で喜びを表現していた。 これではもう、男が何を言っても無駄に思えた。 「お、おい、れいむ……」 「ゆっくちゆっくちいっ! ゆ! しょうだ、おにいしゃん! やくしょくにょあみゃあみゃをちょうだいにぇ! たくしゃんでいいよ!」 れいむのその要求に、 「せっ!」 男は人さし指と中指で応えた。 「とっくに時間切れだからさ。ご褒美は目潰しで勘弁してくれ」 「ゆびいいいいっ! れいみゅのきゃわいいおめめぎゃあああああっ!!」 目を潰した感触こそ男の指に伝わってこなかったが、だからと言って痛くないわけではないようだ。れいむはもんどりうって苦しんでいる。 「おめめいぢゃいよおおおおおおおっ! おきゃあしゃあああああん!」 ひたすら騒がしいれいむとは反対に、男は静かに溜息をついた。 「しまったなあ……」 そう一言呟いて、男は目の前で転がっているれいむをつまみ上げる。 「れいみゅ、おしょらをとんでいるみちゃい!」 れいむはそう呟いたあと、再び火がついたように「痛い痛い」と喚き散らしはじめたが、男には気にならなかった。 気がかりは他にあった。 「最後の最後で喜ばせちゃったよ。やっぱり、こういうのも味に影響するのかなあ」 暴行を加えられて苦しんでいる時のゆっくりの中身、すなわち餡子やクリームは通常時よりも甘い。今や大人から子どもまで知っている常識だ。 わざわざペットショップまで出向き、食用としてゆっくりを購入する甘党も少なくはない。家で虐待の限りを尽くし、それから食べるのだ。 その場合、殺してしまってはいけない。「苦しんでいる」というのが重要なので、瀕死のギリギリを見極めるのが大切だ。 ゆっくりを虐待して食した経験は、男にもある。しかし、加工所が販売している「原材料・ゆっくり」の各種甘味の美味しさとは、とても比べ物にならなかった。 加工所製の食品は、とにかく美味しいことで有名だ。とりわけ餡子を使った製品は、老舗和菓子店のそれをも凌駕するという声すらある。 素人が殴るなり蹴るなりしても、確かに甘さを増すことはできる。しかしあくまで甘くなるだけだ。風味や旨味に欠ける。 加工所での製造過程で加えられる調味料や添加物なども、確かに多少は影響しているのだろう。だが、加工所製品の味は、もっと根本的な何かが違うのだ。 それは、特に美食家でもない男でもわかるくらいの、大きな違いだった。 加工所でのゆっくり加工方法は、もちろん極秘だ。すべて外部に漏れないよう、職員にも徹底されている。 加工所の味を自分でも再現できればいいのにな――多くの人間がそう思うことに無理はなかったし、男もそう思っていた。なにせ、材料と言うにはあまりにも完成されている餡子がその辺に転がっているのだ。 それはインスタント食品などのうたい文句である「有名店の味をご家庭で」程度の、漠然とした思いではあったが。 再現できたらラッキー。できなくても別にいいや。その程度だ。 そんな中、男は噂を聞いた。 曰く、「加工過程にあるゆっくりは、肉体的だけでなく精神的にもとても苦しめられている。風味や旨味は、とりわけ後者の影響が大きい」。 そりゃ殺されるほどの痛みを感じれば心も平穏じゃいられないだろうよ。男はそう思いながら聞いたが、どうもそういう事ではないらしい、 ゆっくりの存在意義や自尊心を、根こそぎ崩してやるというのだ。 なるほど、と男は膝を打った。至る所で勝手に生きて勝手に死んでいるような、いや、「生きる」だの「死ぬ」だのと言っていいのかすらわからない饅頭に、そんな高尚なものが備わっているとは思いもしなかったからだ。 いいことを聞いたかもしれない。暇な時でも試してみようか。 そう思っていたところに、今日、れいむが現れた。 男は噂を検証してみることにした。 ――でも、しゅこしめんどくちゃいにぇ。 れいむの言うとおりだ。たかだかゆっくりを食べるのにそんな回りくどいことをするなんて、面倒なことこの上ない。 しかし噂の真偽も気になる。 たまには少しくらい、材料の下拵えに時間をかけてみるのもいいだろう。 男はそう考えた。 「うわ。さすがに冷てえな」 公園にある水道で、男はれいむを洗っていた。 冬、しかも外で真水に触れるのは嫌だったが、薄汚れたゆっくりを口に入れるのはさすがに抵抗がある。 「やめちぇええええええ!! ぎょぼぎょぼ! ちゅめたいいいいいいいい! くるちいいいいいい!!」 弱点である水にさらされ、なおかつ男の手でもみ洗いされているれいむは苦しそうだ。 「うるさいよ役立たず。俺だって冷たいんだ」 「おみじゅしゃんももーみもーみもやめちぇえええええ! れいみゅをゆっくちさせぎぇぼぼぼぼぼ!!」 「……この状況も、甘みを増すのに役立ってるんだろうな」 そう思えば水の冷たさにも少しは耐えられた。すべては好奇心を満たすためだ。 水で柔らかくなったれいむの体も、手に心地いい。 「おみじゅしゃんぎょぼぎょぼ! おみじゅしゃんはいやぢゃああああああ! からだがとけちゃうううううう!!」 とは言え、あまり洗っているわけにもいかない。うっかり殺してしまっては元も子もないのだ。 「まあ、こんなもんか」 蛇口をひねって水の流れを止める。 「ぶーるぶーる! がーちがーち! ぶーるぶーる! がーちがーち!」 ずぶ濡れのれいむは男の手の中で震え、歯を鳴らしている。 男は自分の手を拭くついでに、ハンカチで軽くれいむの水気も拭き取ったが、 「ゆゆゆゆゆゆゆうううっぐっぐうううううちちちちちち! がーちがーち!」 それでもかなり寒いらしい。歯がまったくかみ合わず、満足に「ゆっくち」とさえ言えないでいる。そのくせ、「がーちがーち」は普段と変わらない発音だ。 濡れた体にこの季節の寒風は確かに厳しいだろう。これなら水に浸かっていた方が、かえって温かいのかも知れない。 「しゃしゃしゃしゃしゃぶいいいいいい! しゃぶしゃぶしゃぶしゃぶっ」 「しゃぶしゃぶ?」 男はかがみ込むと、地面にハンカチを敷き、その上にれいむを置いた。 おもむろに、れいむの小さく赤いリボンを奪い取る。 「れれれれいみゅのしゅてきなおりりぼぼぼっ!! しゃしゃんっ! んんんがががっ!」 さらに揉み上げも引きちぎる。 「もっもみっ! もみあげじゃんんんっ! もうびっごびごごごごできにゃっ!」 そして、先ほどれいむが『結界』に使ったような木の枝で、れいむの足に穴を開け、 「あんよぼっ! もうぴょぴょぴょぴょぴょもずずずずずううううりずりもできにゃいいいっ!」 同じく木の枝で両目を貫いた。 「ゆんぎゃああああああ!! れいびゅのおおべべべべべえええええっ! ぎゃばいいいんおべべべっ!」 「本当なら足焼きなんかもしたい所だけどな。ま、それなりに甘くなればいいや」 今日は甘さ、つまり、肉体的な暴力を振るうことが目的ではない。 男は両方の手のひらで包み込むようにれいむを持ち上げた。そして手の中で逆さまにする。 「れれれいみゅのああああにゃあにゃあるううう、みみみみないでにぇええ! はじゅっ、はじゅかちいいいい!」 れいむの声を無視して、男はさらされた底部に右手の親指の爪を突き刺した。 本来は固いはずの野良ゆっくりの底部だが、水に濡れてほどなく柔らかくなっている。抵抗なく男の指を飲み込んだ。 「いいいいぢゃいいいいいっ! れいみゅのびきゃくぎゃあああああっ!」 痛みで寒さが吹き飛んだのか、いい加減、歯もかみ合ってきたらしい。何となく叫び声が明瞭になってきた。 男はそんな事を考えながら、れいむの中で親指を曲げ、ミカンの皮をむくように手首ごと横にひねった。 「ゆびいいいいいいっ! いぢゃいいいいいいいっ! れいみゅのもちもちなおはだがあああああっ!!」 男の目の前に、れいむの中身――目当ての餡子が露出した。 「さーて、お味は……」 餡子を人さし指ですくい、口に運んだ。 「……」 もう一度すくってなめる。 「やめぢぇえええ! れいみゅのあんござん、もっちぇいがないでええええ!」 れいむが叫んだ。 男は眉間に皺を寄せて、 「……全然駄目」 と呟いた。 確かに甘い。でも、ただそれだけ。単に肉体的な虐待のみを加えた時と同じく、甘いだけで、風味も旨味もなかった。 加工所の食品――たとえば先ほどまで食べていたあんまん――にはほど遠い味だ。 「うーん、やっぱり単純にバカにするくらいじゃヌルいのかな」 最後に少し喜ばせてしまったことも気になった。 「いぢゃいいいいい!! いぢゃいよおおおおお!! おきゃあしゃああああん!! ぺーろぺーろちてえええええっ!!」 「ただの悪口ってのも、さすがに安直すぎたのかもしれないし」 男は「罵倒」でなく「悪口」のイメージを心掛けた。ゆっくり、とりわけ子ゆっくりの単純すぎる餡子脳には、小細工などむしろ逆効果だからだ。理解すらされないだろう。 「ゆわあああああああん!! おちょうしゃあああああん!! たしゅけちぇにぇええええええ!!!!」 ひとりブツブツと呟く男の耳に、れいむの悲鳴は聞こえていない。 「たとえば食べる一週間前から他のゆっくりの悲鳴をエンドレスで流すとか……。そう、味を熟成させるみたいなイメージで」 少し考えただけでも、虐待の方法は山ほどあった。 もっとも、専用の特殊な機械でも使われていたらお手上げだし、それ以前に、精神的な虐待と味の因果関係さえ本当かどうかわからないのだが……。 ――とにかく、加工所の味は一朝一夕に解明できるものではない。当然だ。玄人の技術がそうそうわかってたまるか。 そう結論づけた男は、思い出したように餡子をごっそりと指ですくった。 「ゆぎいいいいいいいいいっ!!」 聞いている方まで苦しくなりそうな、まさに断末魔と呼ぶにふさわしい悲鳴を聞きながら、男はすくい取った餡子を口に入れた。 しばらく口の中に広がる甘さを堪能する。 そしてれいむをひっくり返し、目を失ったその顔を見た。 「やめちぇ……。もうやめちぇね……。れいみゅ、まだちにたくにゃいよ……」 体の半分以上の餡子を失いながら、それでもまだれいむは生きていた。 「かっちぇにおしょとにでたけっきゃがこれだよ……」 男はその頑丈さに半ば呆れながら、 「ま、餡子を提供してくれるゆっくりは、れいむ種だけだからな。その点は他のゆっくりにない『得意なこと』だと誇ってもいいぜ」 そう言って、水道の隣に設置されているゆっくり専用のゴミ箱にれいむを放り込んだ。 「おしょらを――」 お馴染みのセリフとともに、ゴミ箱に消えるれいむ。 ゴミ箱はちょっとした防音仕様が施されていて、中には水が張られている。すぐに溶けて死ぬはずだ。 男は時計を見た。 「さて、そろそろ帰らないと」 指に残った餡子をなめながら呟く。 「甘さだけはすごいんだよなあ」 そのうち、暇で暇でどうしようもない時にでも、またチャレンジしてみようか。 その時は材料も吟味して。そうだ。今度はれいむ種じゃなくて―― 「あ」 自分の勘違いに気づいた男は、ゴミ箱の口に顔を近づけた。 そして中――暗くてよく見えないが――に向かって声をかける。 「悪い、れいむ。さっき『餡子を食べさせてくれることを誇っていい』って言ったけどさ、あれ訂正するよ」 ゴミ箱は返答しない。 「まりさの中身だって餡子だもんな。れいむだけじゃなくてさ。いやあ、やっぱりれいむは能なしの役立たずだったよ」 男がそう言うと、 「やくたたじゅじゃにゃいよおおおおおおおおっ!」 防音仕様のゴミ箱の中から叫び声が聞こえた。 ゆっくりの声を聞き分けることなど男にはできない。それでも、さすがにその叫び声の主だけはわかる。 自分の声に応じられるものが、まだその中に存在しているとは思わなかった。 急に可笑しくなった男は、 「はははっ! 今のは今日一番おもしろかったぜ!」 ゴミ箱に笑いかけ、そして公園から出ていった。 「まりさとれいむのおちびちゃあああああん!! どこにいったのかぜええええええ!?」 「かってにおそとにでたらだめだっていったでしょおおおおおおお!? ゆっくりかえってきてねええええ!?」 男が立ち去ってからしばらく経った公園。 そこには、子ゆっくりを探すまりさとれいむの姿があった。 しかしその必死な呼びかけに応える者はいない。 もう、ゴミ箱も沈黙するだけだ。 (了) 以前書いたもの…… ふたば系ゆっくりいじめ 525 犬 ふたば系ゆっくりいじめ 532 川原の一家 ふたば系ゆっくりいじめ 554 ゴキブリ(前編) ふたば系ゆっくりいじめ 555 ゴキブリ(後編) ふたば系ゆっくりいじめ 569 ねとられいむ ふたば系ゆっくりいじめ 622 格子越しの情景 ふたば系ゆっくりいじめ 654 奇跡の朝に トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 子ゆを捜してる親ゆの姿にとてもゆっくり出来た -- 2011-07-03 17 10 24 おもしかったです! でもゴミ食ってる野良の子ゆなんか食べたくないよw -- 2011-06-29 06 42 13 街中のゆっくりなんか何食ってるかわかんないし食いたくないな。 加工所では、食用に品種改良とかしてるのかなー? -- 2010-10-28 16 32 42 ゆ虐は何気に腹が減るSSが多くて困るぜw 食べてみたいなー -- 2010-10-01 06 47 46 子ゆうぜぇ~! でも、食べてみたいな -- 2010-07-30 00 48 02 ゲスじゃなくても超ウザい これぞ赤ゆクオリティ -- 2010-07-29 22 21 55 子ゆの悲鳴はゆっくりできます。 -- 2010-07-25 11 19 36 ありす喰いたい -- 2010-07-03 18 56 41 わーい ゴミがゴミになったよ -- 2010-06-28 02 34 48
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主人公のおにーさんがなんかウザイですが、ご勘弁願います。 多分罪の無いゆっくりが凄惨なことになります。 直接的な虐待はほとんど無いです。 起承転結ならびにヤマ、オチは無いです。意味も。 -------------------------------------------------- 「やぁ!僕はゆっくりの巣を破壊するのが好きな巣破壊お兄さんだよ!そうだね!そんまんまだね!今日は皆に 色々な巣の破壊について教えてあげるよ!ゆっくり学んでいってね!!!」 「さて、用意するものだけど、まずは当然、ゆっくりの多くいるところだね!森なんかがいいよ!それから、巣 を壊すための道具だけど、それは皆が使えそうだと思ったものでいいよ!適当だね!だけど、最低限スコップと 多めの水はあった方がいいかな。対象のエリアに水を得られる場所があるならバケツでもいいよ!僕はいつも、 スコップ、水(バケツ)、軍手、ライター、爆竹、発炎筒、エアガン、タオル、ビニール袋、撒き餌、それから 自分で飲食する用のものを持っていっているよ!あ、火はとっても危険なので、細心の注意を払って扱ってね! 油などはやめておいた方がいいよ!」 ~というわけで、森に来ました~ 「はい!予定地に到着しました!今回は森ですが、森ではどのようなタイプの巣があるのか、そこから話してい きたいと思います。」 「一般的なのは、木の洞を利用した巣穴だね。倒木の中に巣を設けるのもいるよ。次によく見かけるのは、段差 のあるところで、窪みに手を入れて利用する巣だよ。ドスがいる群れでは洞窟ともいえるくらいのサイズまで掘 ったりもするよ!最近増えてきたのは、生垣に使われるような低木等を中に少し空間を作って巣として使うもの だね。葉っぱが非常食にもなるけど、気によっては冬場に葉を落としてしまうのが難点らしいよ。どうしても巣 が得られないときは、最後の手段として、1から掘って作ることもあるよ。主に歯を使って作業するんだけど、 その負荷に耐えられなくてぼろぼろになってしまうことが多いね!歯が弱いといえば、せっかく畑から盗って来 た大根とか、硬くて食べられなくてだめにすることが多いらしいね。本当に馬鹿だね!おっと、話がそれたね。 本当に珍しいものとしては、ゆっくりようむ(みょんのことです)のような道具の扱いに長けたゆっくりが多い 群れなどで、本当に建設する巣があるよ。といっても、刳り抜くだけだけどね。ドスの屍骸や柔らかい土の塊な どが元になるね。本当に生意気だね!そのぶん、壊したときの快感と感動は筆舌尽くしがたいよ!」 「それで、次に巣の見つけ方だけど、もちろんあちらさんも見つからないようにカモフラージュしているから、 そうそう簡単ではない。やっぱり、皆も知ってる『ゆっくりしていってね!!!』が一番簡単だね。その他とし ては、餌で誘き寄せた奴か外をうろついている奴をだまくらかすなり、ぼこって逃げ帰るのを尾けるなりでもも ちろんOKだよ!今回は、簡略化のために、あらかじめ目印を付けておきました」 「まずはこの・・・おお、さっき説明し忘れていたよ。中には、他の動物が放棄した巣穴なんかを巣に使ってい るのもいるよ。たまに、まだ使われている巣に入ったりして、帰ってきた持ち主に潰されることもあるんだって 。で、その手の巣なんだけど、一番シンプルな方法で壊すよ!この必需品のスコップで適当に掘る!ただそれだ けさ。ほら、こうやって・・・」 ザクッ 「ゆぅ?なんのおと?ゆっ!やねさんがくずれてる!」 ザクッ 「ゆぅ、そっちはあぶないよ!おちびちゃんこっちにきてね!」 「ゆっくちわかったよ!」 「ゆっくちおかーさんのところにいくね!」 「ゆっくりしちゃだめだよ!ゆっくりしないでいそいでね!」 「ゆぅ、ゆぅ、おねーちゃん、ゆっくりまってねぼぶべぇっ!」 「あ、たまにゆっくりにスコップを突き刺しちゃうこともあるけど、至って問題ないから気にしないでね!」 「あがぢゃんんんん!?どぼぢでぇええええ!?」 「いもうちょがぁあああああああ!?」 ザクッ 「ゆゆ!ここはあぶないからにげるよ!あかちゃんのぶんもゆっくりするんだよ!」 「ゆゆぅ、ばいばザクッ 「ゆーーーー!?あがぢゃんんんんん!!!」 「ゆ゙っぐりじぇでねぇ!?ゆ゙っぐりじでねぇ!?ゆ゙っぐぼばっ!」 「ふう。とまあこんな風にやるだけでいいんだ。ね?簡単でしょう?巣を見つけて、掘り起こす。単純だけど、古く から伝わる由緒正しき破壊法なんだ!」 「はい。今度はこの木の根と地面の間の空間を使った巣を壊します。スコップを使った別の壊し方をします」 ざっくり 「このように、巣とは関係ないところの土を掘って、巣に放り込む!」 どばっ 「ゆぶっ!な、なんなの!?これはつちさん?まりさ!つちさんがはいってきぼべっ!」 「れいむ?どうし・・・れいむ!?だいじょうぶ!?」 「ゆっ・・・ま、まりさ!つちさんがはいってきたよ!お、おそとにでる?」 「ゆ、ゆ、わかったよ!おそとにでよう!」 ざっくり、どばっ ざっくり、どばっ 「スコップのサイズにもよるけど、巣を土でいっぱいにするのはそう大変じゃないんだ!だから、折角なので全 部埋めるね!」 「ゆふう、ゆふう、なんとかいりぐちまできたよ!あとちょっとでゆっくりできるねぶらっ!」 「れ、れいむ、しっかりしてね!あともうちょっとだよぼろっ!」 「い、いりぐちさん!?しまっちゃだめだよ!れいむたちまだおそとにでてないよ!」 「ゆーー!あいてね!あいてね!ゆぐううう!」 「はい!全部埋めたよ!この破壊法では、埋まったあとの巣でも中のゆっくりは潰れてないことが多いから、音 の出る地面を楽しめることもあるよ!・・・ごめん、今回は駄目みたいだね・・・」 「(ゆぐっ・・・つちさんおもいよ、ゆっくりしないでどいてね・・・れいむはおそとにいくんだよ・・・)」 「(いたいよ・・・つぶれちゃうよ・・・もっとゆっくりしたかった・・・)」 「はい。次はこの倒木の中の空洞を利用した巣を壊します。爆竹を使うよ!」 爆竹に火を点けて投下! 爆竹に火を点けて投下! 爆竹に火を点けて投下! 「ここでポイントなんだけど、爆竹を放り込んだら巣の出口を塞ぐといいよ!出てこられても厄介なだけだから ね!」 「ゆゆ?おかーさん、これなーに?」 「むきゅ?わからないわ・・・。まりさはしってる?」 「ゆゆ~ん、知らないんだぜ。でもゆっくりできなさそうなんだぜ!」 はい爆発。 バチバチバチッバチバチバチッバチバチバチッ 「ゆっ!?ばちばちしてるんだぜ!?どうなってるんばちっ!」 「むきゅ!まりさぁ!」 「ゆっ、ゆっ、なんとかだいじょうぶなんだぜ!これはあぶないんだぜ・・・。おそとににげるんだぜ!」 「むきゅきゅ、おちびちゃん、おそとにいくわよ!」 「「「わかっちゃよ!」」」 「「どぼじでい゙りぐぢざんじまってるの゙ぉおおおお!?」」 「「「おかーさん、ばちばちさんこわいよぉお!」」」 「ゆぅぅ、おちびちゃんは、まりさがまもるんだぜ!」 「「「がんばっちぇね!」」」 「ゆっくりできないばちばちさんはゆっくりしねばぼろっ!?」 「ま、まりさぁ!」 「ゆぼぼっ!・・・ぼべべっ!・・・」 「ゆ、ゆ、ばちばちさん!まりさからはなれてね!ゆっくりしないではなれてね!」 「びゅぶばっ!・・・ゆばぶっ!・・・も、も゙っど、ゆ゙っぐじ、じだがっぼろべっ!・・・」 「ばでぃざぁあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」 「爆発は終わったみたいだね!このように、爆竹を使った場合では、ゆっくりが死なない場合もあるよ!今使っ たものは火薬少なめだからまりさしか死ななかったね!でも、死ななかったとしても、」 「むきゅう!まりさのあつめただべものがぁあ゙あ゙あ゙!」 「爆発で巣の中は滅茶苦茶だから、目的を果たせているから問題は無いね!じゃ、次行くよ!」 「ゆっ・・・。しかたがないから、近くの巣に分けて貰いに行くわ・・・。まりさ、ごめんね・・・いりぐちさ んあいてぇえええ!」 「因みに、この似たような倒木の巣に、さっきよりももっと強い爆竹を突っ込むと・・・」 爆竹に(ry 「ゆぅ?このあかいろさんなぁに?まりさしって<パァーーン!>」 「れいむ?どう<パァーーン!>」 「一発で弾け飛んじゃうね!」 「お、あそこに洞窟利用の巣があるよ!どうやら家主は留守のようだね・・・。それならこの巣は、実際に入っ て壊すよ!おじゃましま~す」 「どうやら、ありす種の巣のようだね。意味も無く葉っぱで飾ってあるからわかるよ!とかいはとか言って巣に 何かしらの特色を持たせようとするありす種だと、巣を壊す楽しみも増えるよ!」 「まずは、この飾り付けを千切ったり破り捨てたり!葉っぱだから力が無くても出来るよ!楽勝だね!そして、 ゆっくりのいうたからものらしきこの赤めの石はこうやって叩き割る!割ったらその辺に捨てとけばいいよ」 「別の部屋に来たけど、どうやらここは餌の貯蔵室みたいだね。保存にいい硬い木の実があるよ!しかしゆっく りには噛み砕けないって知らないのかな・・・。まあいいや。ここは、とりあえずスコップで適当に穴掘ったり 土を山に盛っておくね!次の部屋を探すね!」 「貯蔵室と居間しか無かったよ・・・。とかいはが聞いて呆れるよ・・・。てきとーにスコップで崩しておきま した。次!」 「きょうはとってもとかいはないちにちだったわ!あしたももっととかいはをみがくわよ!と、ただいm・・・ どうなってるのぉおおお!?あじずのどがびばなお゙ぶぢがぁああああ!!」 「おお!1から掘った巣だ!珍しいなぁ」 何の脈絡もなく地面にぽっかりと穴が開いている。入り口前にはこれを掘って朽ちたのであろう饅頭の残骸(判 別不能)がある。 「珍しい巣でも勿論壊すよ!古くて新しい、水を使った破壊だよ!バケツに水を汲んできて、」 ざばーーっ!!! 「ゆぼぼぼ!?どぼぢでべべべおびびびずざんがばばばば!?」 「でいぶぶぶぶ!?おぞどぼぼぼぼににげげげげるよぼぼぼ!」 「水はご都合にも近くに川があるのでそこから何度でも汲んでこれるよ!」 ざばーーっ!!! ざばーーっ!!! ざばーーっ!!! 「ぶべべべべ!おびずざばばばば、やべでべべべべ!ゆ゙っぐびびびび!でぎなばばばば!」 「ばでぃざばばば!がんばばばね!ぼうずぐおぞどぼぼぼぼ!」 「ゆぶぶぶ!わがっだよ!がんば・・・どぼぢであんよざんうごがないの゙ぉお゙お゙お゙お゙!?」 「で、でびぶぼうごがないぃい゙い゙い゙い゙!!な゙ん゙でぇえ゙え゙え゙え゙!?」 水吸ってでろでろだからです。 「水は巣の中の大体のもの(葉っぱだとか草だとか)をぐちゃぐちゃにするし、勢いがあれば巣そのものを崩す んだよ!おまけでゆっくり本体も再起不能にするよ!水さえあれば出来るから、人気の手法だよ!」 「またまた木の根と地面の間の巣を見つけたよ!ここでまた一つテクニックだよ!僕はあんま気にしないけど、 ゆっくりが居ない間に巣を壊したい!ってときは、発炎筒の出番だよ!」 発炎筒の火を点け(ry もくもくもく 「もごほごほっ!むきゅきゅ!?けむりざんがはいっでぎでるわ!ゆっくりしないでそとにでるわよ!」 「もくもくはゆっくりできないんだねー、わかるよぼほっぼほっ!」 「むきゅう、けむりさんでまえがよくみえないわ・・・げほげほっ!」 「こっちがおそとなんだよーわかるべふっ!」 「ごほっ!げむりざん、ゆっぐりできなぶほっ!やめえほっ!げほっ!やめてぶほっ!」 「ぱちゅりー?はやくそとにでないとだめなんだよー。ゆっくりできなくなげふっ! ぱじゅじー、ゆっくりじぢゃだめだよー!ゆっぐげほほっ!げほほっ!ごべっ!」 エレエレエレエレエレ・・・ 「ぢぇんん?どぼびばぼっ!ぼべっ!ぐりぃむ゙ざんでていかがなびっ!でべっ!でちゃだぶびっ!べべっ!」 「・・・あれ?でてこないやー?あ、中身出して死んでる・・・。ごめん、実はこれ始めてやるんだ・・・。や っぱり、あまあまをあげるよ!っていってのこのこ出てきた奴を遠くに投げ飛ばしたりした方がいいかな」 「ゆゆ、おにーさんだね!まりさたちのおうちをこわしているのは!」 「あれ、きみはどすまりさかな?」 「そうだよ!」 おおよそ2mの大きさをしている。 「ふーむ、居ないと思っていたのだけどね・・・。ああ、持って来たエアガンは、こういうときの護身用だよ! 別に素手で倒せるって人は別にいらないと思うけど」 「ゆっ、だれにはなしているの?それより、おうちをこわすのはやめてね!ゆっくりできないよ!」 ぱきゅん! 「こういうときは先手必勝だよ!手加減や様子見の必要はないよ!」 「まじじゃのめがぁああああ!」 ぱきゅん! 「めぎゃぎゃぎゃぎゃ!!めぎゃぎゃぎゃぎゃ!」 「まずは目を狙ってね!相手に手を打たせなくするのが重要だよ!これでもう何も出来ないから、ほっといて、 次に行こうね!」 「めが!めがぁああ~あ!ああ~あ、あ~~あ!」 ぱきゅんぱきゅんぱきゅん! 「うわ!ついついうっちゃった!でもまあ問題無いね!」 「あっ、あれは木の洞の巣だね!石とかいっぱいぶち込むよ!」 がらがらがら 「ゆゆゆゆん?いっ、いしさん!かってにれいむのおうちにはいってこないでね!ゆっくりしないででていっ てね!」 がらがらがら 「ゆぅ、もしかして、れいむのおうちでゆっくりしたいの?だったらはやくいってね!ゆっくりしていってね !!!」 がらがらがら 「ゆゆゆ!いしさん、おさないでね!たくさんはいってきたらせまいよ!ゆっくりりかいしてね!」 がらがらがら 「いしさんゆっくりやめてね!やめないならおしおきだよ!ゆぅ~う、ゆっぎゃああ!いじざんがだいぃい! 」 がらがらがら 「ゆぶっ・・・いじざんゆっぐりやべでね!でいぶづぶべぢゃぶ・・・」 がらがらがら 「ゆぼぉお!・・・もっど、ゆっぐびじプチッ 「もう入んないね!よし、次に行こう!」 -------------------------------------------------- 「1掘りの巣だよ!しかも都合よく至近に川があるね!じゃあ、この川を巣の入り口前まで引いて、大きい石で 堰き止めて、と・・・あまあまがあるよ!」 「ゆ?あまあま?ゆっくりするのぜ!」 「おお、まりさだね!」 「ゆゆ!?じじいがいるのぜ!あまあまをうばってやるのぜ!」 「やぁまりさ、ゆっくりしているかい?」 「じじい!いのちがおしかったら、まりささまにあまあまをよこすのぜ!ぐずぐずしないでよこすのぜ!」 「いやはや全く命知らずだな。まあゆっくり自体に用はないから別にいいんだけど」 「なにをぶつぶついってるのぜ!はやくするんだぜ!ぐずはきらいなんだぜ!」 「はいはいっと。じゃあさっきの石の上にいつの間にか捕まえておいた子ありすから作った得体の知れないもの を置いて、これをあげるよ!」 「ゆっゆ~ん。かしこいとゆっくりできるのぜ!いいはんだんなのぜ~。ゆっくりいただきま~グラッ」 じゃばばーーーー!! 「Oh!まりさが堰き止めの石の上に飛び乗るから振動で崩れちゃったよ(棒)」 「ゆゆゆ!まりざのおうちがぁあああああ!」 「やっぱり水の破壊は早いなー。おお快速快速」 「じじい!みてないでたすけるのぜ!まりささまのおうちがたいへんなのぜ!」 「これやったの僕だよ?」 「ゆ?じじい!ゆるさないのぜ!まりささまにさからったことをゆっくりこうかいするのぜ!」 「逆らってはないんじゃなぁい?」 「まりさのろーりんぐすーぱーごーじゃすあたっ「を叩き落とす!」ボチャッ!」 「ゆべべべ!おびびびびずががばばばば!」 おうち帰れて良かったじゃない(笑) -------------------------------------------------- 「そしてここにもまた1掘りの巣があるよ!本当に都合のいい話だね!!今回は中に居るようだからとりあえず 呼び出しておくね!・・・ゆっくりしていってね!あまあまがあるよ!!」 「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」 「ゆ?あまあまさん?」 「あまあまさん!たべたいよ!」 「おかーしゃん、まりちゃあまあまさんほしいよ!」 「ゆっゆ~ん、あまあまさん~」 「まりさがとってきてあげるよ!」 「まりさとれいむの番、そして子まりさと子れいむ二つだね!」 「ゆ?さっきのはおにーさん?」 「そうだよ!今日はとってもいい日だね!」 「ゆゆっ!そうだね!・・・そうだ!あまあまさんをちょーだいね!」 「欲しいのかい?」 「そうだよ!おちびちゃんとはにーがまってるんだよ!」 「ほう!他にもいるのか!(知ってるけどね)じゃあ、出てきてくれたら皆にあげるよ!」 「ゆゆっ!?でもにんげんさんはあぶないっておさのぱちゅりーがいっていたよ!」 「じゃあ要らないね!ばいばい!」 「ゆ!?ま、まってね!ゆっくりしていってね!!!」 「別に要らないよ」 「あ、あまあまさんをちょうだいね!・・・おちびちゃんたち、ゆっくりしないででてきてね!」 「ゆ?あまあまさんあるの?」 「ゆっくりわかったよ!」 「まりしゃにあまあまさん!」 「皆出てきたみたいだね!じゃあこれ(さっきの子ありすの残りかす)をあげるよ!」 「「「ゆゆーー!おいししょーだねぇ!」」」 「おちびちゃん!さきにありがとうをいおうね!」 「きのうれんしゅうしたでしょ!」 「「「ゆゆっ、そうだったね!おにーさん、ゆっくりありがとうね!」」」 「「ありがとうね!・・・なにじでるのぉおおおおお!?!?」」 「なにって別にただ巣の上でジャンプしているだけだよ!」 どしーん、どしーん、どしーん 「まあ、そのジャンプの振動で巣が壊れるかもしれないけどね!って言うかそれが目的なんだけどね!」 どしーん、どしーん、どしーん ぐらぐらっぐらぐらっ 「やっ!やめてね!れいむたちのおうちがゆっくりできなくなっちゃうよ!やべでぇえええ!!!」 「それくらいべつにいいじゃん。something sweetあげただろ!」 「さ、さむしn・・・?なんていったの?・・・じゃなくてやめてね!」 「ノンノンノン。発音が違ってるよ!それじゃあやり直しだね!」 どしーん、どしーん、どしーん 「さ、さんぅ、さむぬすぃnっ・・・ちがうでしょぉおおおおおお!!!」 「れ、れいむ!どいてね!ゆっくりできないおにーさんはまりさがやっつけるよ!」 「ひどいなぁ・・・せっかくsomething sweetあげたのに・・・」 「さ、さm」 「れいむはだまってて!おにーさん、もうゆるさないよ!まりさのしゃいにんでりしゃすすぴんしゅー「を叩き 落とす!」ゆげらっ!」 「で、デリシャスってどういうことだよ。まりさも僕の邪魔をしないでね!もうすぐだから」 どしーん、どしーん、どしーん どしーん、どしーん、どしーん ぐらぐらっ、ががが、 どしーん、どしーん、どしーん がらがらがらがらがら! 「ゆぼあああああああああああああああ!!!」 「まりちゃたちのゆっくりちたすがぁあああああああああああああああああ!!!!!!」 「れいみゅのきらきらさんがぁああああ!!きのうみつけたのにぃいいいい!!!」 「きのこさん!きのこさんたべたかったぁあああああ!」 「ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙・・・どぼじで、ごんあ゙ごどに゙・・・」 「やったね!壊れたよ!!地面の下に掘ってある奴は大概こうすれば崩落するので楽しいよ!それじゃあ次だね !」 「むきゅうう、どすどうしたのかしら?ようすをみにいくっていっちゃったけど・・・」 「「「「「ぱちゅりー?どーしたのー?どすはーーー?」」」」」 「むきゅ、ちょっとおでかけしているのよ。そろそろごはんにしましょう」 「「「「「ゆゆゆん!ごはん!むーしゃむーしゃ、ゆっくり~」」」」」 「これは大きな洞窟だな。さっきのどすの巣かね。ぱちゅりーと親がどうにかなったゆっくりを集めて世話をし ているようだね!」 「むきゅ?おにいさんだれ?」 「僕は巣破壊お兄さんだよ!君は元気無いねぇ!」 「(すはかい?なんのことかしら・・・)むきゅ、どすがどっかにいったままかえってこないのよ・・・おにい さんはどすをみていない?」 「ああ、どすならさっきあっちの方で見たよ!」 「むきゅ!そうなの!?どすはなにをしてたの?」 「僕の邪魔になりそうだったからエアガンで目撃っといたけど?」 「え、えあがん?どすはどうなったの?」 「君達は親は?」 「ありちゅのおかーさんはれみりゃにたべられちゃったわ・・・」 「ありしゅのおかーさんははたけさんでにんげんさんにゆっくりさせられちゃったのぜ・・・」 「おにーさんむししないでぇ!」 「そうか。洞窟の中にはもう居ないのかい?」 「ゆ、まだいっぱいいるよ!みょんとか!」 「へぇ。まあどうでもいいけど。おおそうだ、いいものあげるよ!」 「むししないでぇえええ・・・」 「いいもの!?なに、なに?」 「内緒だよ!目をつぶってたらあげるよ!」 「ゆゆっ!もらうよ!ゆっくりしないでめをつぶるよ!」 「とまぁこんな感じでやって、あとは頭に火をつけて巣のほうに帰って貰えばOKだよ!」 「よーし、じゃあまりさから・・・」 カチッ 「ゆ、ゆ、ゆなんだろうぜ?たのしみなのぜ・・・あづい゙ぃ゙い゙い゙い゙!!どぶびぶごどなのぉお゙お゙お゙!!」 「帽子が大変なことになっているよ!急いで巣に戻るんだ!」 「ゆっくりしないでもどるのぜ!ゆっゆっゆ!」 『なにごれぇえええええ!!あづぐでゆうぐじでぎなびいいいいい!!!』 「ほら、ありすにも!」 カチッ 「ゆゆ?なんのおと?おうちのほうからするねぇ!・・・あじゃじゃじゃじゃ!!じゃじゃじゃじゃ!」 「リボンが大変な(ry」 『どぼじでまだぐるのぉお゙お゙お゙お゙お゙!!!あじゃぁああああああ!!!』 「というかんじで外にいた奴全部やっときました。外に逃げてきた奴は中に放り込んでやったよ!」 「おにいさん・・・どうしてこんなことするの・・・」 「特に意味は無いよ!取り敢えず壊しておこうと思ったからかな?それとどすは目、君達のいうおめめが壊れて 使い物にならなくなって痛くてのた打ち回っているよ!まぁ僕がそうしたんだけどね!今頃死んでるんじゃない ?そして君も巣に戻るんだ、ぱちゅりー!」 ポーイッ・・・ってもうその前に死んでいるや。まあいいか。 「とりあえず屈んで足を突っ込んでみたよ!」 「にゃ゙ぁあああああああ!わがばばいよぉお゙お゙お゙お゙お゙!?」 「藁に火をつけて放り込んでみたよ!」 「あじっあじっ!?どぼじでひさんがいるのぉおおお!!」 「貯め込んである餌を全部埋めといてみたよ!」 「ゆっゆっ!おひるにするよ~・・・どぼじでごはんさんないのぉおおお!!!」 「巣の出入り口を大きい石で塞いでみたよ!」 「おぞどざんでれなびぃいいいい!ゆ゙っぐりでぎなびぃいいいいい!!」 「という感じでこの群れの巣は全部壊したよ!すっごい気持ちが良かったよ!皆も是非やってみてね!あ、そ うだ!最後に一つお願いだよ!火を使うときは本当に気を付けてね!僕も昔、まりさの頭に火をつけて巣に突 っ込ませようとしたんだけど、まりさが予想外の行動をとって森一つ燃やしちゃったことあるんだ!凄い怒ら れたよ・・・」 「と、いうわけで、じゃあね、ばいばーい!」 -------------------------------------------------- とまあ、ほんとにオチが無いです。まあ勘弁してくださいよ。 しかも最後はやっつけでかけあし。でもまぁ勘弁してくださいよ。 あんまり巣の破壊がメインになっていないような気もするし・・・。よりあえずまぁ勘弁してくださいよ。 それじゃ! 書いたもの ゆっくりいじめ系2862 いないってば! ゆっくりいじめ系2933 まりさのドキドキ思考ゲーム ゆっくりいじめ系2934 皆既日食の日 ではこれにて・・・ このSSに感想を付ける 選択肢 投票 しあわせー! 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(夢) れいむは夢を見ている。不思議な感覚である。夢の世界に自分がいて「これは夢だ」と認識している。 れいむは電車に乗っている。猿が運転する小さな列車。イベントなどで見る事ができる、俗に言うお猿の電車。 れいむは周りを見渡す。一面白一色の世界。夢にありがちな光景。特に不審に思ったりはしない。 ゆっくりだって夢を見る。夢の中では何だって起こる。だから多少おかしな事が起こっても納得してしまう。 これはこういう物なのだと。特に今回はなぜか「これは夢だ」とはっきり自覚しているのだから。 そういう訳でれいむは電車に乗り続けている。夢ならばいつか覚めるだろう。なにせ夢なのだから。 お猿の電車は5両編成。1両に1匹ゆっくりが乗っている。れいむの車両は一番前。 自分以外の乗客のゆっくりは、皆一様に青ざめた顔をして前方の一点を注視している。身動き一つしない。 れいむも自然と前を見つめる。何も感じない。何も不思議に思わない。夢では良くある事。 真っ直ぐ何処までも続く線路。どれ程進んだ頃だろうか。不意に猿の車掌が声を上げる。 「次はぁー、串刺しー。串刺しー。」 電車は駅に滑り込む。プラットホームが一つだけ。屋根もベンチも何も無い。殺風景な狭い駅。 駅に着いたのに誰も降りようとはしない。れいむもそのまま。電車から降りない。夢とはそういう物。夢とはそういう物。 その時、不意に現れた4匹の猿。駅員の格好をしている。 猿の駅員は最後尾の車両に行くと、乗客のゆっくりを電車から引き摺り下ろす。 乗客を囲む猿。瞬き一つしないゆっくり。そして次の瞬間。 「ゆぎゃああああああああああああああああああああああああ!!!!!」 辺り一帯にゆっくりの断末魔が響き渡る。ゆっくりを囲んでいた猿達がふっと煙の様に消え、 後に残ったのは全身を針金で串刺しにされたゆっくり。 白目を剥き、刺された所から餡子を流し、ゆ゛っゆ゛っゆ゛っと唸りながら痙攣している。 普段のれいむならば失神するか恐怖で我を忘れ泣き叫んでいたであろうが、これは夢である。 恐ろしいと思いながらもどこか冷めた目で現状を観察していた。 やがて電車は何事も無かったかの様に走り出す。 またしばらく行くと、猿の車掌が案内をする。 「次はぁー、切り裂きー。切り裂きー。」 電車は駅に止まり、一番後ろの乗客が引き摺り下ろされる。そして響き渡る悲鳴。 「ゆぎゃああああああああああああああああああああああああ!!!!!」 駅員が消えた後に残されたのは、全身を無残に切り刻まれたゆっくり。 至る所から餡子を垂れ流し、びくんびくんと痙攣している。 瀕死のゆっくりと目が合う。何かを訴えかける目。彼女の呟きが小さく聞こえてくる。 「はやく・・・はやく・・・はやく・・・」 そして電車は走り出す。2匹のゆっくりが惨殺されるところをみたれいむはすっかり怯えてしまっていた。 しかしれいむは逃げ出さない。なぜならこれは夢だから。ただの怖い夢だから。だたの悪い夢だから。 「次はぁー、焼き鏝ー。焼き鏝ー。」 また1匹乗客を降ろした電車は、次の駅を目指して走り出す。 次?次の駅?次の駅でもまた乗客が一人降ろされるのだろうか? 誰が?今、この電車に乗っているのはれいむとれいむの後ろに乗っているゆっくりだけ。 順番で行けば次は後ろの子の番?ではその次は? 俄かに引き攣るれいむの顔。だが大丈夫これは夢だ。自分に言い聞かせる。 大丈夫。大丈夫。大丈夫。これは夢だ。これは夢だ。これは夢だ。 しかし、震えは止まらない。全身を焼かれ、炭になったゆっくりの呟きが耳から離れない。 「おきないと・・・おきないと・・・おきないと・・・」 お猿の電車は走り続ける。たった2匹になった乗客を乗せて。 終点は?終点はどこだ?この夢の終わりは?悪夢の終了は? 大丈夫。きっともうすぐ目が覚める。目が覚めたらきっとまたゆっくりできる。 だってこれは夢なんだから。だってこれは悪い夢なんだから。 やがて電車は減速し、プラットホームが見えてくる。 れいむの願いを打ち砕く、車掌の非情なアナウンス。 「次はぁー、押し潰しー。押し潰しー。」 れいむは見てしまった。一部始終を。猿の駅員に引き摺り下ろされたゆっくりは、大きな万力にセットされる。 ゆっくりと回るハンドル。締め上げられるゆっくり。歪んだ顔から漏れ出す餡子と悲鳴。 無残に潰されたゆっくりを背に、静かに走り出す電車。風が彼女の最後の言葉を運んでくる。 「ほんとうに・・・ほんとうに・・・ほんとうに・・・」 いよいよ、最後の乗客になってしまったれいむ。早く起きないと。早く起きないと。 死んでいった仲間達。初めて見る家族以外のゆっくり達。 一緒に遊びたかった。一緒にゆっくりしたかった。 また今度会いましょう。違う夢で。また今度会いましょう。楽しい夢で。 だから今は、お願い早く目覚めて。夢から覚めて。夢から覚めて。 彼女達が残した言葉。早く、起きないと、本当に・・・死・・・ 「次はぁー。撲殺ー。撲殺ー。」 車掌の声。駅のホーム。猿の駅員。手には棍棒。 起きないと!起きないと!起きないと!起きないと! 引き摺り下ろす駅員。抗うれいむ。抵抗は空しく、れいむは床に固定される。 早くしないと!早くしないと!早くしないと!本当に! 振り上げられる棍棒。こびり付いた餡子のシミ。どれほどのゆっくり達を屠ってきたのだろう。次はれいむの番。 早く目覚めろっ!悪夢よ去れっ! (現) 「ゆううううううううううううううううううう!!!!!」 絶叫と共に目覚めるれいむ。体中汗びっしょり。はぁはぁはぁ、と全身で息をする。 「どうしたの?こわいゆめをみたの?うなされてたよ。」 母の声。れいむを案じて体を寄せ、ほっぺたにすりすりしてくれる。 母の体温が心地良い。良かった・・・夢から覚めた・・・これでゆっくりできる・・・ 心配する母に「へいきだよ。もうだいじょうぶだよ。」と返事をし、辺りを見回す。 いつもと変わらぬ景色。四面を囲う茶色の壁。母と幼い妹達。 1分もかからず1周できる狭い世界。小さな小さなれいむの世界。 良かった。戻ってこれた。現実の世界に。夢は終わった。 悪夢の事などすっかり忘れ、家族と一緒にゆっくりする。 跳ねまわり、歌を歌い、昼寝をし、すりすりする。 家族の他に仲間はいないが、そのかわり天敵もいない。餌を探さずとも、ご飯は定時に空から降ってくる。 とてもゆっくりと流れる時間。時間が止まったらいいのに。この時がいつまでも続いたらいいのに。 しかし無情な時の流れは、何時までもれいむをゆっくりとはさせてはくれない。 突然現れた黒く大きな影。長く延びた2本の腕。れいむ達に向かってくる。 「ゆっ!どこにいくの!かえしてね!れいむのかわいいあかちゃんをかえしてね!」 2本の腕はれいむの一番幼い妹を連れ去った。母が半狂乱になりながら叫ぶ。 やがて聞こえてきた赤ゆっくりの悲鳴。その大きな悲鳴が、だんだん力なく小さくなっていく。 「ああああ!あかちゃん!まっててね!おかあさんがいまたすけにいくからね!!!」 壁に体当たりを繰り返す母。そこへ空から何かが降ってくる。 漂う甘い香り。穴から黒い何かを流している。物言わぬ物体。白くモチモチとした小さな死体。 「ゆぎゃあああああああああ!!!れいむのあかちゃんがああああああ!!!!!!」 目に映ったのは、針金に全身を貫かれた幼い妹の変わり果てた姿。れいむは気を失った。 (夢) れいむが目を開ける。そこに広がっているのは白一色の世界。そして猿の電車。 夢・・・また同じ夢の世界に来てしまった。 早く目覚めなければ。早く・・・早く・・・ 必死に「おきろ!おきろ!」と唱え続けるれいむ。 しかし、一向に目が覚める気配はない。そして聞こえてきた車掌の声。 「次はぁー、切り裂きー。切り裂きー。」 繰り返される悪夢。この前と同じ展開。待っているのは、おそらく同じ結末。 れいむの後ろの乗客たちは、切り裂かれ、焼き鏝を当てられ、万力で押し潰される。 あああ・・・次はれいむ・・・れいむの番・・・ 車掌のアナウンスが聞こえ、遠くに駅が見えてくる。 早く起きないと!早く起きないと! 電車が止まり、れいむに寄ってくるのは棍棒を持った死刑執行人。 れいむは目を閉じひたすら念じ続ける。 覚めろっ!覚めろっ!覚めろっ! (現?) 再び目を開けると、そこにあるのは茶色の世界。戻ってきた。現実の世界。 しかし、そこには何時ものゆっくりとした時間は流れていない。 我が子を失い打ちひしがれている母。黒い影に怯える妹達。 黒い影はまたやって来た。2本の長い腕がれいむの妹ににじり寄る。 逃げる赤れいむ。しかし、ここは四辺を茶色の壁で囲われた狭い世界。あっと言うまに追いつめられる。 「やらせないよ!やらせないよ!」 おかあさん!子供達が叫ぶ。伸びてきた手に体当たりをする母。黒い影が一瞬たじろぐ。 既に一人子を失った。この子までもやらせはしない。母は憤怒の表情で長い腕の前に立ち塞がる。 黒い影の標的が子から母へ変わる。その大きな左手が母れいむを床に押さえつける。 「おかあさん!!!」 「だいじょうぶ!おかあさんはへいきだよ!みんなははやくにげてね!」 逃げる?いったい何処へ逃げると言うのだ?壁に囲まれた小さなこの世界で。 母の言葉を真に受けて、壁に向かって体当たりを続ける妹達とは違い、 れいむは床に押さえつけられた母を、静かにじっと見続けていた。まるで夢でも見ているかの様に。 なぜだろう?これが現実であると言う実感が湧かない。どうしてれいむ達がこんな目に遭うの? 自分達はゆっくりだ。ゆっくりする為にうまれ、日々をゆっくりと過ごす。こんな目に遭う為うまれた訳じゃない。 なぜこんな目に遭う?理由は?・・・理由?ひょっとして理由なんて無いんじゃ? 理由が無い・・・理不尽な仕打ち・・・この感覚・・・何処かで・・・ 夢?これはひょっとして夢なんじゃないか? れいむがそんな事を考えている間も、黒い影は休む事無くその腕を動かし続けた。 母を目がけて伸びてゆく右手。握られているのは鈍い光を放つ鋭利なナイフ。 その鋭い切っ先が母の体を切り刻む。流れ出る餡子と悲鳴。 妹達は気も狂い、訳の解らない言葉を発し、泣き叫びながら壁に体当たりを続ける。 れいむは動かない。薄れゆく意識。こんなのゆっくりじゃない。こんなのが現実なはず無い。 (夢?) 目を開ける。見えてきたのは白い世界。夢の世界。怖い怖い悪夢の世界。 聞こえてきた、車掌の声。聞きたくもない、あの言葉。 「次はぁー、焼き鏝ー。焼き鏝ー。」 繰り返される悪夢。耳から離れない悲鳴。こんなの嫌だ!誰か助けて! 再び現実。茶色の世界。次の犠牲者。幼い妹。 伸びる黒影。手には焼き鏝。焼かれる幼子。消えない悲鳴。 いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ 夢?現実?区別がつかない。ここは何処? 目の前にあるのは万力。挟まれているのはれいむの妹。 長い腕がハンドルを回すたび、赤ちゃんの悲鳴が世界に響く。 「たすけて・・・おねえちゃん・・・」 何もできない。どうする事もできない。ただ見てるだけ。黙って見てるだけ。 万力に締め上げられたその小さな体は、裂け目から涙の様に餡子を流す物言わぬ唯の物体に。 こんなのゆっくりじゃない。こんなのゆっくりじゃない。 ゆっくりはゆっくりしているべきもの。ゆっくりしていないのはゆっくりじゃない。 れいむはゆっくりだ。だからゆっくりするべきだ。 ゆっくりする。だかられいむはゆっくりする。でもできない。なぜ?せかいがゆっくりさせてくれない。 どうしてゆっくりできない?ゆっくりはゆっくりするはずなのに。なぜせかいがじゃまをする? せかいはまちがっている?だからゆっくりできない?ここはれいむのいるべきせかいじゃない? そうだこれはゆめなんだ。そうだこれはゆめなんだ。 だかられいむはゆっくりできない。そうだ。わるいゆめだからゆっくりできないんだ。 (夢。これは夢。全部夢。悪い夢。) れいむを見下ろす大きな黒い影。2本の長い腕がれいむに迫ってくる。 持ち上げられたれいむ。わぁ、おそらをとんでるみたい。まるで夢の様だ。 眼下に見えるはれいむの世界。さよならさよなら悪夢の世界。小さな小さな茶色の世界。大きな大きな段ボール。 机の上に下ろされたれいむ。れいむの上に振り下ろされた棍棒。 痛い。痛い。痛い。痛い。 だんだん意識が遠のいていく。痛みがだんだん消えていく。 やっぱりこれはゆめだったんだ。こわいこわいゆめだったんだ。 その証拠に夢の住人の声が聞こえてくる。次の行先。れいむの現実。 「次はぁー。fuku****.txt。fuku****.txt。」 ネタ元:猿夢 end 作者名 ツェ? 今まで書いたもの 「ゆっくりTVショッピング」 「消えたゆっくり」 「飛蝗」 「街」 「童謡」 「ある研究者の日記」 「短編集」 「嘘」 「こんな台詞を聞くと・・・」 「七匹のゆっくり」 「はじめてのひとりぐらし」 「狂気」 「ヤブ」 「ゆ狩りー1」 「ゆ狩りー2」 「母をたずねて三里」 「水夫と学者とゆっくりと」 「泣きゆっくり」 「ふゅーじょんしましょっ♪」 「ゆっくり理髪店」 「ずっと・・・(前)」 「ずっと・・・(後)」 「シャッターチャンス」 「座敷ゆっくり」 「○ぶ」
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ユグルイ その6 20KB ※俺設定 ※東方オリジナルの設定をほとんど無視します ※某マンガのパクリ ※基本的には、長編になりそうなので、 数回に分けて、UPします。 ※人間が出ます ※人間がゆっくりに仕えています ※人間が非常に強すぎます 基本的には、原作無視です ※段々、シ○グイと離れてきた ※作者は低学歴なので、日本語がおかしいです ゆとり乙と罵ってください ※出張が長くて、続編書けませんでした。 ※このくそどれい!!!はやくあまあまさんをもってこい!!!! それでもいい人は読んでください。 ユグルイ その6 ゆっくり道は死狂ひなり。一匹の殺害を数十人して仕かぬるもの。 (ゆっくり道は死に狂いである。一匹を殺すのに数十人がかりでかなわないこともある。) ある夜。 「そろーりそろーり」 「そろーりそろーり」 れいむとまりさが、部屋を出ていき、人影がない場所へ二匹で向かった。 丁度、庭にある木の下に着いたれいむとまりさ。 「ゆっくりついたね!!!まりさ」 「ゆっくりついたんだぜ!!!れいむ」 二人は見つめ合い、微笑む。 「ゆぅ・・・。おちびちゃんたち・・・。 しんじゃったよ・・・。 れいむのかわいいおちびちゃんたち・・・。」 どうやら、連日の過酷な稽古で自分たちの子供を失ったようだ。 「しかたがないんだぜ・・・。 でも!!!またおちびちゃんはつくればいいんだぜ!!!」 と、楽観的なまりさ。 「そんなことできるわけないでしょ!!! こんなところでおちびちゃんをつくっちゃったら・・・ またおちびちゃんたちがころされちゃうでしょ!!! どうしてそんなことがわからないの!!! ばかなの!!!!しぬの!!!」 と、意外にゆっくりにしては客観的なれいむ。 「そんなことしらないのぜ!!! まりさはれいむとすっきりしたのぜ!!! おちびちゃんをつくらないようにすっきりすればいいのぜ!!!」 実は、ただ単にすっきりしたかっただけのまりさ。 「ゆぅ・・・。じゃあおくちでしてあげるよ・・・。 それなら、あかちゃんもできないよね・・・。」 色目を使い、まりさを妖しく見つめるれいむ。 「ちゅ~ぱちゅ~ぱ、ちゅ~ぱちゅ~ぱ」 れいむはまりさのぺにぺにを、音を立てながら舐めた。 「ぬふぅ~」 れいむの口淫に気持ちよさを感じ、顔を赤らめながら、 思わず声が漏れるまりさ。 ゆっくり道を学ぶゆっくりたちが時折、 このような逢引にふけるのを、見て見ぬふりをする情けがゆっくり道の高弟たちにも存在した・・・。 と、思われたが、もちろんそんなことはなかった。 何者かがれいむの背後に忍び寄る。 れいむのあにゃるに後ろから何を入れられ・・・。 「ちゅ~ぱちゅ~ぱ、ぢゅっばっ!?」 次の瞬間。 バァアアンン!!! れいむの体はあたり一面に四散した。 惚悦の彼方にいたまりさは、れいむの体が爆発した瞬間、 ありすらしきゆっくりの影を見た。 そこから何か液体のようなモノが向かってきて・・・。 まりさの見た最期の光景だった。 顔面が破裂しているまりさの頭上から、 茎が生え、赤まりさが3匹なっていた。 スヤスヤと眠る赤まりさたちを、高弟のありすは見つめた後、 無表情で舌で刈り取り、満月に向かって・・・。 ブゥゥウゥウ!!! 黒い霧を発射した。 このありすから逃れる術など一切あるはずもなかった・・・・。 次の日・・・。 飾りのないれいむは疲れていた。 ここにいるゆっくり全員が疲れていた。 過酷な修行? ここ数週間は彼らは肉体的には過酷な修行を一切受けてはいない。 ツチモグラを始めてから。 いや、正確には、ツチモグラを受けていないまだゆっくりたちは、疲れ切っていた・・・。 「・・・ゆぅ・・・。」 誰かがため息をついた。 ゆっくり出来ないその状況に耐え切れなくなったのだろうか。 「どぼぢで・・・こんな・・・めに・・・」 いつもなら、ゆっくり視点で物事を見れば、考えられない事態に対して、 「どぼぢで」と濁音混じりで醜い声で絶叫するゆっくりたち。 過酷な修行のせいか、肉体的にも精神的にも擦り減り、叫ぶ体力や気力が完全に削がれているのである。 『さぁ~て、今日もツチモグラ、始めるぞ。』 師範代と言われる人間が、そう言いながら部屋に入ってきた。 いつものことである。 「「「「!?」」」」 あるゆっくりは、体を小刻みに震わせて発情するが、その表情には恐怖の色が見え隠れする。 あるゆっくりは、目尻のしわが幾千にも重なるほど瞼を力の限り閉じる。 あるゆっくりは、ガクガクと歯軋りを繰り返し、歯が擦り減り、ヒビが入る。 あるゆっくりは、力みすぎて、しーしーとうんうんを漏らす。 みな多様な反応だが、心の中ではみな同じことを考えている。 自分以外の誰でもいい。 早く人間は自分以外の誰かを連れて行ってほしい。 そして、人間は早くこの部屋から出て行ってほしい。 おかしな話である。 ゆっくりと言えば・・・。 「ここはれいむのゆっくりぷれいすだよ!ゆっくりできないにんげんさんはでていってね!」 とか、心に思っていることを何も考えず、空気を読まず、その後に起きるだろう虐待を予期せずに、 感情のままにしゃべる生物(なまもの)である。 そんなゆっくりの本能を明らかに凌駕するモノ。 ツチモグラの存在。 ツチモグラとは何か・・・。 実はここにいるゆっくりたちは何も知らないのである。 何も知らないのだが、絶対にゆっくり出来るものではない。 それだけは確実に知っている。 否っ!!! 知らされているのだ。 『じゃあ、今日はまりさだ。』 と、まりさを両手に抱えた師範代。 選ばれたまりさは無言だった。 いつもなら・・・。 「ゆんやぁぁっぁあああ!!!!ばでぃざじにだぐないぃいい!!! おべばいじばずぅうう!!!!ばでぃざをだずげでぐだざいぃいい!!!」 と無様に涙、涎、汗、しーしーを撒き散らし、 ケツをブリンブリンと震わせて、見栄もプライドも捨てて、 無様に命乞いをするゆっくり。 しかし、このまりさはそれをしなかった。 ただ静かに目を閉じて、一滴の涙が床に落ちた。 「もっと・・・ゆっくり・・・したかった・・・」 師範代とまりさが部屋から出て行った後、 ゆっくりたちは安堵するように思われるだろう。 「ゆっ!きょうはゆっくりできるよ!!!♪ゆゆゆのゆ~」 と、呑気なことをいうゆっくりを想像できるはずだ。 危険は去った。とりあえず、今日はゆっくり出来る。 それがゆっくり特有のポジティブな思考。 だが、ここにいるゆっくりたちは、そんな風には思わない。 むしろ、逆。 明日もゆっくり出来ないこの瞬間が来ることを知っている。 いや・・・。 これからが本当の恐怖。 れいむは、おさげで耳を塞ぐ。 まりさやちぇん、ぱちゅりーは、深々と帽子を被り、耳を隠す。 唯一、ありすは自身で耳を塞げないため、 「ゆぁぁぁぁああ!!!!ゆぁぁぁあ!!!!」 泣き叫び、ケツをプリンプリンと振り続ける。 中には自身のペニペニで右耳、舌で左耳と、両耳を塞ぐ強者のありすもしたが、 その不自然な体勢から、体に無理があったのだろう、 折れ曲がった腹部からカスタードが漏れる者もいた。 しかし、それでもなお、痛みに耐えて、塞ぎ続けようとする。 みなに言えること。 それはみな体が震えている。 自分の意思で体が震えているのではない。 恐怖によって、体が震わされているのだ。 そう・・・。 この声によって・・・。 「ゆディフォアうjckjhんぢhfsんhmsyfんvgmちうsんf!!!!!」 「ゆふいcyにくmんbdvyんcgdhヴぃmfhんmぎvんthmcヴぃふ!!!!!」 「ゆdyるゆいvvbtcsにぃんvcmヴyrんtmvんmtcyんtヴぃmぐc!!!!」 「ゆfyrついおんkjふぇんりrちぃこふぇcvmjふぉちぇcmtymvんt!!!!」 「ゆおい風呂言うvにゅもん7bm9v879んfc78w3pmf89vmtgvjt!!!」 さきほどのまりさが発している声である。 この声から察するに・・・。 相当の痛みを感じているようである。 一体、何を受けたらこんな声が出るのであろう。 この声を聞く度に、ここにいるゆっくりたちは、 餡子に刻みつくのである。 明日、選ばれてしまったら・・・。 この声を発するのは自分・・・。 その恐怖が、ゆっくりの明日のゆっくりより、今日ゆっくりするという本能を凌駕したのである。 その声が聞こえなくなった時・・・。 部屋中にいるゆっくりというゆっくりが、みな一様にして、 うんうんとしーしーを大量に漏らしているのである。 その量は日に日に増して増えるばかり。 そのため、ここにいるゆっくりたちのほとんどが、 痩せこけているのである。 この後、1日1回のゆっくりフーズが部屋にばらまられるが、 手をつけられるゆっくりは数えるくらいしかいなかった。 ほとんどのゆっくりが精神的ショックのあまり、 喉に何も通らないのである。 ゆっくりにあるまじき行為。 浅ましく食を求めるのがゆっくり。 どんな時でもどんな場所でもどんな状態でも食を求める。 その本能というか餡子に染み付いた性質をも超えるストレス。 それほど、このツチモグラへの恐怖は絶大なのである。 その後、師範代ではない人間が、部屋に入り、 餓死しているゆっくりや、ツチモグラを受けているゆっくりの叫び声を聞こえないようにと、 無理な体勢で耳を塞いだ結果、傷ついて今にも死にそうなゆっくり、 「ぱぴぷぺぽぽぽおおおおお!!!!」 と、目が虚ろになり、意味の分からない言葉を発している精神が壊れたゆっくりを、 次々に回収していく。 普段なら、 「くそどれい!!!こんなゆっくりできないところからまりさをだすんだぜ!!!」 「はやくあまあまさんをもってこい!!!」 「このいなかもの!!!とはいはなありすをおうちにかえしなさい!!」 などと言ってくるであろうが、それも言わない。 ただただ、この人間と目が合わないようにするのである。 目が合えば・・・。 もしかしたら、連れられるかもしれない・・・。 連れられる先は・・・。恐らく・・・。 この人間は、 手当てとかしてくれるんだろう。 こんなゆっくり出来ないところから逃がしてくれるんだろう。 そんな風に思うことすら・・・。 ここにいるゆっくりたちは・・・。 バカらしいと思い出したのである。 ここに来て・・・。やっと、というところかもしれないが・・・。 それほどまでに、限界に追い詰められているのである。 飾りのないれいむは・・・。 すでに限界を超えていた。 もう・・・。だめだ・・・。 これならば・・・。いっそのこと・・・。 死んだ方がマシだ・・・。 じゃあ・・・。 そんな悲壮感漂うことを考えるようになってきた。 れいむはつい口ずさむ・・・。 「もう・・・ゆっくり・・・したい・・・ずっと・・・」 その夜。 れいむは部屋を抜け出した。 逃げるために・・・。 はっきり言って、逃げられるなんて考えていなかった。 むしろその逆。 逃げ出して、殺されたかった。 待っていたら確実に来る死。 しかし、それがいつ来るか分からない。 その恐怖に怯えるくらいなら、自分で死ぬ時を選ぶ。 そう思ったのであろう・・・。 逃げ出したゆっくりの末路を知らないわけではない。 「こんなゆっくりできないばしょからにげるよ!!!おちびちゃんたちぃ!!」 「ゆっくちちないではやきゅかえりゅよぉ!!!」 「れいみゅはおうちにかえりゅよぉおお!!!」 そんなことを言っていたれいむ親子が、 逃げ出した次の日、見るも無惨な姿になって帰ってきた。 ゆっくりとはかけ離れた容姿。 恐らく痛いだろう。苦しいだろう。 だけど、少なくても今の状態より確実に死に近づく。 ここにいれば、自身の体が弱るのを待つしかない。 そんなにゆっくりは待てない。 れいむは今すぐに死にたい。 死んでゆっくりしたい。 ゆっくりするんじゃなくて、早く死にたい。 本来、ゆっくりに自殺という概念はない。 明日のゆっくりより、今日のゆっくりというその性質上、 今の苦しいことから逃げるため、自ら死を選ぶなんていうことはまずないのだ。 よく見る光景だが、 何らかの虐待に遭い、苦しさのあまり、ゆっくりは・・・ 「もうやだぁぁぁぁああ!!!おうちかえるぅうぅう!!!」 という言葉を発するだろう。 ゆっくりにとって、安心できる場所。 それは自身の巣なのである。 どんなひどい目にあっても、巣に帰ればゆっくり出来る。 そういう前向きな考えというか、現実逃避というか・・・。 とにかく、ゆっくりにとって、苦しいから自殺という発想はない。 生きようとする。この場を逃げてでも生きようとする。 明日のゆっくりより、今日のゆっくり。 だけど、今日ゆっくりできないのなら、ゆっくり出来る明日を探す。 例え、どんな手段を使ってでも・・・。 親を売る、子を売る、仲間を売る・・・。 最悪、自分の体の一部を失ってでも・・・。 生き残ってみせる・・・。 貞操なき信念、矛盾だらけの本能。 しかし、それがゆっくりなのである。 ゆっくりにとって、最優先することは、信念でも本能でもない。 ゆっくりなのである。 中には、苛烈な虐待の末、 「もうころして」 という自らの命を断ってほしいと懇願してくるゆっくりもいる。 それは自殺ではないのか?と思うが、そうではない。 自ら死ぬ方法を知らないから、相手に自身の殺害を頼んでいるのだ。 死にたい気持ちでも死ぬ方法が分からないのである。 実は・・・。 一部の博識なゆっくりを除いて、ほとんどのゆっくりは、知らないのである。 どうすれば、ゆっくりは死ぬのかと言うことを。 ゆっくりが死ぬためには・・・ 中枢餡の破壊、もしくは、致死量の中身の流失。 飢え過ぎた場合、 栄養不足になった中枢餡は水気がなくなり、 ひびが入り、その結果、死に至る。 精神にストレスを感じた場合もそうである。 カビが生えた場合も、中枢餡がカビに侵食されて、 中枢餡の成分が餡からカビに変わるからである。 暑さや寒さで死ぬゆっくりのほとんどは、 みな中枢餡にストレスを感じての死なのである。 大変非常に極々稀に寿命を迎える奇蹟と言える国宝級のゆっくりは、 中枢餡が古くなりすぎた結果、固くなり、ヒビが入ると言ったところだ。 ゆっくり同士の殺し合いの場合、 なんとなく体当たりで、押しつぶしたり、 なんとなく武器で体を傷つけたりして、 上記の二つの条件のいずれかを満たして、 なんとなく、結果的に殺してしまっているのである。 気が短く、敵対する相手に簡単に死ねという割には、 ゆっくりは知らないのである。ゆっくりが死ぬ方法を。 話がそれるが、 ゆっくりが死ぬ方法を知っているゆっくりは水浴びをする。 ゆっくりにとって、水浴びとは死に直結している。 水浴びをしすぎた結果、皮がふやけて、中身が漏れて死ぬからである。 そのメカニズムを理解していないゆっくりは、 水を浴びる=ゆっくりできないとだけしか認識していないのだ。 一見、脆く見えるゆっくりだが、 すべて、中枢餡と中身の流失というそのルールのみ、死に結びつき、 それ以外は、基本的に死に結びつかないという思ったより、 頑丈なのだ。 ストレスによる中枢餡の破壊は、個人差があるため、 このれいむのように、これだけ過酷な環境にいても、 未だ正常な精神状態であるゆっくりも多数いる。 そのため、自ら死を願うが、死ぬ方法を知らないゆっくりからすれば、 自殺とはどうすればいいのかわからないのである。 その死への最短ルートが、れいむにとって、 脱走ということだったのだ。 池や川があれば、 そこに飛び込み、死ぬことができるかもしれない。 しかし、残念ながら、そんなモノはここにはなかった。 だから、れいむは逃げ出した。 死ぬために・・・。 「ちゅ~ぱちゅ~ぱ」 「ぬふぅ~」 庭の木の下で、昨日とは違うまりさとありすのカップルがいた。 ありすはまりさのぺにぺにを音を立てながら舐めていて、 まりさはまさに達しようとしていた。 「なにをしてるの?」 れいむはそのカップルに問う。 「みればわかるんだぜ!!!すっきりなんだぜ!!!」 「そうよ!!!このいなかもの!!!わたしたちのとはいはなすっきりを しているのよ!!!じゃまをしないでね!!!」 と、怒りながられいむに返すまりさとありす。 「それは・・・すっきりじゃないよ・・・」 少々、呆れながら、れいむも答えた。 「そんなのしってるんだぜ!!!あかちゃんができたらゆっくりできないんだぜ!!! だからあかちゃんができないすっきりをしてるんだぜ!!!」 「おかざりさんのないいなかものはだまっていてね!!!」 と、相変わらず怒っているまりさとありす。 「ちゅ~ぱちゅ~ぱ」 「ぬふぅ~」 れいむを無視して、引き続き、まりさのぺにぺにを舐め続けるありす。 「ゆぅ・・・こんなところですっきりしなくても・・・へやですっきりすればいいじゃない・・・ こんなところでやってたら・・・ころされちゃうよ・・・」 自身は殺されるために、逃げ出したはずなのに、このまりさとありすを心配そうに見つめるれいむ。 「「ゆっ!?」」 その発想はなかったと言わんばかり、目が点になるまりさとありす。 バァアァン!!! 次の瞬間、ありすの足元に黄色い何かが大量に漏れていた。 いや・・・。 よく見ると、それはありすではなかった。 高弟のありすだった。 さきほどまでありすがいた場所に、高弟のありすがいた。 そして、高弟のありすの足元には、恐らく、ありすの中身だろうと思われるカスタードがあった。 「あ・・ああ・・・あでぃ!?」 バァッァン!!! まりさがありすの名前を呼ぼうとした途端、 まりさの体は爆発した。 高弟のありすは、れいむの方へ振り向く。 目にも止まらぬ早業に体を震わすれいむ。 しかし、れいむは目を閉じた。 これでゆっくりできる。 痛い目に遭うかも知れないけど・・・。 これでゆっくりできる。 れいむはそう思った。 「目を開けなさい。」 ありすは静かに言った。 れいむは恐る恐る目を開けた。 そこには無表情のありすがいた。 「楽に死ねると思ってるのかしら?」 「いたいのはいやだよ・・・ でも・・・これでやっと・・・」 れいむは心の底から思っていることを口にした。 「れいむ・・・もうくるしみたくない・・・」 れいむは哀しそうな目でありすの目を見た。 「苦しみたくない・・・か。」 ありすは少し笑った。 「あなた、ここに入る時、死にたくないって言ってたわね・・・。 死にたくないからここに入ったんでしょ・・・。 弱いから強くなりたいんでしょ・・・。 一人だったから誰も助けてくれない・・・。 だから、一人で生きていくために強くなりたいんでしょ・・・。 強くなるためには死んだっていいって思ったんでしょ・・・。 死にたくないから・・・ゆっくりしたいから・・・死んだっていいと思ったんでしょ・・・。」 「ゆぅ・・・しにたくないよ・・・ でも・・・くるしいのはいやだよ・・・ いたいのはいやだよ・・・ れいむは・・・もう・・・つらいんだよ・・・ だから・・・ゆっくりどうを・・・まなびにきたんだ・・・ でも・・・ゆっくりどうは・・・つらいよ・・・ しんだほうが・・・ゆっくりできるなら・・・もう・・・ ゆっくりしたいよ・・・」 「甘えね。そんなのは。」 「しってるよ・・・でも・・・もう・・・れいむ・・・」 「限界?そんなもので? 仕方がないわね・・・少しだけ褒めて上げましょうか。 あんな状態でまだまだ正気でいられるのは、 最初に来たゆっくりの1割もいないのよ。 結構、根性だけはあると思うわ。今生き残っている連中は。そこは認めてあげるわ。 それ以外はカス同然だけどね。 多分、同じことをやられたら、人間でもそれだけ生き残っているかどうか・・・。」 「そんなの・・・しらないよ・・・ もう・・・れいむ・・・つかれたよ・・・ それに・・・れいむ・・・にげだしたから・・・ これから・・・ぎゃくたい・・・されるんでしょ・・・ かんけいないよ・・・そんなこと・・・」 はぁ~と溜息をつくありす。 「あなたのゆん生で一番つらかったことって何?」 「それは・・・」 「こんなこと・・・つらいうちにならないんじゃないの?」 「・・・」 「あなたが送ってきたゆん生で一番つらかったことを思い出しなさい。 今のつらさとそのつらさ、天秤にかけて、今のつらさの方がつらいというのなら・・・。 もういいわ。あなたの望むとおりにしてあげる。」 「れいむは・・・」 れいむは考えた。 今までのゆん生を思い出し・・・。 一番つらかったことを・・・。 あの頃の方がつらかった・・・。 お母さんに睨まれた日・・・。 群れから追い出された日・・・。 お爺さんとお別れした日・・・。 お兄さんからいじめられた日・・・。 一人で寂しくて泣いたあの日・・・。 「れいむは・・・まだ・・・つらいおもいをしってるよ・・・」 「そう。それはよかったわ。じゃあ、いいわ。部屋に戻りなさい。」 ありすは何事もなかったような笑顔で笑った。 「ゆっ!?」 れいむは驚いた。ありすは自分を殺すのだとばかり考えていたから。 「どうしたの?さあ、早く。私の気が変わらないうちにね。 本来ならば、脱走したんですから、殺されても仕方ないんだけどね。 やっぱり、そっちの方がやっぱりいいのかしら?」 「ありす・・・どうして・・・」 「勘違いしないでね。 励ましてあげたなんて、思わないことね。 死にたがってるヤツを虐待したって、つまんないものね。 あなたがゆん生で一番苦しいと思うほどの修行に出会うまでは、 なんだかゆっくり道の修行が負けたような気がするし・・・。」 「ありす・・・」 「何をしているの!?早く戻らないと、ホントにやるわよ!?」 と、ありすは自身のぺにぺにを尖らせた。 「ゆぅううぅうううぅううぅうううう!! もうやだぁぁっぁあぁああああ!!!! おうちかえるううぅううううううぅうう!!!!」 れいむは、定番の台詞を泣け叫びながら、 全力でその体を弾ませて、ポヨンポヨンと部屋に戻っていった。 『ご苦労様☆』 師範代が木の陰から笑いながら出てきた。 「覗きが趣味なの?なんだか、この田舎者!!って罵りたくなるわ。 そんな言葉使いすると、頭悪そうに見えるけど、他のやつ等が、 使いたくなる気持ちが分かったような気がするわぁ~。」 『そういうな。これも先生の言いつけだからな・・・。』 「あれのどこに先生は見出したのかしら・・・。」 『さあな、こればかりは、先生の気まぐれだから・・・。』 「ようじはおわったか?」 「ごめんなさい、待たせたようね。」 『まりさ、ゆっくりしていってね!!!』 「ゆっくり?なんだそれは? くだらないね!!!さあ、はじめようか!!!」 まりさとありす・師範代は一斉に飛び掛った。 部屋に戻ったれいむ。 「れいむはもっとつよくなるよ・・・」 そうつぶやくと、ゆぴぃゆぴぃと寝息を立てながら床に就いた。 つづく あとがき 次回で第1部完です。 あと、もう元ネタがシ○グイとか忘れてください。 コメ欄で批判が多いけど、気にしていません。 だってこれ、もうゆっくりじゃないもん(笑) 他の作品 ふたば系ゆっくりいじめ 149 鞭打 ふたば系ゆっくりいじめ 155 糞饅頭 ふたば系ゆっくりいじめ 159 ユグルイ その1 ふたば系ゆっくりいじめ 162 ユグルイ その2 ふたば系ゆっくりいじめ 168 ユグルイ その3 ふたば系ゆっくりいじめ 169 ゲス愛で派 ふたば系ゆっくりいじめ 173 ユグルイ その4 ふたば系ゆっくりいじめ 187 頭でなく心に訴える ふたば系ゆっくりいじめ 188 ユグルイ その5 ふたば系ゆっくりいじめ 192 長寿と繁栄を・・・前編 ふたば系ゆっくりいじめ 200 長寿と繁栄を・・・後編 ふたば系ゆっくりいじめ 221 FFR ふたば系ゆっくりいじめ 230 本気で勝てると思ってたのか? ふたば系ゆっくりいじめ 231 長寿と繁栄・・・完結編 ユグルイあきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 参考文献って程度で良いんじゃない?俺はこれ面白いと思うし、嫌なら読まなければ良いだけ -- 2012-12-15 09 54 59 良いんぢゃない? -- 2012-05-25 01 14 17 ひどいなこれ -- 2010-01-28 11 56 42
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DODのウェポンストーリーをゆっくりに変えてプラスアルファしてみた。とはいっても原作からかなり改変したのでご注意を。 DOD(ドラッグオンドラグーン)知ってなくても楽しめると思います。 それぞれの題名は元ネタの武器の名前。わからなくてもそれほど気にしなくていいです。 ゆっくりウェポンストーリー 1、深い闇 あるところに、息をするようにゆっくりを殺す少女がいました。 理由も理念も理屈も理想もなく、ただただゆっくりを殺し続けました。 ゆっくりを殺したいわけではなく、少女にはそれしか出来ませんでした。 ある日、少女は森の中でリボンのないゆっくりれいむを取り囲むゆっくりの集団に出くわしました。 どうやら、ゆっくりの象徴とも呼べるリボンをなくしたため、同属にリンチにあっているのでしょう。 「みんなやめてね!れいむといっしょにゆっくりしようね!!」 「うるさいよ!りぼんのないれいむはゆっくりしね!!」 「こんなやつとはゆっくりできないよ!!さっさとしんでね!」 「みててきもちわるくなってきたよ!こんなのはさっさところしたほうがいいよね!」 「どぼじでぞんなこどいうのぉぉぉぉ!いっしょにゆっくりじようよぉぉぉぉぉ!」 ゆっくりれいむは泣け叫びながら周りのゆっくりに助けを求めますが,それを助けようとするゆっくりは一匹もいませんでした。 少女はそれを見て、のっそりとそのゆっくりたちに近づきました。 手に持っている少女とは不釣合いなほど刀身の長いロングソードからは,まるでこれからの死の饗宴を歓迎するかのごとく黒々とした光が発されています。 対照的に、少女はの顔には愉悦も狂気も浮かんでおらず、無表情のままです。 「じゃあ殺そうかしら」 「ぶべっ!」 少女はいつものように、気と体の赴くままにゆっくりを叩き潰し,切り刻み,殺戮を尽くします。 ゆっくりれいむを取り囲んでいたゆっくりたちはものの数分で皆虫達のえさになってしまいました。 そして少女は、残ったゆっくりれいむを殺そうと向き直ると, ゆっくりれいむは体中から液体を垂れ流しながら少女に感謝していました。 「おねえさんありがとう!れいむをたすけてくれたんだね! れいむはこのおんをいっしょうわすれないよ!」 少女はその言葉に、わずかながら動揺の色を浮かべます。 少女が誰かに感謝されたことなど、自分の人生では一度もありませんでした。 少女は自分の行いに、初めて意味を見出すことが出来たのです。 「どういたしまして。お役に立てて嬉しいわ」 「こちらこそいくられいをいってもたりないくらいだよ!こんどあったらなにかおれいをするね! おねえさんたのしみにまっててね!…………ゆ゛!?」 少女は満面の笑みを浮かべると、感謝の気持ちをこめて剣を振り下ろしました。 その一振りはゆっくりれいむの頭部の右半分を根こそぎ奪い去ります。 傷口からはどぼどぼと餡が零れ落ちていき、あたり一面に広がってゆきました。 「いだいぃぃぃぃぃ!!どぼじでごんなごどずるのぉぉぉぉぉ!? でいぶをだずげでぐれだんじゃながっだのぉぉぉぉ!?」 一拍置いたのち、ゆっくりれいむが自分の状態に気付いて叫び声をあげましたが、少女は笑みを浮かべたままゆっくりれいむを踏み潰しました。 「ゆ゛!…………………………」 少しの間中身を出しつくして皮だけとなったゆっくりれいむをやさしく見下ろしてから、少女は軽やかな足取りで去ってゆきました。 後に残ったのは、ゆっくりの屍だけでした。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 2、領主の狩猟刀 とある国の領主がゆっくりを狩る際に必ず持ち歩いた、お気に入りの剣。 領主はゆっくりの命を奪う快感におぼれ,特に意味もなく日々狩猟を続けていた。 領主がひとたび狩りに出かけるたびに、百を越えるゆっくりが屍となっていった。 運悪く領主の目につき持ち去られたゆっくりは、死ぬよりも辛い拷問を味わわせられた。 ある夜、あまりの領主のゆっくり虐殺を見かねて、森のゆっくりたちを纏め上げるリーダー達が話し合いをした。 「これいじょうまりさたちをゆっくりさせないつもりなら、みんなであいつをうつしかないよ!」 「そうだね!ゆっくりするためにはあいつをころすしかないね!」 「みんなでかかればらくしょーだよ!れいむたちのちからをみせつけてやろうね!」 そして数日後。おびただしい数のゆっくりが領主の屋敷を取り囲み、機会をうかがっていた。 本来ならば領主が寝てから襲撃する計画だったが、功を焦った一匹のゆっくりが先走ってしまったため,領主はすぐにその様子に気づくことになった。 領主は自分を取り囲む大量のゆっくりをを見て、飛び上がって喜んだ。 「このわしに狩られたがっておるのか!なんというかわいいゆっくりどもじゃ! それならばわしもその期待にこたえてやらんといかんのぉ!」 喜び勇んだ領主の前は愛用の狩猟刀片手にゆっくりに突撃して行った。 ゆっくりたちはかかったとばかりに、一斉に領主に襲い掛かる。 「みんなのうらみだよ!ゆっくりしね!!」 「ちょうしにのったにんげんはつぶされるといいよ!」 「いままでのおこないにこうかいして、くるしんでしんでね!!」 ゆっくりたちは何度も領主に体当たりを敢行するが、領主は笑ってそれを受け止めるばかりであった。 それどころか、ゆっくりたちは代わりに領主の持っている剣をお返しとして受け取ることとなった。 「ゆぅぅぅぅぅ!!なんでびくともしないのぉぉぉぉ!?」 「おかしいよぉぉぉぉ!!さっさとしんでよぉぉぉぉぉ!!」 「そう押し合わんでも、すぐに狩ってやるから安心せい!ほら、おかえしじゃ!」 「ゆべぇぇぇぇぇぇ!ざざっでるよぉぉぉぉぉ!!」 非力なゆっくりたちはなす術もなく、領主に一矢報えることさえも出来ずに、すべて狩りつくされて森のゆっくりたちは全滅してしまった。 結局、領主は幸せに天命まっとうしたという。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 3、没落した王家の剣 暖かな、春の日でした。 大きな日傘を持った、花を操る可憐な少女の容貌をした妖怪が、気まぐれに人の国を襲いました。 妖怪は王族を皆殺しにして、近くにふんぞり返っていたゆっくりもついでに叩き潰しておきました。 妖怪が一仕事終えてお城の中でひと寝入りしていると、剣を持った女の子が入ってきました。 女の子は妖怪を揺り起こします。 「私が殺そうとしていた王様とゆっくりはどこ?」 妖怪は少しきょとんとして言いました。 「もう殺してしまったわよ?」 すると、女の子は丁寧に妖怪に頭を下げました。そして、 「ありがとう、きれいな妖怪さん!」 と、元気のいい声で言いました。 妖怪は、少し怪訝な顔をして女の子にたずねました。 「あら、どうして私にお礼をするのかしら?」 女の子は言いました。 「あなたが殺してくれた王様はにせものなの。 私のパパからお城を盗んだんだって,死んだママから教わったの」 女の子は、この国の本当の王女様だったのです。 女の子は剣を抱えたまま興奮した様子で、妖怪に言葉を続けます。 「だから、わたしはあいつを殺してお城を取り戻さなきゃいけなかったの! あと、あいつの大事にしていたゆっくりも殺さないといけないの!」 妖怪はその答えに疑問を感じて、再び女の子に問いかけます。 「どうしてゆっくりも殺すのかしら?あれは関係ないんじゃない?」 女の子は、思いっきり首を横に振ります。 「関係なくなんてないよ!にせものがパパを殺したのも、あいつがゆっくりを守ろうとしていたからだもの! ゆっくりのための国を作るなんてばかげたことのために,パパは殺されて私達はお城から追い出されたの!」 女の子は,妖怪を真っ直ぐ見つめて言いました。 「あなたにお願いがあるの。大事にされる価値なんてないクズゆっくりも、あんなクズを守ろうとする人間も、みんなみんな殺して!」 妖怪は大笑いして、 「わかった、わかったわよ、王女様。私の力をあなたの身体と剣に分けてあげる」 女の子は、妖怪の力が注がれた剣で,ゆっくりとゆっくりを守ろうとした人々をざくざく,ぐちゃぐちゃにやっつけたとさ。 そのときに起きた、 「ゆっくりやめてねぇぇぇぇ!!れいむなにもしてないよぉぉぉぉ!!」 「とかいはのありすになんてことするのぉぉぉぉ!!」 「れいむはころしていいから、まりさだけはみのがしてねぇぇぇぇ!!いだいぃぃぃぃぃぃ!!!」 「おがあざん、いだいよ、くらいよ、どごにいるのぉぉぉぉ!!」 「いやぁぁぁぁ!!でいぶのあがちゃんがぁぁぁぁぁ!!」 などというゆっくりたちの阿鼻叫喚は、ゆっくり保護にかかる費用の工面のせいで重税を強いられていた大部分の国民に対して、とても爽快な気分を与えたんだって。 めでたし、めでたし。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 4、拷問部屋の肉塊 その鉄棍は、拷問部屋の片隅に置かれていた。 命を奪わず、最大の苦痛を浴びせ続ける拷問において,その鉄棍の役目は最後にやってくる。 「いだいよ……くらいよ……ゆっくりできないよ……」 体中を焼かれ両目をえぐられ、最早苦痛に耐え切れず死を望むゆっくりにとって、鉄棍の一撃は焦がれるほどに待ち遠しい。 ゆっくりは餡子を口から吐き出しながら叫ぶ。 「くるしいよ……そのてっこんで、はやくころしてね……」 求められてせがまれて、鉄棍は重々しく振り下ろされる。 だが、それはゆっくりの頭の寸前で停止された。 「ゆ……!?どうして?どうしてころしてくれないの……!?」 処刑人は黙して、ゆっくりの問いには答えない。 ただ痛みに苦しむゆっくりをみて、暗い愉悦の笑みを浮かべるだけだった。 一撃でゆっくりを肉塊に変えることが出来る鉄棍は,しかしゆっくりが生きている時には用いられることはない。 「おねがい、しなせて……。もういたいのはいやなのぉ……!」 ゆっくりの狂おしいまでの求愛も、鉄棍は冷酷に拒否し続ける。 そしてゆっくりが苦しんで苦しみぬいて死んだのち,ようやく鉄棍は重い腰を上げゆっくりを肉塊にする。 ゆっくりの苦しみが凝縮された餡子にまみれたそれは、ゆっくりの肉塊そのものだった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき ゆっくりでDODのウェポンストーリー。あれ見てたら思いついてしまったんだから仕方ないね。 ウェポンストーリーをそのままゆっくりに変えたのではさすがにあれなので、少し改変しました。 3以外は原型からかなりかけ離れてしまいました。 拷問部屋の肉塊においては、完全に使い方が間違っております。 元ネタ知ってた人は、申し訳ありません。 このSSに感想を付ける
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前 カラン、という音が手術室に響いた。 それは先ほど先生が見せてくれた、太い鉄の棒を置いた音。 先端は尖っており、まるで槍のようだ。 槍は成まりさの目の前に、見せ付けるように置かれている。 傷つけるための道具、成まりさはそう判断したのだろう、必死で体を揺すった。 「やめてね!!はやくおウチに返してね!!おにいさんにいいつけるよ!!」 しかし、底部に鉄製の皿が張り付いているせいで全く動けない。 「まず、植物型出産の機能を破壊しますよ」 先生は成まりさの言葉など聞こえてないかのように、俺に言う。 「はい」 「では、帽子を取ってもらえますか」 言われたとおり、俺は成まりさの帽子を取ろうとした。 すると、成まりさの目が輝く。何かに気がついたようだ。 「ゆ!そこのおじさん達!まりさのバッヂを見てね!ゆっくりりかいしてね!!」 成まりさの帽子を見ると、コーヒーコースターほどの大きさの赤いバッヂが張ってあった。 帽子に巻かれた白いリボンの隣にあったため、よく目立つ。 これはペットショップなどで売っている、飼いゆっくり証明バッヂだ。 飼いゆっくりが逃亡したり、遊んでいて迷子になった時のために付けるものである。 バッヂの裏には飼い主の住所や名前などが書いてあるので、迷子になっても安心だ。 そして、飼いゆっくりを虐待してはいけないというルールがある。 ルールを守って楽しく虐待。 それが虐待お兄さんに共通する約束事だ。 もちろん俺もそれを守っている。 そのことをこの成まりさは知っていたのだろう。 飼いゆっくりである自分を痛めつけてはいけない、と主張しているのだ。 「バッヂって何?何もついてないよ?」 「ゆ!?うそを言わないでね!!」 帽子のつばが邪魔で成まりさにはバッヂは見えない。 俺は帽子を取り上げ、バッヂを成まりさから見えない位置に隠した。 「ほら、これはまりさの帽子でしょ?どこにバッヂがあるの?」 成まりさの眼前に突きつけられた帽子にバッヂは無い。 「ゆ・・?!?うそだよ!!まりさはバッヂつきだよ!!」 信じられない、という目で帽子を見つめるがそれは確かに自分の帽子。 おろおろとする成まりさを相手にすることをやめ、俺は帽子を少し離れたところに置いた。 「ま、まりさのぼうし!!かえしてぇっ!!!」 顔だけ帽子に向かって倒れ掛かるが、固定された底部が邪魔をして動けない。 「顔、押さえてください」 「はい」 乗り出していた成まりさの顔を掴む。 柔らかい。 若干発汗していたが、もちもちとしながらも張りのある皮。 内部の餡子の熱が皮越しに伝わって、ほんのりと温かい。 指を滑らせても、抵抗が感じられないほど滑々としていた。 優しい飼い主に、心行くまでゆっくりさせてもらった証拠だ。 「やめてね!!!ちかづけないでね!!」 そんな素敵な皮に近づくのは、先生の右手に握られた槍。 左手は品定めでもするかのように、成まりさの髪の生え際をなぞっている。 「ここですね」 先生が指で、髪の生え際の中心近くを軽く二度三度叩く。 おそらく、そこに槍を突っ込むのだろう。 「じゃあ、しっかり押さえておきます」 「よろしくお願いします」 「ゆぅぁっ!やめてっ!!!」 頭を回転させて逃げようとするが、人間の力に勝てるはずもない。 無駄な抵抗とはまさにこのことだろう。 「こわいよ!!!刺さないでね!!!やめてね!!」 「はーい、ちょっと痛いけど我慢してねー」 注射でもするかのような声とともに、先生は思い切り成まりさに槍を突き刺した。 「ゆっびゅぉおおっぉぉっ!?!?!?」 尖った部分は全て内部に入り込み、外に露出しているのは太い部分だけだ。 突き抜けてはいないが、かなり深く入り込んでいることが分かる。 その証拠に、顔を掴む俺の手に、ぬるぬるとした汗のようなものが溢れてきている。 目は血走り、涙が溢れ始めていた。 「いぢぃあ゙ああ゙ああ゙いよぉぉおっ!!!おにいざあんだずげでぇ゙ええ゙え゙ぇえ゙え゙っ!!!!」 一瞬、俺や先生に対して命乞いをしているのかと思った。 だが、その目はあらぬ方向に向いており、話しかけるような口調ではない。 これは、飼い主である兄さんに向けたメッセージなのだろう。 成まりさが絶大な信頼を寄せるお兄さん。 きっと、今までこんな痛い目に会わせることなどしなかったはずだ。 目の前の敵に助けを求めず、どこにいるかも分からないお兄さんを頼っている。 随分信頼されているじゃないか。 思わず成まりさを握る手に力が入る。 「お゙に゙いざあ゙あああ゙ああぁあ゙あああ゙あぁ゙ぁぁぁああああっ!!!!!」 もう、棒から先生の手は離されている。 これ以上押し込まれることも引き抜かれることもないのだが、やはり痛いものは痛いらしい。 成まりさは先生は既に新しい道具を手に取っていることにも気が付いていないようだ。 「少し熱いけど我慢しようね」 真っ赤に染まった炭が、箸に挟まれていた。 先生の足元を見ると、いつの間に用意したのか火鉢が置いてある。 「ゆうぁああ゙あ!!ぼうやべでええっ!!!」 よく熱せられた炭であったため、空気を伝わってその熱気が伝わってくる。 平和ボケした成まりさでもその恐ろしさは理解できたようだ。 先生は槍の露出した部分の先端を回し、蓋を外した。 どうやらこの槍、中は空洞だったらしい。 「はい、入れますよ」 カラン、という音を鳴らして槍の奥へと流れていく炭。 もちろんその奥とは尖った先端部分、成まりさの餡子に埋まっている部分だ。 熱も伝わらなかったせいか、最初は反応しなかった。 だが、5個目の炭を入れる頃には熱が成まりさを攻撃し始めていた。 「あっぢゅぃい゙いい゙ぃぃい゙!!!あ゙りざのなががあづいよぉお!?!?」 粘液に代わって汗が俺の手に大量に垂れ始めてきた。 呼吸が荒くなり、手術台の上は成まりさの汗と粘液と汗で水溜りができている。 「ではこのまま10分ほど待ちましょう」 成まりさにとって、人生で最も長い10分間が始まった。 「お゙ぎぃぃい゙い゙いい゙ぃいいいぃぃぃいっ!!!!!!!!」 「そろそろいいですね」 10分間、成まりさは悲鳴を上げ続けた。 愛好家が聞いたら同じような悲鳴を上げただろうが、俺にとっては最高のミュージックでしかない。 息も絶え絶えになりながら、それでも声を上げる姿は芸術と言ってもいいだろう。 おにいさん、おにいさん、と何度助けを求めただろう。 「抜きますから、しっかり押さえててくださいね」 「はい」 先生が鉄製のハサミのようなもので炭と同じくらい熱くなった鉄の槍を掴む。 それをゆっくりと引っ張ると、また激痛が走るのか成まりさは歪んだ顔をさらに歪めた。 「ぼおおぉお゙ぉおっ!!!!お゙にいぃ゙い゙いざああ゙あ゙ああ゙あっ!!!」 抜き終わった槍を傍らに置き、先生は槍が刺さっていた穴を観察している。 「これを見てください」 指差されたのは、槍で開いた穴。 俺は成まりさの正面に回り、穴を覗いた。 「うわ、槍の形そのまんまですね」 その穴は、槍の形を綺麗に保っていた。 普通、穴を開けても餡子が塞いでしまうものだ。 「中まで綺麗に槍の跡が残ってますね」 「熱で固まっているんだよ」 奥は暗くてよく見えないが、見事な洞窟が誕生していた。 槍の触れていた部分が焦げてしまったのだ。 「圧力で押しつぶされないよう、餡子を入れて完成です」 先生の手に握られたビンには、餡子が入っていた。 それを成まりさ洞窟に流し込む。 「・・・」 いつの間にやら、成まりさは泡を吹いて気絶していた。 「鬼井君、ちょっとそこにある箱を取ってくれないか。どっちでもいいから」 「はい」 入り口近くに箱が2つ積んである。 俺の掌くらいの大きさの正方形。 上に乗った箱には「加工所から購入 子れいむ 〇月×日」と書かれた手書きの紙が張ってあった。 「先生、どうぞ」 「ああ、箱開けてくれますか」 差し出した手を戻し、箱を開けることにする。 包装はしてなかったので、すぐに開けることができた。 「ゅぅ・・・ゆぅ・・・」 箱に入っていたのは、紙にあった通り子れいむであった。 ソフトボールサイズの子れいむが窮屈そうに眠っている。 「それを逆さま、底部を私に向けて差し出してください」 どうすればいいのか困惑する俺に、先生は道具箱を漁りながら言った。 何をするのか分からないが、とりあえず言うとおりにしておけば問題ないだろう。 箱から引っ張り出し、底部を先生に向けた。 「ゅう・・・?」 掴まれたことと、逆さまにされたことで目が覚めたのだろう。 子れいむが妙な声を上げる。 「逃げないようしっかり押さえててください」 先生の手にはメスが握られていた。 俺は子れいむを潰さないよう気をつけながら、力を込めた。 「ゆゔっ!!??」 まだ完全に目が覚めていない子れいむの底部にメスが入る。 痛みで眠気が飛んだのか、手に子れいむの力を感じた。 「ゆぎぎいい!!いぢゃいよおおっ!!!おがあざあんん!!!」 そのままメスは、子れいむの底部で円を描く。 先生が左手に握られたピンセットで円の中心を摘むと、綺麗に皮が剥がれた。 子れいむの餡子が剥き出しになる。 「ゆぎゅ゙うゔゔぅぅっ!!!!?」 子れいむが底部が無くなった痛みに苦しんでいる。 眠っていて起きたら底部がないのだ。 ワケがわからないだろう。 だが俺はその理由がわかった。 「その皮を移植するんですね」 「ご名答」 その皮を成まりさに開いた穴に貼り付けながら、先生は続ける。 「子ゆっくりの皮が一番移植に適しているんですよ。やわらかくて、若々しくて」 「この子れいむはどうします?」 「もう使い物にならないので、ゴミ箱に捨ててください」 「ゆぎゅ!やべでね!!れいぶをずでないでね!!!」 底部の無くなった子れいむが必死に助けを求めるが、興味が湧かないのでゴミ箱に投げ捨てた。 きっと加工所職員に家族単位で捕獲された野生のゆっくりだろう。 実験体として生かされるよりマシだろうから、少しは感謝してほしいものだ。 ゴミ箱の中から悲鳴や泣き声は聞こえなかった。 底部が無いので、投げられた衝撃で餡子が全て漏れて死んだのだろう。 「こちらの処置は終わったので、次は胎生型妊娠の機能の破壊をします」 「方法は植物型と同じですよね?」 「はい。同じことの繰り返しです。今は気絶してますけど、すぐ目が覚めるでしょうから、頑張りましょう」 俺はぬるぬるとした成まりさの体を掴み、腹(?)をさらけ出すように先生に向けた。 「ふう、これで終わりです」 ピンセットを金属製のトレーに投げ込み、先生は椅子に座った。 俺の手には、移植用に使われた子まりさがいる。 子れいむ同様、底部が切り取られて使い道がなくなったので、ゴミ箱に投げ捨てた。 「なんだか楽しそうだね、鬼井君」 「え、そうですか?」 自分の顔が緩んでにやけていたようだ。 それほど、あの成まりさの悲鳴は素晴らしかったのだ。 あの成まりさは、胎生型出産を知っていた。 『やめ゙て!!!あ゙かちゃんをうべなくなっぢゃうよ゙ぉっ!!』 『あ゙り゙ざのがわ゙いい゙あがぢゃ゙ん゙をおにいざんに見せられなくなっ゙ちゃゔぅぅゔゔ!!』 『ま゙り゙さのがわいいあがぢゃんがああぁぁああ゙ぁぁ!!!』 『あがぢゃん・・・あがぢゃんがああぁぁ・・・・』 『おに゙いざんごべんなざい・・・ごべんなざい・・・』 『ま゙りざ、もうあがぢゃんうべだい・・・おびいざん゙・・・・ごめべねええぇぇ・・・』 熱で気絶するその瞬間まで、成まりさは飼い主のお兄さんに謝罪を繰り返していた。 自分をゆっくりさせてくれた大好きなお兄さんに、自分の赤ちゃんを見せたい。 そんな思いがひしひしと伝わってきた。 ゆっくりは恩返しができないため、感謝の意を表すために自身の子を見せることがあると本で読んだことがある。 可愛い赤ちゃんを見せたらその人はゆっくりできる、と思うらしい。 この成まりさも、きっと自分の赤ちゃんを見せたかったに違いない。 だから、涙でふやけた皮を見ていると、顔が緩んで仕方が無いのだ。 腹に貼り付けられた移植の皮を見ていると笑いが込み上げてくるのだ。 やはり、出産は母体になってこそだろう。 「ところで鬼井君、間違っていたら本当に申し訳ないんだが・・・」 「はい?なんですか?」 どうにか真面目な顔を作って、先生の方を向いた。 「もしかして、虐待お兄さんだったりするかな?」 「・・・!」 俺は虐待お兄さんであることを隠していたつもりだった。 しかし、やはり本職の人間にはバレてしまうものなのだろうか。 一瞬、あぅえ、みたいな変な声が出たが、俺は覚悟を決めた。 「・・・はい。俺は虐待お兄さんです」 「やはりそうか・・・」 このバイトもおしまいだ、俺はそう思った。 こんな愛好者のための施設に、俺のような虐待お兄さんが勤められるはずがない。 「そうか、そうか・・・」 「黙っていてすみません」 「いや何、気にすることはないよ」 先生は顔を手で押さえながら、泣いているような、笑っているようなしぐさをしていた。 そうしていながら、目だけは俺をじっと見据えている。 「実は私も虐待お兄さんでね」 俺は耳を疑った。 「えぇ!?」 「驚くことはない」 手を顎に当て、先生は顔に笑みを浮かべている。 「昔から、私は人に可愛がられているゆっくりをいじめたくてね。でも駄目だった。私は真面目すぎたんだ・・・」 そう、人に飼われているゆっくりは虐待してはならない。 「ルールを守って楽しく虐待・・・」 「その通り」 一度手を鳴らし、先生は俺に手を差し出した。 同じ趣向を持つものを、心から歓迎してくれているのだ。 「だからルールを守って痛めつける方法を探したんだ。それがこのゆっくりにっくだよ」 「先生っ・・・!」 差し出された手を、俺は強く握った。 いままで何人もの虐待お兄さんを見てきたが、まさか加工所以外で虐待を仕事に持ち込む人がいるなんて。 俺は素直に感動していた。 そして、こんな素晴らしい先輩に出会えたことに感謝をした。 「鬼井君の行動や言葉から、虐待お兄さんのニオイがしたんだが、聞いて正解だったよ」 「え・・・?そんなにバレバレでした?」 ふふ、と先生が笑った。 「同じ虐待お兄さんだからね。要所要所で同類の臭いを感じたよ」 俺は上手くごまかせていると思ったのだが、そんなことは無かったようだ。 同じ虐待お兄さんの俺は、全然気が付かなかったというのに。 「ま、鬼井君もだいぶゆっくりの体で遊んでいるみたいだから、こちらとしても助かるよ。助手、これからもよろしく頼むよ」 「ええ、まかせてください」 俺は拳で胸を叩いた。 作:アルコールランプ? このSSに感想を付ける